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ピサ朗
ピサ朗
1年以上前
実のところハルと千葉がコインの裏表になってるあたり、作者は皮肉を思いっきり込めてると思う。 例え木剣だろうが刃引きしてようが、闘技場で働くのと娼館で働く危険性は「本来」どっこいどっこいだろうし、娼婦の人気も闘技場の人気も拘ってもしょーがないものに過ぎないし、結局互いに自分の安全(と思ってること)を確保して働いてるようで遊んでるだけ(互いに相手が遊んでて自分はちゃんと働いてるって思ってそうだけど)だろうし。 この世界の人間と同じ立場、視点を持つ事は無理なのは確かなんだが、話自体は読者が女性中心という事もあるにせよ徹底してハルの視点で描かれてるから、この意地の悪さに気が付いている読者がどれだけいるか気になる。 終盤の種明かしは「チートを使っても幸せになれない千葉」と「チートを使わなかったから人を不幸にしてるハル」という構図がある。 娼館で人を癒すのも闘技場で人を熱狂させるのも大して変わらないし、兵役や魔王が存在するのに作中ではロクに描かれないのは、ハルも千葉も一切そこに目を向けていないからだし、そうして二人とも遊んでた結果救えた筈の人を殺させてしまい、その元凶が魔王や政治だとは思いもせずハルは憂さ晴らし(感情的には理解できるが、魔王の脅威を消さない限りまた起こる事でしかない)で何人も殺して、街の防衛力を削ってる。 もしも魔王が襲ってきたらハルも千葉も、身内が殺されない限り逃げるだけだろうし、ハルは元の世界に帰りたいならセックスし続け戦いに身を投じればいいのだけど、そんな「本当の」苦難の道に身を投じ目的を達成しようという意思はなく、楽な方を選んでいるという点では結局千葉もハルも同類でしかない。 最終的には、二人ともに自分が未熟な子供である事は理解し始めているが、おそらく二人とも打ち解けることは無いだろうし、視点の持ち方で明らかに印象が変わるようにしていて怖い。 ハル側にしろ千葉側にしろ、異世界側にしろ元世界側にしろ、本当の意味で相互理解はできないだろうけど、徹底してハルの視点で描かれ視点が明確な分、見えてない事、想像できることがあまりにも多く、掲載媒体的にはともかく広い層が読めば受ける印象はかなり異なると思う。 元々作者が意地の悪い作品を出してはいたのだが、このハルと千葉の生々しさと酷さは明らかにストーリーの魅力には繋がっているが、キャラの魅力に繋がってるとは言い難く、キャラに好感も嫌悪も強烈に感じてしまい、性的・残酷描写以上に人にお勧めする気は正直出てこない。 いずれにせよ作者のプロデビュー作という点では、ある意味で流石としか言いようがない。

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ピサ朗
ピサ朗
1年以上前
原作者は昔ネットでエロ小説を発表されていた方なのだが、願望充足全開なご都合主義的なエロ小説と思わせて「どんな凄い力を手に入れたって幸せにはなれない」ようなストーリーが特徴で、そのノリがぶち込まれてる作品。 異世界転移したJKとDKの内、JKハルは男尊女卑の社会制度上娼婦ぐらいしかできないのだが、それもまぁいっかとあっけらかんとドライに現実に生きているのだが、 DKの千葉は異世界転移して凄い力を手にして調子に乗って活躍しているが、魔王を倒すでもなくその力で稼いでちやほやされて満足してるだけでいわば夢に生きている。 千葉はオタクで同じ世界から来てるのも手伝いハルにちょっかいを出すが、顔面もそうだが調子こいた結果の敵も多くてハルにそれをぶつける客もいるしで、ハルは千葉を嫌ってて同じ年代の女性とおしゃべりする方を遥かに楽しんでいる。 