言葉と思いの伝え方
綿谷さんの友だち 大島千春
言葉選びを考えさせられる内容でドキッとします。本音と建て前を考えながらコミュニケーションをとるのは改めて大変。シャーペンの芯「ちょっと、もらえない?」「ちょっとって具体的にどのくらい?」のくだりは「?」になってしまう人が多数な気がする。気持ちを言葉で表現するのはいくつになっても難しいなーと思ってしまいます。
同著者の「いぶり暮らし」が好きで、その作家さんの新作ということで読了。
いぶり暮らしでは、グルメ漫画の面よりも、燻製生活を通しての同居人二人の関係や周囲の人間とのやりとりーーいわゆる「人間模様」が好きだっただけに、この作品はよりその点にフォーカスした作品で、個人的にドンズバでした。
綿谷さんは、周囲とあわせられず、空気も読めず、冗談も通じない、不器用な人間です。
「シャーペンの芯ちょっともらえない?」
と聞かれ
「ちょっとって、具体的にどれくらい?」
と聞き返すような感じ。
言葉通りにしか受け止められず、本音でしか生きられない。
皮肉も通じない。
なんと生きにくいだろうなぁと思いながら、どこか彼女を羨ましく思えてしまう。
周囲にあわせるだけの、風見鶏になっている自分としては。
最初は一人だった綿谷さんも、徐々に理解され、また綿谷さんも理解し(学習とも?)、友だちが増えていって、その過程も読んでいてい気持ちいいです。こういう人が報われるのって、嬉しくなるのです。
また、人間関係うまくいってそうなクラスメイトも、内面では色々問題を抱えていて、今後それがどう展開されていくか楽しみです。