起倒流柔術家・柳秋水は日本講道館柔道の創始者・嘉納治五郎に挑戦し敗れた無念を一人息子・勘九郎に託した。それからくる日もくる日も秋水と勘九郎の激烈な稽古が始まった。過酷な修練は勘九郎が19歳になるまで続いた。その後、秋水の命に従い、勘九郎は郷里の九州・小倉から東京へ。起倒流師範・松柴久三を訪ねるため上京した日は明治38年6月×日…おりしも日露戦争の勝利祝賀に沸き返る日であった。明治から昭和にかけての激動の世相を背景に勘太郎、勘太郎、勘一、勘平の柔道一家・柳家4代、足掛け100年余りの歴史を描いた壮大な大河ドラマである。1970年から「漫画アクション」(双葉社)に連載された柔侠伝シリーズの1作目。
1941年11月20日、日本海軍潜水艦部隊は連合艦隊の先遣として真珠湾をめざしていた。旗艦香取を先頭に潜水母艦に引率されたイ号の精鋭は征く。その遥か後方をイルカのように進む小型の番外潜水艦があった。ドイツ製のUボートである――。総員16名の“どん亀野郎”たちの大活躍!真珠湾攻撃の日も間近だ!
十九歳の若き柔術家・柳勘九郎は父の遺訓である「打倒・講道館柔道」を胸に上京する。文明開化に揺れる東京の街。青春の彷徨。理不尽と不条理、矛盾と欲望ー男の胸を、誰が知る。学生運動の嵐吹き荒る1970年代、右も左も読んでいた―― 「今」を生きる全ての人に。バロン吉元の最高傑作が蘇る。●雑誌掲載時のカラーページを再現。画業60周年記念 新装・新編集版 『柔侠伝』の連載開始と共に幕を開けた1970年代。同作の誕生から半世紀となる2020年を目前に控え、リアルタイムで連載を読んでいた鈴木敏夫(スタジオジブリ・プロデューサー)は下記のように述べている。「自分のベッドの傍に置いてある本の中で、漫画はバロンさんの作品だけです。自分の生きるスタンスをどこに置くべきか悩んだ時期に『柔侠伝』に描かれている生き方が大きなヒントになりました。ヤクザも学生も夜の女たちも、皆が同じ空気を吸っている。世界が分断されていない。その中で主人公が見せるリアルな明るさというのは、『前向き』というのとは違って、いつも『今、ここに生きている』姿です」 作中では理不尽と不条理の渦巻く社会の矛盾が色濃く描かれる。その中で主人公の柳勘九郎は、時に信念を貫き、時に揺らぎながら生きていく。多情多感、義侠心の強い彼の精神はバロン吉元の美学に基づいたもので、学生運動の盛んであった連載当時「右も左も、真ん中も読んでいた」と評される本作。そこに描かれる個性豊かな人々の生き様は、70年代を代表するヒット作品として多くの読者の共感を得、その人生観に多大な影響を与えてきた。日本を取り巻く情勢や、暮らし、流行など、様々な様式は当時と現代とでは大きく異なる。しかし、多くの人が生きることに困難を感じ、先の見通しが立てられない現代においてこそ、主人公・柳勘九郎が魅せる「今、ここに生きている」姿は更に輝きを放つ。今、この時代に新装版として蘇った本作は、単なるノスタルジアではなく、“平成のその先”を手探りで迎えようとしている我々にとって「新たな出発点」となり、同時に世代を越えた「回帰点」となるだろう。本作が多くの人にとって頼もしい道しるべとなり希望の灯となることを願う。
明治15年、西郷四郎(17歳)は、福島県の片田舎から青雲の志を抱き上京――。巷では自由民権運動の嵐が吹き荒れ、アジア初の近代憲法・明治憲法制定をめぐり、様々な思想が入り乱れたこの時代。正義感に溢れ、情に厚く、時には恋に悩む快男児の青春を描いた傑作!
金貸しや八百長で金を稼いでいる大学生・隼恋次郎は、学校内の空き教室を賭場にする計画を実行し……。──喧嘩も博打も天才で女にもモテまくる型破りな男・恋次郎の青春を描く!
新免一族の体面を汚した新八郎を討たんとする無二斎。その息子・弁之助は、父の厳しい鍛錬のもと、ひたすら修行に打ち込む。――そう、彼こそが後に「宮本武蔵」を名乗り、天下にその名を轟かせる武傑となる――! 『バガボンド』に先駆けること20年、劇画界の鬼才・バロン吉元によって流麗且つ豪胆、ときに繊細に描かれる武蔵の生涯――。また、著者にとってはまだ描き残した部分があるのか、この後「宮本武蔵 五輪の書」も著すこととなる。まさに今こそ、読み比べて面白さを堪能すべき傑作!