正直ハルにせよ千葉にせよ言動・行動のある種の生々しさと醜さが手伝い、ビジュアルはそうでもないのに嫌悪感が強いのだが、原作小説が先に進むとコレがまたまぁ… ハルはハルで社会制度やこの世界の不幸をひっくり返せる、嫌悪している千葉と同じくチート能力の持ち主だが、社会制度の改革なんて男尊女卑のこの世界じゃ男の仕事だろとでも言わんばかりの態度で、 千葉がこの世界のレベル限界なんかの現実に屈した裏で、ハルは現実に生きているが、能力を使用した原因だってこの世界の現実で仕方ない事だが、仕方ない事じゃ無くす事だって出来る力を持つのに、そんな夢を見ようともしていない… とにかくネット小説時代の「どんな凄いチート能力があっても俺たちは幸せになれない」ノリがハルというJKにも適用されているのだが、その能力で好き勝手していたネット小説の男たちに比べると、能力の使用は限定的で日銭稼いで毎日を楽しく過ごせれば良いという、ある種の健全な無欲さがあるのだが、その無欲さが不幸を増やしている現実からは目をそらしている…。 ほとんどのキャラは好感を持つことはできなかったが、そのストーリー自体は何とも強烈な皮肉と生々しさが魅力的で、間違いなく人を選ぶが刺さる人には強烈に刺さる作品だと思う。
ピサ朗
ピサ朗
1年以上前
実のところハルと千葉がコインの裏表になってるあたり、作者は皮肉を思いっきり込めてると思う。 例え木剣だろうが刃引きしてようが、闘技場で働くのと娼館で働く危険性は「本来」どっこいどっこいだろうし、娼婦の人気も闘技場の人気も拘ってもしょーがないものに過ぎないし、結局互いに自分の安全(と思ってること)を確保して働いてるようで遊んでるだけ(互いに相手が遊んでて自分はちゃんと働いてるって思ってそうだけど)だろうし。 この世界の人間と同じ立場、視点を持つ事は無理なのは確かなんだが、話自体は読者が女性中心という事もあるにせよ徹底してハルの視点で描かれてるから、この意地の悪さに気が付いている読者がどれだけいるか気になる。 終盤の種明かしは「チートを使っても幸せになれない千葉」と「チートを使わなかったから人を不幸にしてるハル」という構図がある。 娼館で人を癒すのも闘技場で人を熱狂させるのも大して変わらないし、兵役や魔王が存在するのに作中ではロクに描かれないのは、ハルも千葉も一切そこに目を向けていないからだし、そうして二人とも遊んでた結果救えた筈の人を殺させてしまい、その元凶が魔王や政治だとは思いもせずハルは憂さ晴らし(感情的には理解できるが、魔王の脅威を消さない限りまた起こる事でしかない)で何人も殺して、街の防衛力を削ってる。 もしも魔王が襲ってきたらハルも千葉も、身内が殺されない限り逃げるだけだろうし、ハルは元の世界に帰りたいならセックスし続け戦いに身を投じればいいのだけど、そんな「本当の」苦難の道に身を投じ目的を達成しようという意思はなく、楽な方を選んでいるという点では結局千葉もハルも同類でしかない。 最終的には、二人ともに自分が未熟な子供である事は理解し始めているが、おそらく二人とも打ち解けることは無いだろうし、視点の持ち方で明らかに印象が変わるようにしていて怖い。 ハル側にしろ千葉側にしろ、異世界側にしろ元世界側にしろ、本当の意味で相互理解はできないだろうけど、徹底してハルの視点で描かれ視点が明確な分、見えてない事、想像できることがあまりにも多く、掲載媒体的にはともかく広い層が読めば受ける印象はかなり異なると思う。 元々作者が意地の悪い作品を出してはいたのだが、このハルと千葉の生々しさと酷さは明らかにストーリーの魅力には繋がっているが、キャラの魅力に繋がってるとは言い難く、キャラに好感も嫌悪も強烈に感じてしまい、性的・残酷描写以上に人にお勧めする気は正直出てこない。 いずれにせよ作者のプロデビュー作という点では、ある意味で流石としか言いようがない。
宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

じぇーけーはるはいせかいでしょうふになった
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