子供はわかってあげない』の田島列島先生4年ぶり新連載別マガで『水は海に向かって流れる

受験で入学した高校へ通うにはおじさんの家の方が便利だったため実家を離れそこで暮らし始めるが、行ってみるとおじさんの家は空き部屋を複数人に貸している下宿だったので、個性的な住人と交流をすることになるのだった。

という感じのいわゆる下宿ものの話かな?とまだまだどう転ぶか分からない1,2話目。
でも待ちに待った新連載で嬉しい。

同居人である26歳OLの榊さんが、過去にすこし関係していて不穏さが漂ってたり、主人公の少年が絵を描いてたけど受験でやめたっぽいような軽いフリがされているので、部活でどうなっていくのか気になるところ。
ちょいちょい挟まれる小ネタのようなものがいい。
「ポトラッチ」なんて文化初めて知った。
またほんのちょっとした人物の所作が美しくて愛おしい。
主人公もわりとのんびりしているようなのでゆったりとした気持ちで読めるのがうれしい。

どうやら次号3話目で下宿の登場人物が勢揃いするっぽいのでそれも楽しみにしつつ、猫の話で可愛い子と簡単に話せてしまった少年の学園生活やいろんな大人に囲まれた下宿生活がどう人間関係や成長に関わってくるのか、思わぬ事実を突きつけられたときどう反応するのか、楽しみ。
タイトルからして、なんでも最終的にはいくとこにいく、なるようになるという暖かく緩い感じなのか。

下宿とか寮のような共同生活を描いた漫画は好きなのがちょいちょいある。
めぞん一刻』、『ツルモク独身寮』、『僕らはみんな河合荘』、『椿荘101号室』、『公園兄弟』、『ゆうべはお楽しみでしたね』などなど。
最近出たものだと『コノマチキネマ』とか。
やはりどれでも描かれるのは個性的な住人との交流とその悩み、絆、助け合い。

かつての昭和的な下宿ではそういったことが当たり前であったわけだけど、現代において下宿というものは果たしてそこまで機能しているのか。

というのも、僕は何年か前まで、風呂無しトイレ共同の古い下宿のようなところに住んでいて、1階が大家さんで2階に4世帯しか入っていない古き良き木造の家だった。
住民同士の季節の変わり目などのイベントでの交流を期待したりもしたがそういったことは全くなく、男女の出会いを期待するも住んでいたのはずっとむさい男ばかり。
壁が薄いので、隣のおじさんがトイレに立ってじょぼじょぼーっとおしっこの響きで目が覚めることなどしょっちゅうだったけど、常に何か音が聞こえることもあって一人で寂しいという感覚はずっとなかった。
住み始めて約5年で、夏にエアコンが無いから暑くて死にそうという理由から退居したが、結局最後まで共同の靴箱がある玄関にはあった大きい黒板が使われることはなかった。

こういった漫画の、ある種、下宿や共同生活の理想像を描いてくれるのは嬉しいし大好きだが、現実とは微妙に乖離した神話だよなーという諦めもあります。
下宿生活ファンの方は、実践にはぜひお気をつけ下さい。
漫画と全然違うことばかり書いてしまった・・。

読みたい
『子供はわかってあげない』の田島列島先生4年ぶり新連載、別マガで『水は海に向かって流れる』 受験で入学した高校へ通うにはおじさんの家の方が便利だったため実家を離れそこで暮らし始めるが、行ってみるとおじさんの家は空き部屋を複数人に貸している下宿だったので、個性的な住人と交流をすることになるのだった。 という感じのいわゆる下宿ものの話かな?とまだまだどう転ぶか分からない1,2話目。 でも待ちに待った新連載で嬉しい。 同居人である26歳OLの榊さんが、過去にすこし関係していて不穏さが漂ってたり、主人公の少年が絵を描いてたけど受験でやめたっぽいような軽いフリがされているので、部活でどうなっていくのか気になるところ。 ちょいちょい挟まれる小ネタのようなものがいい。 「ポトラッチ」なんて文化初めて知った。 またほんのちょっとした人物の所作が美しくて愛おしい。 主人公もわりとのんびりしているようなのでゆったりとした気持ちで読めるのがうれしい。 どうやら次号3話目で下宿の登場人物が勢揃いするっぽいのでそれも楽しみにしつつ、猫の話で可愛い子と簡単に話せてしまった少年の学園生活やいろんな大人に囲まれた下宿生活がどう人間関係や成長に関わってくるのか、思わぬ事実を突きつけられたときどう反応するのか、楽しみ。 タイトルからして、なんでも最終的にはいくとこにいく、なるようになるという暖かく緩い感じなのか。 下宿とか寮のような共同生活を描いた漫画は好きなのがちょいちょいある。 『めぞん一刻』、『ツルモク独身寮』、『僕らはみんな河合荘』、『椿荘101号室』、『公園兄弟』、『ゆうべはお楽しみでしたね』などなど。 最近出たものだと『コノマチキネマ』とか。 やはりどれでも描かれるのは個性的な住人との交流とその悩み、絆、助け合い。 かつての昭和的な下宿ではそういったことが当たり前であったわけだけど、現代において下宿というものは果たしてそこまで機能しているのか。 というのも、僕は何年か前まで、風呂無しトイレ共同の古い下宿のようなところに住んでいて、1階が大家さんで2階に4世帯しか入っていない古き良き木造の家だった。 住民同士の季節の変わり目などのイベントでの交流を期待したりもしたがそういったことは全くなく、男女の出会いを期待するも住んでいたのはずっとむさい男ばかり。 壁が薄いので、隣のおじさんがトイレに立ってじょぼじょぼーっとおしっこの響きで目が覚めることなどしょっちゅうだったけど、常に何か音が聞こえることもあって一人で寂しいという感覚はずっとなかった。 住み始めて約5年で、夏にエアコンが無いから暑くて死にそうという理由から退居したが、結局最後まで共同の靴箱がある玄関にはあった大きい黒板が使われることはなかった。 こういった漫画の、ある種、下宿や共同生活の理想像を描いてくれるのは嬉しいし大好きだが、現実とは微妙に乖離した神話だよなーという諦めもあります。 下宿生活ファンの方は、実践にはぜひお気をつけ下さい。 漫画と全然違うことばかり書いてしまった・・。
@吉川きっちょむ(芸人)

