世界一の交渉人、別府勇午。ナンバリングされている22巻まではアフタヌーンで、その後はイブニングに掲載誌を移して完結しました。
国家の陰謀やテロとの交渉を行う勇午はその時々の世界情勢ともリンクし、異なる文化を垣間見せてくれます。
印象に残る交渉は多いのですが、自分が勧めているのは9・11後に描かれた「パリ編」です。
自分達が生きている世界は残酷で、血塗られている。サブタイトルの「Endless War」という言葉が、読後に深く胸に刺さります(巻数として20・21巻になります)。
いわゆる「グロ」描写もあるため読み手を選ぶ作品ですが、パリ編は比較的おとなしいので、多くの方に読んで欲しいタイトルです。

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魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春

長い時を経て #1巻応援

魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春
ナベテツ
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原作小説を読んだのは中学生の頃、近所の図書館で借りたことがきっかけでした。30年後にこの作品がコミカライズされると聞かされたら、少年はどんな感想を抱いたのでしょうか。 ドラクエなどのRPGに多大な影響を与えたウィザードリィ。死亡したキャラの蘇生に失敗すると灰になり消滅してしまうというシビアな設定が、この世界を伝える物語のタイトルとなり、やがてコミックへと転生を遂げました。 版権の都合で、ウィザードリィの固有名詞は一切使えず、アイテムや呪文、固有のモンスター名などは全て変わっています(ガディは原作よりだいぶおっとりしてる気もします)し、気を抜くと先の展開のネタばらしをしてしまいそうになりますし、ここでもなるべく注意をして言葉を選びたいと思います。 昭和~平成のファンタジーのコミックも好きなタイトルはあります。ただ、令和に描かれるとやはり迫力が違うなあと感心しますし、(物語を既に知っているとはいえ)迷宮での冒険がどのように描かれるのか、展開を楽しみにしています。ペース的に、原作を描ききるには相応の話数が必要だとは思います(稲田先生はかなり丁寧にストーリーを紡いでいますし、連載の継続の一助にでもなれば、との思いでこの口コミを投稿しています)。 魅力的なキャラはこれからも沢山登場しますし、日本のファンタジーの金字塔として語り継がれるベニー松山さんの傑作を、1人でも多くの人に知って貰えれば(原作小説、紙だと高騰してるんですよねえ。電子で簡単に買えるんでまあ良い時代になったなあと思います)。 続編の「風よ、龍に届いているか」や外伝の「不死王」もコミカライズされて欲しいもんだと、古いオタクは願ってます(不死王はKindleで100円ですからほんと良い時代です。一応紙でも持ってます)。

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還

幻獣達の物語

機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
ナベテツ
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ジョニー・ライデンという名前を知ったのは、テレビのガンプラのCMでした。アニメには出ない、設定先行のキャラであり、知名度と実像が一致しない、謎めいた呪文のような存在でした。 ガンダムを下敷きにしたアンソロジーなどでその姿を描かれることがあり、短編は幾つか持っていますが、26巻ものサーガになるとは思ってもみませんでした(沖一さんの短編集が佳作であると思います)。 一年戦争の最中、エースパイロットを集めたジオンのキマイラ大隊。多くの謎を残したまま闇に消えた「幻獣」。エース達を率いたジョニーに関しても、様々な噂が錯綜しており、それが様々なジョニー像の由縁であると作中で語られます(この辺がアークさんの作劇の巧みなところだと思います)。 作中はZZから逆シャアの間の時期であり、他の 作品で語られて来なかった空白の時代でした。制約のある中、過去作の登場人物やMSを絡め、先行作品へのオマージュやアークさんの過去の作品との関連性もあり、宇宙世紀に描かれた新たな歴史の一篇として、この作品の完結を祝いたいと思います。宇宙世紀の物語を知らない人にはちと勧め辛い作品ではありますが、戦闘シーンの格好良さも含め、ガンダム好きに勧めたい名作です。

