呪術廻戦

ジャンプに現れた平成最後の怪物

呪術廻戦 芥見下々
たか
たか

 心を揺さぶる面白い漫画には必ず「その世界の空気」が満ちています。呪術廻戦もまたら日常に当然のように呪いが潜んでいる不気味な空気がビンビンに満ちています。  また登場人物たちのキャラ立ちの良さもこの漫画の素晴らしい特徴で、キャラクターの発するセリフがいちいち印象的でかっこよく、どこかで見たことのあるありきたりなキャラは1人もいない。 「どんな女がタイプだ(中略)早く答えろ男でもいいぞ」 「寝不足か? 毛穴開いてんぞ」(※メインヒロインのセリフ)  「独特の雰囲気」と「キャラ立ち」の良さという点で、呪術廻戦はジョジョやHUNTER×HUNTERを彷彿とさせる。  ちなみに自分が読んでいて「あ、この漫画絶対おもしろくなるわ」と確信したポイントが、2話にある実在する仙台銘菓・喜久福の登場シーン。1話冒頭から続くシリアスムードが一転し、唐突に挿入される喜久福の紹介コマがメチャクチャおもしろい…!  実際、喜久福は地元民からしても萩の月より美味い(※個人の感想です)ので、「お、この作者ちゃんとわかってんな」と感心し、さらには現実の商品を登場させることで、「ああ、この作品は現実と同じリアルな世界なんだ」と自然に理解することができる素晴らしいシーンとなっています。  ...とまあいろいろ語りましたが、2018年12月4日に本編より面白い(※個人感想です)前日譚の「東京都立呪術高等専門学校」が発売されるのでこっちもぜひ買ってください!!!!(ダイレクトマーケティング)

セックス依存症になりました。<決定版>

作者の実体験をもとにした「依存症」との闘いの物語

セックス依存症になりました。<決定版> 津島隆太
mampuku
mampuku

タイトルで引いちゃったり偏見を持つのは非常に勿体ないし危険です。なんらかの依存症になることは誰にでも起こり得ることだからです。ましてや経験未経験にかかわらず性欲は誰しもが持つものだし、作中でも言及がありましたが"疲労"や"空腹"などのストレスがトリガーとなってタガが緩む感覚というのは私も身に覚えがあります。抑うつ状態とも関連が深いと何かで読んだことがあります。 https://wpb.shueisha.co.jp/comic/2018/04/13/102935/ … こちらで全話無料公開されています。 作者の実体験を元に、専門家の監修を受けて書かれています。「性依存症」そのものや互助会のような組織の存在など知らなかったことがたくさんです。また性依存症の種類もさまざまで、主人公(作者)はセックス依存症と診断されましたが露出症("狂"と呼ばれがちですが医学的にはこう呼ぶみたいです)の女性や痴漢行為に依存する男性も登場し、「痴漢は犯罪です」「ストップ冤罪」に加えて新しい見方ができるようになりました。 作中ではあまり触れられていませんが、調べると違法行為を繰り返してしまったり社会的地位を喪失してしまったりするリスクが高いようです。予防法などがあるのかはわかりませんが、多くは認知の歪み(痴漢犯罪者が「相手も喜んでいる」と思いこむ等)が認められるそうなので、これは性依存症に限らず気を付けたいですね。

バオー来訪者

荒木飛呂彦 格闘の歴史②

バオー来訪者 荒木飛呂彦
TKD@マンガの虫
TKD@マンガの虫

『ジョジョ』の荒木飛呂彦先生の連載2作目の今作 イタリア旅行で肉体美にこだわった ルネサンス美術に出会い、 そしてリドリー・スコット監督の 『エイリアン』を見て究極生物という 概念に気づき作り上げられた作品です! バオーという寄生虫みたいな生物に寄生され超人的な生物に変身できるようになった育郎を主人公に小さな女の子を助けるために戦う超王道ストーリーです! 『エイリアン』のイメージを少年漫画的な フォーマットに昇華させた見事な作品です。 当時B級と呼ばれながらも画期的なアイデアが詰まったホラー映画のエッセンスを 少年漫画の中に持ち込むという 革新的な荒木流創作術が開花した 荒木先生の歴史の中、そしてマンガの歴史の中でも大きな転換点となる作品だと思います ので、荒木ファンだけでなく全マンガファン必見の作品ではないでしょうか? 主人公の育郎が戦闘中は喋れないので、 代わりにナレーションが心情などを説明してしまうので感情移入がしにくいという問題点があるからか、打ち切りとなってしまった 作品ですが、この打ち切りは後の『ジョジョ』での大爆発に繋がるので、 意義のある打ち切りだったと思います。

