もはや歴史の教科書
昔のスーパースターはプロレスラーだってのが実感できると思います。 個性豊かな、それこそ漫画に出てくるような設定の実在する人間がたくさん出てきますね。 僕らが普段TVでみているあらゆるバラエティの元ネタの宝庫だったりします。 まだ昭和プロレス全盛期を知らない若者は一度読んでみるべきです。 ※多少、脚色はしていますが
夢と誇りを賭け、リングに上がる男たち。力と技がぶつかり合い、数々の死闘が繰り広げられる。その中に世界でもっとも愛された悪役レスラーがいた。その名は、アブドーラ・ザ・ブッチャー!
80年代に活躍した人気レスラーを、それぞれ数話の
シリーズで紹介した自称ノンフィクション漫画。
各レスラーの成長や活躍話を読んで、
どんどんこの漫画とプロレスにのめりこんでいった人は
多いだろうと思います。
実際にはかなりのフィクション・脚色・虚構が
含まれていたわけですが。
連載当時から
「この話ってホントなの?」と、読者からの
疑問の声は上がっていました。
しかし「面白いからいいか!」が超越していました。
ピュアなプロレスファンは素直に面白がり、
スレたプロレスファンはツッコミを入れながら
面白がっていたと思います。
ピュアで、この漫画を見てプロレスファンになった人も、
いつかは第何巻かの何かのエピソードをみて
「あれ?」「これはさすがに・・」
と気が付いてしまうのです。
私はハンセンがベアハッグでドラム缶を潰した
シーンを見てそう思いました。
「だがそれでもプロレスは面白い」
と読み続けてしまった・・
という人が多いのではないでしょうか。
場合によっては「だからプロレスは面白いんだ」
と思ったり。私がそうです。
ハンセンでもドラム缶は潰せないだろうとは思いつつ、
もうプロレス大好きになってしまっていますから、
この漫画を読みプロレスを見ることがやめられなく
なっていました。
今になって思いますが、あれだけ強いレスラー達が
描かれていて、でもそれを読んでいたころは
「ところで誰が最強なんだよ!」とは
あまり考えなかったですね。
もうね、ハンセンもアンドレもマスカラスもフレアーも、
みんな強くて凄くて個性的で「それが良い」と思うように
なっていましたね。
プロレスを楽しむ見方を、考えの仕方を、
知らないうちにこの漫画によって誘導されてしまっていた、
という感じです。
最近になって某古本で作画の原田久仁信先生の
インタビューを読みましたが、それによると
連載開始したころはそれほど人気が出なかったそうです。
けれどタイガーマスクが現実に登場した後、
ほぼリアルタイムでタイガーマスク編を始めたら
少年サンデー(掲載誌)の人気アンケートでベスト3に
入るくらいに人気が上がったそうです。
確かに、そのころ私も現実のタイガーマスクの
正体とか経歴とか僅かには知っていましたが、
列伝でのタイガーマスク編を
「あのタイガーの正体がわかるかも」と毎週楽しみにして
読んでいたことを覚えています。
「いや、さすがに猪木さんまでタイガーの正体を
知らないとか、それはありえんだろ」
とかツッコミを入れたりしながらですが(笑)。
プロレスを好きになる理由や、どう見て楽しむかは
人それぞれであり、その許容範囲の広さもまた
プロレスの魅力の一つでもあったと思います。
そんな中で私の性格にあったプロレスの楽しみ方を
指南して導いてくれたのがこの漫画だと思います。