ビオランテ
「ビオランテ」それは、イギリス貴族の名門・プランタジネット家に伝わる首飾り。男には血と暴力を、女には愛と勇気を与えるという宝。1547年、9歳で王位を継いだエドワード6世の戴冠祝賀会の夜、財務官のプランタジネット公一家が地位と財産を狙うクランベリー侯に惨殺された。生き延びた6歳のエルシノア(エルシー)は海賊・ドレイクたちの手で助けられるが、執拗なクランベリーは追跡の手を緩めない。エルシーは逃げ込んだ森で隠棲中の若きエリザベス王女に救われる。自分を助けてくれた人々が次々と殺され、エリザベスと出会ったことで、エルシーの心が動き始める。髪を切り、男として復讐を誓ったのだ!
赤異本と黒異本
「鬼畜島」外薗昌也が集めた怪談集、「異本」シリーズ。いわくつきで過去のコミカライズに入れられなかったとっておきの作品を外薗昌也が指名したホラー界の異才・呪みちる、鯛夢が待望の漫画化。夢の競演! 大胆アレンジにも注目! 【僕の家/鯛夢 ~「赤異本」「黒異本」『僕の家』『僕の家 後日談』より】故郷宮崎に帰った「僕」は実家が引っ越していたことを知る。父が相談もせずに購入していたマイホームは近所ではお化け屋敷とよばれ、どうやら老婆の霊がでるようで…? 家が、家族が、憑かれ、正気を失っていく! 語ってはいけない、アブナイ物件の話。 【地獄腐女子/呪みちる ~「赤異本」『腐女子地獄』より~】BL作家O先生のところにやってきたアシスタントマユ子。マユ子はO先生の熱烈なファンで、そのいきすぎた愛ゆえにどんどんアトリエを乱していく。オカルティックなマユ子によってしかけられた呪いとは? 【ビラビラ/呪みちる ~「黒異本」『団地 その後のその後』より~】幼い頃おじに連れて行ってもらったショッピングモールのオープニングで見たビラビラの怪物。大人になり、叔父の口から語られたそのビラビラの正体は、施工業者が起こしてしまった惨い死亡事故が原因のようで…。
波乗りの詩―彼女が風に吹かれた場合―
ある冬の真夜中に、海辺を通りすがった美保の目に飛び込んできたのは、月にシルエットを写しだし、まるでプロモーションビデオのようなワンシーン。何もかも凍りつくほどのこの空間の中で、ウインドサーフィンで飛ぶ彼の姿だけが、美保の胸には焼けつくほどに残り、焦がれていく――。阿部ゆたかが描く、少年少女たちの青春の記録……。
絵柄が少女漫画なのでそこまで描写がリアルなわけではないですが、まあまあ容赦ない話が多いです。ただ、ストーリーには伝えたいメッセージがしっかり込められていると感じました。1話目も、自分より弱いものに対する虐殺行為にただ興奮する少年の話ではなく、そこに至るまでに、世間の"自分以外の誰かの死"に対する認識を彼なりに冷静な目線でみた結果、行き着いたんだと思うと全く共感できないものではないな…という気持ちになりました。ここまで極端じゃなくても、罪を犯す一線を超えるか超えないかは誰もがギリギリの瀬戸際にいるのかもな、と タイトルにはホラーと書きましたけどホラーじゃないですね、多分。こういうのなんていうジャンルなんでしょうか。Kindle Unlimitedでサクッと読むには丁度いい短編集でした。