ロリータハウツー本ではない
ロリータ服のハウツー本では全くなかったです。着用の心得とか、立ち居振る舞いのコツとか、メイク方法とかそういうのは一切無いです。ちょっとそういうのに興味があったのです… ロリータ服をきっかけとする、主人公の気づきと成長と出会いの物語とでも言いましょうか… 登場人物の中でもカヤさんは素敵です。毎日酒場(バー)に強めの服を着てやって来てビール類を流し込んでいるお嬢さんです、昼は介護福祉士、夜はバーテン?、働き者のうえ人間の出来た素晴らしいお嬢さんなのです。主人公は偶然彼女と出会いますが、この出会いなくしては物語が成立しませんマジで。全編通して一番好きなシーンはカヤさんちにお泊まりして着せかえごっこ遊びをするとこです。うらやましいぞ。 物語は終盤小澤君を掘り下げて進んでいきますが、羽根をむしって丸裸にしてから建て直しまでの流れの無駄のなさがお見事だと思いました。中盤のSNSで主人公が攻撃される、生徒が改心するまでのくだりも、きつすぎる悪意の描写は無い(ひかえめ)なのが美点だと思いましたが、小澤君の過去と現在の描写も、つらいけど必要最低限というか、過激ではないのが良かった。 ※ここで言いたい過激っていうのは、よく広告である、見た人の興味をひくことだけを特化したような思わせぶりでショッキングで醜悪なシーンの寄せ集めのアレみたいなことです ストーリーの流れありきの、材料の1つとしてのロリータ服なんだな!と勝手に思っていたら、作者インタビューにロリータ服を描きたかったという発言を見かけて今「????」ってなっています。ロリータ服の魅力を伝える的な要素は限りなく薄かったように感じたのですが、、、、???
2巻も良かった。
1巻で描いた「自分らしく生きる大切さ」に対して、そこで終わりじゃないと痛烈に叩きつけてくる。
家族は最も近い他人とはよく言ったもので、無償の愛はあれど100%理解し合えるものではない。
しかし理解はなくとも愛せるのが家族だ。
理解できなければ愛せないのが本物の他人だ。
自分の想いのルーツを、原点を探し、再び志を強く持つのだ。
僕も芸人をやっているが、最近になってようやく目立ちたい理由に気付いた。
僕の原点は、転勤が多く地元が無い、つまり定期的に自分を知る人のいない土地へ行くことの哀しみだった。
「自分を知ってる人を増やしたい」ではなく、「自分を知らない人を減らしたい」という妙な感情を持ってることでそこに気づけたのだ。
自分を知らない土地へ行くのが悲しかった。地元が欲しかった。
そこをルーツにしていることに気づけたときに少し楽になった。
それまで何のために頑張っているのか分からなくなっていたからだ。
そして次のステージだ。
他人と違う目立つことをするとき、自分一人なら覚悟できる。すべての責任と視線は自分に降りかかってくるから我慢さえすればいい。
しかし、それが他の誰かを伴った場合は?
3巻ではどんな答えを見せてくれるんだろう。
楽しみだ!