がんばりょんかぁ、マサコちゃん

誠実な官僚と陥穽 #1巻応援

がんばりょんかぁ、マサコちゃん
ナベテツ
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以前に赤木雅子さんと相沢冬樹さんのノンフィクションを読んでおり、連載が始まったと知った時、単行本を楽しみにしていました(確か6月くらいに発売予定が出たので、伸びたのにやきもきしていました) 流石に森友事件を知らない人はいないと思いますが、幸福な夫婦を襲った不幸な事件であることは、論を俟たないところです。 赤木さんという人は、官僚として誠実に職務を果たそうとした人でした。本来の官僚というのは全体への奉仕者であり、特定の人間への利益を優先させるようなことを許容することは自己の存在を否定する事になります。己の職務が犯罪へと繋がるとなれば、官僚でなくとも耐え難いことでしょう。まして、仕事にプライドを持つ人であれば、その苦痛からの解放のために「最後の手段」を用いてしまったことへ何か言うことは出来ないと想像します。 ただ、遺された家族は違います。誠実に生きた人生に何が起きたのか、その事を知り、故人の名誉や尊厳を取り返す権利があります。たとえそれが権力者にとって不都合な出来事であったとしても。 この物語は、遺された妻の戦いの物語です。これからどれほど険しい旅路が待つのか、読者はただ見守るとしかできません。でもささやかながら、マサコちゃんへエールを送れればと思います。

1978年のまんが虫

まだサブカルという言葉も無い時代に#1巻応援

1978年のまんが虫
ナベテツ
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若くして成功を収めた作家に対して、その才能を讃えたり、羨望の眼差しで見つめても、その労苦へと想像力の翼を伸ばすことは難しいのではないかと思います。 作品がヒットして経済的な成功を得たとしても、その裏でどのような苦労を抱えたり葛藤を抱いているのか、受け手が知ることは叶いません。勿論、クリエイターに己の事情を明かす義務は存在しませんし、秘すべき事柄であるのかもしれません。 ただ、どれほどの才能を持っていても、彼ら彼女らも人間です。嬉しいことがあれば喜び、悲しいことには涙する。そんな素顔が垣間見えることが、漫画家マンガというジャンルの魅力の一つなのではないかと思います。 この作品は細野不二彦先生(作中では細納不二夫)がデビューに至る迄の物語です。進路に迷い、不確かな未来への夢と現実との間に揺れるその様は、多くの人々と変わらない、等身大の青年の姿です。 一人の青年の青春譜は、その時代を瑞々しく描いており、当時の世相を知ることが出来る一級品の資料としての価値もあると断言します(ヤマトからガンダムへの間を知ることが出来る作品を、自分は寡聞にして知りません)。 同級生の天才達(河森正治さんと美樹本晴彦さん)やトップランナー(高千穂遥さんや宮武一貴さん達)との交流は、自分の知らなかったことでしたし、日本のサブカルの歴史のページとして広く知られ、読まれて欲しいと願う作品でした。長々と書いてきましたが、シンプルに面白い作品なので、まずは試し読みから是非。

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勇午 超合本版

勇午 超合本版

交渉とは言葉を武器にした戦いである――。世界一の交渉成功率を誇る交渉人・別府勇午のもとに現れた涙を浮かべた若い女性・岩瀬繭子。「どうか、お願いです……父を……たすけてください」勇午は繭子の思いとともに単身パキスタンへ向かう。ダコイットとパキスタン政府軍の思惑が絡む灼熱の大地で、勇午の交渉は成功するのか!?

サガラ~Sの同素体~

サガラ~Sの同素体~

2018年、エルサレム。極秘裏に訓練を積んでいた一人の日本人警察官が、帰国を命じられる。200名以上の日本人武装勢力が、密かにイラクで実戦に参加していることが判明、その狙いを突き止めよとの特命が下ったのだ。武装勢力を束ねる男の名は、成瀬完治。彼と特命を受けた男、二人が持つ腕時計には、銃の発砲に反応して赤く発光する、特殊なダイヤモンドが埋め込まれていた。成瀬の狙い、そして二人の男の繋がりとは――。

オフィス北極星

オフィス北極星

10年間勤務していた保険会社を退職し、N・Yにリスクマネージメントの会社、オフィス北極星を設立したゴー・時田。行動力があり有能なパートナーのサム、エリート美人弁護士のバーバラ、ダンサーであり占い師のシャーという3人の女性を味方につけ、アメリカに進出する日本企業のコンサルタントで、アメリカという名の訴訟社会に挑む!