『柔侠伝』でお馴染みのバロン吉元が博徒たちの世界を自ら取材し、描き上げた賭博もの短編集の金字塔。1話目の「くりからもんもん」の主人公・富樫文太郎は、東北地方の山村から亡父の戦友を頼りに上京してきた若者。文太郎は、浅草の貸元・山甚一家のこと、山田甚二郎の家に身を寄せるようになった。時は、昭和4×年、おりしも浅草三社祭たけなわの早月17日のことであった――。文太郎の父親は生粋のマタギ(狩人)で、そのうえ太平洋戦争当時、満州へ出兵していたころに中国人の坊主から少林寺拳法を習って帰国。その技は、名人級に達するものだったという。その秘技を一人息子の文太郎に伝授。少林寺拳法の真髄を理会する文太郎は、ヤクザ一家に入っても腕力を決して、つかわず、次第に博徒の気概を持ち合わさない山甚一家とそりが合わなくなるが…。
文化庁メディア芸術祭大賞も受賞しているバロン吉元先生が送る幕末大河ロマン。※バロン吉元先生画業60周年を記念して電子化。幕末の薩摩藩。当主・薩摩斉興の跡目を狙う薩摩久光は、なんとか嫡男・薩摩斉彬を落としいれようとしていた。それを知った下級武士・西郷吉之助、そして、山賊まがいのことをしている西郷凶之助一派は、これを阻止しようと行動を開始する。いまだ知られていない若き頃の西郷隆盛をバロン吉元流の解釈で送る新しい幕末漫画。
バロン吉元の「柔侠伝」、上村一夫の「同棲時代」、滝沢解+ふくしま政美の「女犯坊」、小池一夫+平野仁の「少年の町ZF」、江波じょうじの「トップ屋ジョー」など昭和を席巻した劇画がズズーッと勢揃い! 掲載作品一覧------バロン吉元「柔侠伝」(第1巻第1話 『女掏摸』収録)、上村一夫「同棲時代」(第1巻Vol.1 『今日子と次郎』収録)、原作:滝沢解 作画:ふくしま政美「女犯坊」(第1巻 『怒根鉄槌篇』収録)、原作:小池一夫 作画:平野仁「少年の町ZF」(第1巻 『ラボック光』収録)、江波じょうじ「トップ屋ジョー」(第1巻 『ガンは俺の命だ』収録)
石ノ森萬画館がある宮城県石巻市は、東日本大震災による日本最大の被災地となった。あれから10年…、当時の様子や復興に向かう人々の姿をマンガで紹介!!
劇画界の鬼才・バロン吉元が、剣聖・宮本武蔵に想を練ること十年。この歳月を経てここに新たに、痛快で軽妙、重厚で新鮮な“バロン武蔵”がはでやかに誕生!!
天下のマンモス・キャンパス聖城大学に嵐がまき起こる。わがヒーロー破格の快男児、隼恋次郎さっそうの登場である。キャンパス1の美女聖城小町の一万ボルトの熱い視線をよそに、学園内に賭場を開く……、男前で、博奕は天才、腕力も抜群、しかも大学生のくせに親に仕送りをするという風変わりなナイスガイ。男の青春を体当たりで描くバロン劇画の集大成巨編!!
ハンカ打ちのラジコン、ガングレのトッチン、アカタンのボタ山、花火屋のミー坊。競輪、競馬にパチンコ、麻雀…サイコロ賭博に花札博打、なんでもござれの四人だが、今だ儲けた試しなし……。神も仏もないものか……。ままよこの世は風次第、今日は東、明日は西。空腹抱えてどこへ行く……ひとりぼっちの四人組。ギャンブラーの悲哀を描いた表題作含む珠玉の短編9作収録。
反道徳的な三太夫といたって健全な道阿弥。対極な二人のじいさんが現代のタブーに次々と挑む。Hで不気味で激烈!ハチャメチャじじいが巻き起こすラジカル・コメディー!
