nyae
nyae
2019/07/24
ただのギャグ漫画じゃなかった
兄の貴也と弟の智也は二人暮らしの高校生。 同級生のメグは運動神経も抜群(ボイパもお手のもの)の美青年ですが、魔法少女アニメのヒロインが恋人の重度のオタク。 そんなメグと智也はとにかく貴也をいじりたおす毎日を送っている。 また、みんなから一目置かれる美女のトミちゃんは実は腐女子で、智也たちがまいにちワチャワチャしている風景を見て尊みを得ている。 さらに、貴也とメグ、トミちゃんがバイトするカフェのオーナー(男)は貴也のストーカーだが、迷惑がられている自覚が全く無く、常軌を逸した行動を智也が容認しているので貴也の被害は加速する一方。 といったキャラたちの日常ギャグ漫画なのだけど、 ・なぜ高校生が二人暮しをしているのか ・なぜ兄の貴也は留年しているのか(なので智也と同級生) ・オーナーの知られざる過去 など、それぞれのキャラにはわりとセンシティブな背景があることが読み取れ、兄弟が祖母と三人ぐらしだったときのエピソードを挟んできたり、お墓参りをする回があったり、オーナーが家族揃って食事をすることに強いこだわりがあるのがわかる描写があったりと、 これただのギャグ漫画じゃないじゃん!たまに泣かせてくるじゃん!!なのである。 まだ1巻しか読んでないので貴也が留年した理由はわかりません。 巻末に雷神とリーマンのコラボ漫画が載っててまんまと読みたくなりました。
nyae
nyae
2019/07/08
鉛筆画のぬくもりが優しい、新感覚グルメ漫画
全編、おそらく鉛筆で描かれているために騒々しい客の声も心地の良い賑わいに感じられる今まであまり読んだことがないタイプのグルメ漫画。 主人公の朔良は週末の夜遅く、亡くなった父が残した手帳に記されているお店をひとりで巡っている。子供の頃は多忙で一緒にいる時間が少なかったが、父の足跡をたどり思い出を共有することで、空いてしまった隙間を埋めている。 遅い時間帯の食事はカロリーの面で気になるが、できるだけ父の記録したものは注文するのがポリシー。 専門用語や、わからない食材の名前などは店員に聞き、食事の内容によって飲むお酒も変える。とくに朔良はお酒の飲みっぷりがよく、気持ちがいい。 1人で飲んでいる人間はほとんどいない店に、躊躇なく入っていけるのがすごい。そういうの憧れるけど難しいよなー… 料理や店の雰囲気の描写に説得力があるから、絶対にモデルにしている店があるはずなのに、情報が一切載っていないのもこの本の特徴。 ただ、両国にある店の回でとても印象的な名前のメニューが出てきたので検索したところ、すぐにヒットした。笑 こうやって自分で調べれば朔良が行った店には行けるのでは、と思う。 ポスト孤独のグルメ的なコメントがあるけど、これもドラマ化とかするのかな〜
nyae
nyae
2019/07/03
表紙に惹かれて1巻読んでみたらグサグサ刺してくるお仕事マンガだった
学生時代の一番の思い出は、イケメン男子に笑顔で話しかけられたこと。 そんな三軍のオタク女子のまま25歳になった松永きなこ。 お笑いが大好きで、ラジオでハガキを読んでもらうことが何よりの幸せ。そんな中ある出来事をきっかけに「放送作家」という職業を知り、こんなにも自分の"好き"が詰まった仕事はない!と、なりたい気持ちが湧き上がる。 が、だいたい想像ができるように、なろうと思ってなれる職業ではない。作品の中で挙げられる代表的な放送作家は、鈴木おさむや秋元康など雲の上の存在。 学歴もコネもないきなこは、お笑いライブを担当していた放送作家に声をかけ、根性で企画をいくつも提出するも、ぶっ倒れるほど面白くない。そんな中でも運良くとある新番組企画の会議に参加できることになるが… ここからわりと心がえぐられる展開。 クリエイターやメディア関係の仕事を志した経験があると分かる人が多いかと思いますが、好きなことだけをやっているとどうしても自分の実力を過信しがちで、いざ新人として業界に足を踏み入れた時、自分の無力さ、無能さ、凡庸さを思い知ってプライドがズッタズタのボッロボロになります。 きなこは完全に心が折れて、自分がここにいてはいけないと思い親の病気をでっち上げて逃げようとしますが、鬼のように怖かった制作会社の社長がきなこに大変ありがたく優しいお言葉をくれるというところで1巻読了です。 きなこは最高にツイてると思いました。だって普通だったら「あ、そう」で終わりなのに。 また、きなこの同級生で当時一軍として輝いていた人たちも同じように25歳になっているわけですが、今も一軍でい続けているということは全く無く、環境が変われば誰もが三軍なんだということもちゃんと描かれています。それもわかる…今ならわかる! まだ何も手にしてない、身についてない、実績がない時にもがき苦しんだ記憶はなるべく思い出したくないものですが… 自分が何歳のときに読むかによって、捉え方が大きく変わる作品ってありますが、これがまさにそうで、20代前半の自分に読ませたいなと思う半面、むしろ30を過ぎた今のほうが刺さるかもとも思いました(思い当たることがある人は特に)。 原作のピエール杉浦さん自身の経験をほぼそのままマンガにしたとあとがきに書いてありました。ピエールさんは一旦辞めて田舎に帰って、やっぱり諦められなくてもう一度チャレンジしたそうです。 まだ1巻を読んだところですが、4巻まで一気読みしてしまうと思います。