クライシス -危機管理の男-

クライシス -危機管理の男-

三ツ橋五郎(みつはしごろう)・34歳・独身。業界大手の総合商社・(株)カナヨシ本社の秘書室に来て半年、なんの仕事も出来ずにいるお荷物社員。それ以前は、9年間も世界中の支店をたらい回しにされて、どこでも使い物にならなかった男!周りの人間はそんな彼のことを“腐ったミカン”と呼ぶ。……しかし彼の本当の役目とは、社内外のあらゆる問題から会社を守る“危機管理のスペシャリスト”だった!!

スパイの家

スパイの家

日本は狙われている!一見、平穏に見えるこの日本も一皮むけば、世界各国の情報機関の攻勢にさらされている!だが、そこには日本の諜報活動を800年にわたり担ってきた阿賀一族の姿がある!現当主の阿賀邦彦とその娘・女子高生のまりあは人知れず諜報戦を繰り広げているのだ!

どうだ貫一

どうだ貫一

「命も身体も張るのなら、しっかり張ってもらおうか!」――声のデカさと肝っ玉の風雲児、堂田貫一は大手ゼネコンの応援団長。豪快な人柄の人気者だが、野球部解散の憂き目にあって、なんとリストラ対象の筆頭に。彼の体に目を付けた上司は、ヤクザとの交渉人というヨゴレ役へと大抜擢!『勇午』原作の真刈信二による交渉術の物語と、『ああ播磨灘』のさだやす圭による「男の温かさ」が心にしみる、巨弾コラボレーション、ここに始まる!

勇午 Final

勇午 Final

交渉とは言葉を武器にした戦いである。世界一の交渉成功率を誇る交渉人・別府勇午(べっぷ・ゆうご)。長きにわたり読者を魅了し続けた男が最後の交渉に挑む。舞台はトルコ。「勇午」史上、最凶の事件が襲いかかる。勇午は、人類同士の大量虐殺を阻止できるのか―――!?

勇午 台湾編 YUGO the Negotiator

勇午 台湾編 YUGO the Negotiator

台湾全土を巻き込む、渾身の交渉!国を憂い、愛する男が、台湾に激震を走らせる。――台湾で一人の男が失踪した。男は台湾で財をなし、国の経済を動かすほどのVIPで、若かりし頃の勇午(ゆうご)を知っている間柄でもあった。謎の失踪の背後に不安を抱きつつ、勇午は依頼を受け、男を捜す旅に出る。時を経て追いかける男の行方に絡み合う、台湾が抱える闘いの歴史。若かりし頃の想いを胸に、勇午が台湾の地に降り立つ!

勇午 フィリピンODA編 YUGO the Negotiator

勇午 フィリピンODA編 YUGO the Negotiator

東洋の真珠・フィリピンを舞台に、勇午(ゆうご)の交渉が歴史の謎を紐解く!戦後60年の清算と旧日本軍の呪縛。ODA(政府開発援助)の名の陰で躍る影!今回の依頼の発端は、第二次世界大戦にさかのぼる。フィリピンの最前線で戦い、死んだはずだった男が生きていた。彼の過去を探るため、勇午はフィリピンに降り立つ。大統領選まっただ中のこの国で、勇午は国境を越えた陰謀に巻き込まれていく!!

勇午 洞爺湖サミット編 YUGO the Negotiator

勇午 洞爺湖サミット編 YUGO the Negotiator

EMERGENCY!!世界で7番目に危険なテロリスト日本潜入!目的は洞爺湖サミット!!勇午(ゆうご)史上、もっとも悲しい交渉が、今、始まる――。国際的テロリスト、シュケルが成田空港に降り立った。警察はテロ計画の全容を握るため、日本への入国を許可した。その頃、勇午はロシア大統領主席顧問の元夫人から依頼を受ける。彼の殺害を止めるための交渉を――。洞爺湖サミット開催まであと2週間!