収録作品は、表題作の「だるま校長」、「小さい鬼たち」、「瀬戸口先生」、「氷川先生命のかぎり」、「マドンナの花」の合計5作品。「だるま校長」は、著者自身の人間観や人生哲学といったようなものまで感じさせてくれる、バロン先生ならではの秀作である。が、笑いとペーソスに涙したい、“男の純情”大好き組の正統的まんがファンには、ぜひ「マドンナの花」の一読をお奨めしたい。男気あふれるやくざの親分・燕子花(かきつばた)陽介の活躍ぶり。また、ストリッパーの春日ミキ嬢に対する純情っぷりについ涙という感動もののストーリーもいいのだ。“本番ナマ板ショー”が全盛の頃の関西のストリップ劇場が舞台というのがまたよく、どきどきのストーリー展開とともに、熱い感動にひたれること、間違いなしだ。
3年振りに故郷の千日に帰ってきた竜が見たものは、街に渦巻くヤクザ、代議士などの顔役たちの争いであった。そして、思いもよらない幼なじみの裏切りに竜の怒りは頂点に。正義と友情をこの街に再び取り戻すために、漢(オトコ)・竜は、青春勇侠道を駆け抜ける!
ゴッドは万有の創造者であるとともにまた偉大なる破壊者である。これはゴッドに反逆する四人の少年と一人の少女の物語である――。太平洋のとある不思議な無人島に漂流した時……彼らはゴッドの正体を見る。ゴッドが人間をつくった目的は、単に遊びのためであった。その遊びというのは人間同士を戦わせて、それをゴッドが観賞すること。この世に戦争が絶えないのは、このためである。つまり、人間はゴッドのレジャーを満たすためにそのオモチャとして生きているのだ。人間が動物を飼っているように…。ゴッドは人類最後の破滅的な大戦争を期待して、人間界へ工作員を送り込むが…!? バロン吉元にとっては、異色のSF冒険コミック!
油まみれの栄冠――世界の自動車王・本田宗一郎の少年時代の熱い涙と生き様。その感動の物語をバロン吉元が懇切丁寧に、かつ愛情たっぷりに描いて話題をさらった好編だ。伝記という作品の性格上、一方的に主人公におもねるような作品もまま見受けられるなか、そこはさすがに天下のバロン吉元先生だ。マンガ本来の面白さ、特有の味わいも存分に味わわせてくれる。マンガ大好き人間も十分満足できる仕上がりなのだ。
ロッキー山脈の峻厳、デヴィルスタワーでバンジョー弾きの老乞食に拾われ“ロッキー”と名づけられた一人のガンファイター。いつしか、バウンティ・キラー(賞金稼ぎ)としての放浪生活が始まる。そして、賞金稼ぎロッキーの標的は常に獲物の耳であった。そんな彼のことを人々は「片目のハイエナ」と呼ぶようになって……。アメリカの歴史の暗部を覗きみれるような楽しみもあり、傑作ぞろいの作品集だ。今となっては滅茶苦茶懐かしい西部劇集だが、絶対の力作ぞろいなのには、ただただ感動だ。
『日本柔侠伝』から20年の時を経て、21世紀に蘇る“柔侠伝”シリーズ。主人公、日向遙は大学三年生の柔道世界チャンピオン。故郷・宮崎の日南海岸でのサーフィン、兄と共に行った海水中の鍛錬で身につけたロックンロール柔道! 亡き母の思いを抱いて、世界選手権に挑戦する! そんな遥に接触するのは、幼なじみにして宿敵・真武会空手の鳴神紫苑。鳴神のバック、日本の政財界を牛耳る暁光グループは国家権力と結託し、暴力行為で業績を伸ばしてきた世界的コングロマリットなのであった……。シリーズの掉尾を飾るに相応しい感動と躍動感が、胸躍らせる!
『柔侠伝』でいまだに根強くファンに支持されているバロン吉元が1981~82年まで「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)に連載したのが、この『海の拳』だ。南の島で生まれ育った快男児・海原ケンがこの作品の主人公。ボクサーとしてスカウトされた海原ケンが様々な苦難を乗り越え、日本チャンピオンとなるまでを丁寧に描く。少年誌に連載された作品とはいえ、ストーリー展開は十分におとなも楽しめる作品となっている。
六根清浄! 怨毒の中に生きる流浪の剣士・四魔鬼円十郎は、自らを悪道へと導いた仇敵・玉利源五兵衛を討つため、薩摩藩のお家芸、師無き、実践剣法「示現流」の修練に余念がない。源五兵衛により次々に放たれる手練者の刺客たち。いざ、“四悪趣四魔”の鬼となり、憎き源五兵衛を討たん!