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“奇蹟の少女”ジャンヌ・ダルクの火刑から10年、一人の少女がジャンヌの幻を追って、歴史の荒波へと立ち向かっていく──。ロレーヌ公爵の娘として生まれながら男子として育てられたエミールは、ジャンヌと運命の糸で結ばれていた。幼い頃に城でジャンヌと会っていたし、養父ボードリクールはジャンヌを祖国解放の戦いへと送り出した張本人だった。成長したエミールは、ジャンヌの幻影に導かれるように、フランスを救うため旅立つのだった。英仏百年戦争も終局を迎え、ジャンヌ・ダルクの奇蹟的な戦いによってフランスは最大の国難を乗り越え、新王シャルル七世の下、失地を徐々に回復しつつあった。その矢先、重大事が勃発する。野望に満ちた王太子ルイが、父王シャルルに反旗を翻したのだ。弱気な王への信望は薄く、かつてジャンヌと戦った武将たちもこぞって王太子に味方し、フランスは分裂の危機に直面していた。エミールは王シャルルを救うべく、ジャンヌの足跡を辿るかのように、敵中を進んでいく──。「人々が戦にあけくれていた暗黒の時代、ジャンヌの存在が奇蹟であるためにはほんの少しの超日常があれば良かったのではないか。彼女がその心の清浄さと義憤とによって一種のトランス状態に至ったのが実情だったとしても、その分だけ確かに通常の人の丈を超えて世界に開眼したのだとすれば、それを奇蹟と呼び、神がかりと呼んでもさしつかえないのではないか」(本書「あとがき」より)『機動戦士ガンダム・オリジン』の巨匠・安彦良和がオールカラー550ページで描く、圧巻の歴史ファンタジー!

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