人はなぜ神を求めるのか。約一万二千年前、人が神と接することのできた古代の日本。ある村に暮らす少年・鷹野(たかや)は、捨てられた赤子を拾った。赤子はとおこと名づけられ鷹野の妹として育てられた。とおこが七歳になったある日、村は邪悪な威神(いしん)の徒党に襲われる。生き残ったのは鷹野ととおこ、そして青年・青比古の3人。彼らは威神と対立する、亞神(あしん)の信奉者たちと出会い…――SF大河ロマン堂々開幕!!
露や花/花や露なる/秋くれば/野原に咲きて/風に散るらむ/ 藤原家隆の短歌にのって、過ぎし日の別世界――古の武士と鬼の束の間の幸せな日々を描いた「花伝ツァ」は残菊の香気、木原ロマンを堪能できる秀作。他に「こ・来・く…来る!」「あさみどり夏姫」を収録。
ロマン派・木原敏江の初のハード・ボイルドの舞台は、大都会・ニューヨークから始まる。ミステリー作家と貧しい少女の出会いが、運命の歯車を回し始めた。表題作他、「大江山花伝」の続編「鬼の泉」と「深き陽炎の森から」で、木原ロマンの香りをタップリお届けします。
海賊の若きキャプテン・アスールは、漆黒の髪をなびかせ、まだ見ぬ故郷へと旅立つ。北の凍てつく海を乗りこえ、目ざすは百合の花咲きみだれ、黄金につつまれた夢の国。麗しのフィリップも登場する、歴史ロマン「エメラルドの海賊」第1巻!「愛は不死鳥のように」も収録。
「ビオランテ」それは、イギリス貴族の名門・プランタジネット家に伝わる首飾り。男には血と暴力を、女には愛と勇気を与えるという宝。1547年、9歳で王位を継いだエドワード6世の戴冠祝賀会の夜、財務官のプランタジネット公一家が地位と財産を狙うクランベリー侯に惨殺された。生き延びた6歳のエルシノア(エルシー)は海賊・ドレイクたちの手で助けられるが、執拗なクランベリーは追跡の手を緩めない。エルシーは逃げ込んだ森で隠棲中の若きエリザベス王女に救われる。自分を助けてくれた人々が次々と殺され、エリザベスと出会ったことで、エルシーの心が動き始める。髪を切り、男として復讐を誓ったのだ!
敗戦の色濃くなった第二次世界大戦下の日本。足の悪い知絵子は圭一郎と出会い、はじめて生きる喜びを知る。仕事と恋に追われていた笛子は、貢と出会ってやすらぎを知る。兄に守られていた美代子は、周一と出会って愛を知る。特攻隊員を命じられ、死を目前に控えた男たちの心の葛藤、そして彼らを愛した女たちの必死な青春。
『修一郎と薫』シリーズ、二作目!大正六年の春。カフェで修一郎に近づいて来たのは「新しい演劇」を志す劇団・地球座の座長・森脇だった。女役として参加させられたことに不平を漏らしつつも劇団員の情熱に感化されていく修一郎だが、言われのない糾弾記事を書かれた地球座は解散の危機に陥ってしまう??「クリスタル・ウインド」ほか、眩しいばかりではない時代を、強く生きていく修一郎と薫の物語!
大正五年、英語塾に通う修一郎は大人びた佇まいを持つ級友・薫に出会った。一見大人びている薫が時折見せる危うい儚さに、修一郎は反発を覚えつつも次第に惹かれていく――。緻密な考証と叙情豊かな筆致によって、大正時代を生きる若者達の成長を描き出す『修一郎と薫』シリーズ、開幕!
安積一族によって滅ぼされた結城一族。残された咲耶姫は危うく難を逃れ、通りがかった猟師に助けられた。人里はなれた山の中で、多世と名づけられて育った咲耶姫だったが、ある日安積の追手の手が…父を兄を一族を滅ぼされ、育ててくれた猟師も殺され、咲耶は鬼女と化す…
病弱な令嬢・露子(つゆこ)に起こる悲劇を描いた表題作と他5作品を収録した宮脇明子の傑作短編集。戦時中の昭和初期、もの悲しいピアノ曲「幻想ポロネーズ」が流れる九条家の前で、インコを捕まえた少年・末広(すえひろ)は、インコを探す九条家当主の孫娘・露子と出会う。そして数日後、九条家当主である祖父を亡くした露子は、祖父の後妻・藤子(とうこ)と一緒に暮らす事になるのだが……!?
古代インカへと不思議な力で誘われた少女が、彼の地の秘密都市へ旅立つまでを描く幻想ロマン!!「幻のビルカバンバ」でインカの記憶が蘇った和子とトパックの約束は守られるのか……。表題作の他、「樹霊の窓」を収録。
恵まれた容姿と頭脳を持つ青年医師・友井久嗣。彼はゲイとしての自分に目覚め、自覚し、アメリカ、日本、そしてアフガニスタンへと彷徨っていく。1985年~1987年、プチフラワー掲載。
サンダースおじさんのタイムマシンで、戦国時代にタイムスリップしてしまったのーこ。ひょんなことから、織田信長の結婚相手・濃姫の身代わりにさせられちゃって…!?オチャメな「のーこシリーズ」を収録。収録作品:天使かもしれない/宇宙人といっしょ/ソフトボーイ/神話になった午後
たんぽぽ畑でひろわれた、かわいい女の子・ジュディ。ジュディを助け励ます、やさしい少年・ランディ。2人は周囲の厳しいしうちにも耐え、お互いの愛を育てて明るく生きていこうとするが…!?
夢とあこがれと恋をのせて、ロマンチックに華やかに――。文明開化の大東京、小間物問屋のお志乃(しの)ちゃん。ある日、ヘンな外人さんに出くわしたことから、身辺にわかに大番狂わせに――!!
あとがきで言及されている読者からの感想にもある通り、読み終わった後すこし放心状態になるくらい重厚な作品。 設定が複雑で説明するのは難しいのだけど、ストーリーを追う分には混乱しない。「目に見える神々」と「目に見えぬ神々」がいるのがすごく面白いし、重要な意味を持っている。 性別も種も善悪も超越したキャラクター達が出てくるので、今読んでも全く問題ない。というか今こそリアリティを持って響く描写が沢山ある。多様性とはこういうことだと思う。 消したい過去が消せて、不安もない生活は本当に幸せなのか。何故この世界から争いがなくならないのか。宗教的な世界観に科学の視点を取り込みつつ整合的にまとめあげているのが素晴らしい。また時間をおいて再読したい。