実録ヤクザ列伝 伝説の極道ボンノ~山口組・菅谷政雄の侠気と武闘の生涯~

実録ヤクザ列伝 伝説の極道ボンノ~山口組・菅谷政雄の侠気と武闘の生涯~

三代目・田岡一雄率いる山口組の盃を受けた“ボンノ”こと菅谷政雄は、山口組の全国侵攻の先兵として各地へその勢力を広げていくのだが、警察による熾烈な頂上作戦が始まり、山口組も大きく揺れることになる…果たしてボンノはどう動く!? ――山口組三代目・田岡一雄から、柳川組組長・柳川次郎、地道行雄・山本健一ら山口組最高幹部、稀代の博徒・波谷守之、夜桜銀二こと平尾国人、執拗にボンノを追う後の法務大臣・秦野章刑事課長まで――…個性あふれる破格の漢(おとこ)たちが群雄割拠する昭和という激動の時代を駆け抜けた、ひとりの不世出の極道の生きざまを熱くドラマチックに描く、長編実録ピカレスクストーリーの決定版!!(全4巻)

ダンダラ

ダンダラ

栗塚旭氏絶賛!! 歴史的傑作!「新選組血風録」土方歳三役 「隊士の描き方が新鮮!! 新撰組のヒーローたちが、画面から飛び出す傑作劇画だ!」 武士を気取るなら、「生」か「死」か道が2つのときは死んで散れ!!

試し読み
賊軍 土方歳三

賊軍 土方歳三

かつて京で、幕府に背く長州藩らの不逞浪士を取り締まっていた武闘集団「新選組」。明治元年、今や長州・薩摩が官軍を名乗り新選組は賊軍と化していた。官軍に北へと追いつめられる中、新選組副長の土方歳三は、重病を患う友・沖田総司のもとを訪れる。はたしてその真意とは――!

ロストフード

ロストフード

時代とともに忘れ去られていく懐かしい味、その名は「ロストフード」。私立探偵・百武推理、通称モズは本業の他に一度食べたその味を忘れない絶対味覚の舌を駆使し「ロストフード」を再現することも生業としていた。飽食ニッポンが産み落とした錬金術師か、ただの食いしん坊か…!?新感覚ヒーロー、ここに降臨!!

タナトスの使者

タナトスの使者

死にたいならヤツを探せ。必ず逝かせてくれる。男の名前は来島明良。生に絶望したとき、生に飽きたとき、生が苦痛なとき、彼を訪ねるといい。来島は、謎の組織「日本タナロジー学会」の、医師にして調査員。彼に「死に値する」と認められた人間は、安らかな死を処方してもらえるのだ…。『勇午』の赤名修が新たな原作者と描く、生と死の意味を問う人間ドラマ。雑誌上で絶大な支持を得た本作が、単行本でついに登場!

闇鍵師

闇鍵師

江戸で評判の腕利きの錠前屋、錠之介には裏の顔があった。心の闇が開く時、人は魔に憑かれる。その魔を錠に封印することを“枢(くる)り”という。錠之介の裏の顔、それは江戸の町にはびこる魔を封印する“枢り屋”である!『勇午』の赤名修と劇団☆新感線の座付き作家、中島かずきの最強タッグが産み出す大江戸魔物アクションストーリー。中島史観が赤名修の超絶無類な筆で繰り広げられる、極上のエンターテインメント!

御手洗潔@星籠の海

御手洗潔@星籠の海

ロングセラー『勇午』シリーズの赤名修が、日本ミステリー界の重鎮、島田荘司の御手洗潔シリーズを漫画化! 瀬戸内海にある興居島の湾に、一年で六体もの変死体が流れ着いた。奇妙な事件の調査を依頼された御手洗潔(みたらい・きよし)は、石岡和己(いしおか・かずみ)とともに瀬戸内へ! 次々と起きる事件! 新発見された古文書から見つかった「星籠」という謎の文字! 連続殺人と歴史の謎に名探偵・御手洗潔が挑む。

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