名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story

ここから履修します

名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story 新井隆広 青山剛昌
たか
たか

ここからあの「安室さん」を履修します。ここ数年ハチャメチャに人気が高い安室透こと降谷零さんの過去編が始まったということで、これを機にここから沼に入門するつもりで今週のサンデー買いました。(コナンの知識は子供の頃にアニメで毎週見てた程度+最近の映画くらいしか知りません) いやもう、**すでに第1話からキャラの立ち方がすごい…!**初っ端から殴り合いの喧嘩してるのがいい。**仲悪いって最高**ですよね。 そしてそれをフォローしてくれるやつ、ノリの軽いやる、トラウマを抱えてるやつ…個性的な同期に囲まれているところも魅力的です。 そしてその**個性的な同期5人の気質を暗に示す紹介の仕方には痺れました…!!**https://i.imgur.com/PIlq2ZJ.png (『名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story』新井隆広/青山剛昌) 読んでみたら思った以上に面白くてこれから毎週の楽しみになりそうです。https://websunday.net/rensai/wildpolice/   【追記】 1話が面白かったので、軽い気持ちで「降谷零 警察学校」でググって出てきた「警察学校組」のページ見たらトンデモないネタバレを見てしまいました(自爆)はあ〜〜〜〜ん!!!無理!!!つらい!!いやもうどんな気持ちで2話以降読めばいいの…?無理…つらすぎる…。 まあ…でも逆に何も知らずに読んで打ちのめされるよりは良かったの、か…???

おなかがへったらきみをたべよう

鬼才・たばよう先生が生み出した残酷絵本 #1巻応援

おなかがへったらきみをたべよう たばよう
toyoneko
toyoneko

たばよう先生は、主としてチャンピオン系列の媒体に作品を発表している漫画家です。 デビュー作は、「TOILETPAPER MAN」。新人漫画賞で圧倒的な高評価を得た傑作です。 https://pyuupa.flop.jp/img/sm79_01.jpg たばよう先生は、その後の短期連載「くろすぶりーど」でもその鬼才ぶりを如何なく発揮し、2ちゃんねるのチャンピオンスレでは特殊な性癖に目覚める者が続出しました。 (なおこれらのデータは週チャンマニアクスから引用しました) https://pyuupa.flop.jp/index.html ところが残念なことに、これらの作品は単行本化されていません。 単行本化された唯一の作品は、宇宙怪人みずきちゃん(全2巻)。この作品も面白かったのですが、残念ながら(おそらく)打ち切りにて終了しています。 たばよう先生は、その後、コミックめづなどでマニアックな作品を発表したりしていたのですが http://www.comic-medu.com/wk/nunonechan 昨年(2021年)、久しぶりにチャンピオン系列の媒体で連載したのが、本作「おなかがへったらきみをたべよう」でした。 マンガクロスで連載された本作は、「今からぴったり10万年前!」を舞台にした、原始人の男の子と、こどもマンモスのお話。 一族が全滅し、一人ぼっちになった男の子と、親に捨てられたこどもマンモスの、一人と一匹の友情が描かれます。 しかし、10万年前の過酷な環境は、男の子に対して、生きるための残酷な選択を迫ります。 一人と一匹は、どのような結末に辿り着くのか…?というお話。 絵柄も素敵です。 もともと、たばよう先生は、ある意味で癖のある絵柄でしたが、今回は、全体的に絵本風に仕上がっており、一枚絵としても非常に美しいコマが多いです(添付)。 ただ、連載時はフルカラーだったものが、単行本化にあたってモノクロになったのは残念でした。電子版だけでもフルカラーにしてほしかった…。 本作は、生きることの過酷さと、我々現代人の傲慢さについて、深く考えさせられる残酷絵本です。全1巻で綺麗に完結しておりますので、興味を持った方は、ぜひ読んでみてください! なお、1~3話はマンガクロスで読めます。 https://mangacross.jp/comics/kimitabe/