漫画を愛する塩澤さん
東京の街で文鳥と暮らす、漫画編集者の塩澤さん。 塩澤さんという男がどんな人間なのか、本文に滲み出ている。 文鳥と敬語で会話。物は多いが整理された部屋。深々と丁寧にお辞儀。文房具全てに名前シール。横断歩道では手を挙げて。待ち合わせには1時間前到着。 そんな塩澤さんは、どれほど真摯に仕事に向き合ってここまできたのだろう。そんな中、仕事を辞めた。 この先、愛する漫画とどのように向き合っていくのか。 塩澤さんの新しい生活が始まる。
大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。理想の漫画誌を作るため、自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、東京の空の下、それぞれの人生が交差する。
連載中は塩澤さんの新雑誌創刊を軸に読んでたけど、単行本では長作くんのスランプ脱出の方がグッと来たかもな。娘のルナちゃんが長作くんの漫画のキャラを友達だって言ってくれる場面には泣いちゃいます。他にも色んなことが重なってスランプ脱出に繋がったんだろうけど、一番は長作くん本人が漫画に向き合うことを諦めなかったから成し得たことですね。最終回で塩澤さんが「漫画を作る過程にこそ喜びがある」と言ってたのと、3巻の帯文「人は呼吸し漫画となる」は意味が似てるなと思いました。もっと長く読みたかったなと思ったけど、単行本で一気読みしたら文句の付けようがないくらいベストな形でまとまってたので、これからは折に触れて何度も読み返していきたいです。