かわいい

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ついに発売日!
一気に読むと、毎話挟まれる小さなギャグの積み重なりがボディーブローのように効いてめちゃ面白かった!

12/9に「田島列島短編集 ごあいさつ」発売だって!
めちゃくちゃ楽しみ〜!

Amazonで田島 列島の田島列島短編集 ごあいさつ (モーニング KC)。アマゾンならポイント還元本が多数。田島 列島作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また田島列島短編集 ごあいさつ (モーニング KC)もアマゾン配送商品なら通常配送無料。

セリフまわしもそうだけど、雰囲気と空気感が唯一無二だと感じる。
決して、魅せられるような絵ではないけど、飽きずにずっと読めてしまう。

最終話。
めっっっっちゃよかったっす!!!!
榊さん、超かわいかった!超かわいかった!!
ありがとうございます!
単行本、3巻は9月頃発売予定らしい!
買う買う!

すごくいいラストでしたね。まさにタイトル通り、いろんなところから水が集まって川になって海に出た感じ。

水は海に向かって流れる』特別対談! 西野七瀬×田島列島〜語り出したら止まらない、マンガへの想い〜

田島:私の父が左官屋で、親方から「水は上から下に流れるだろ!」と怒られたときに「いや、水は海に向かって流れるだろ」と心の中で反発したそうなんですよ。私はその話をおぼえていて、いつかマンガのタイトルに使いたい候補としてストックしていました。それを引っ張り出した感じです。

まさか広瀬すずが千紗さん役をやると思わなんだ!年齢的には若いと思うけど雰囲気がすごく合ってると思う!観たい!

大ヒット公開中 TOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開。出演:広瀬すず 監督:前田哲『そして、バトンは渡された』原作:田島列島「水は海に向かって流れる」(講談社「少年マガジンKCDX」刊)

水は海に向かって流れる
読んで良かったとシミジミ思える作品
水は海に向かって流れる 田島列島
六文銭
六文銭
3巻完結作品だと、読むのに躊躇しますよね。 広がるだけ広がった風呂敷に、回収されな伏線・・・そんなものが、あったらどうしようと思うと、手を出すのに勇気がいりますよね。 でも、安心してください。本作は大丈夫です。 田島列島先生の、この空気感、唯一無二だなと感じます。 セリフの一つ一つ、場面展開による独特の間のとり方、ストーリーの進み方、どれをとっても、作者の個性がピカリと光って、だからこそ好き嫌いも出そうですが、自分はドンズバでした。 少しづつこじらせた人間関係の妙味が、面白いんですよね。 物語上必要な「設定としてのキャラクター」みたいなのがいなくて、リアリティというか、皆イキイキしていて読んでいて共感できるんです。 怒りたくても怒れない。どうにもならない、やり過ごすしかない状況。 わかるわーと思いながら、主人公と榊さんを見守ってました。 主人公の自分がいなければ、という罪悪感が、 自分がいたことで幸せになった瞬間は、なんとも言えない幸福感に包まれました。 心の底から、本作に出てくるキャラ達に感情移入していたのだなと痛感しました。 何度も読み返したくなる作品です。
クジマ歌えば家ほろろ
妙なリアリティのある奇妙な鳥人間と居候コメディ!
クジマ歌えば家ほろろ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
めっちゃくちゃ好きです!! 中学一年の鴻田新(こうだあらた)が学校からの帰り道に出会ったのは腹をすかせた奇妙な人型の鳥みたいな人語を話す生物・クジマ。 聞くところによるとロシアから来たという。 日本食が食べたくて来たというが…。 いろいろあって翌年の春にロシアに帰るまで住むことになったクジマと鴻田家のホームコメディ! https://gekkansunday.net/work/4466/ 1話あたりそこまで長くない話で、寒くなると日本に来て暖かくなるとロシアに行く渡り鳥みたいなやつに居候されるっていう奇妙な設定が素晴らしくハマって面白いです! 奇妙な鳥ってだけでも面白いのに、ロシアから来てるからロシア語話せるしロシア料理作れるし、たまに外国人みたいな「分からないデス」みたいなとぼけ方を入れてきたり、ブチ切れるとロシア語で罵倒したりともう、面白い! 単純にロシア人の留学ものとして見てもいいのかなって思ったら、最悪、虫食べて生きていけるっていう、それはもうマジで鳥じゃんっていう部分も垣間見せたりでクセになる! 紺野アキラ先生、いままで読切も漏れなく全部面白かったので、連載始まって本当に嬉しいです! ホラーも面白かったので、この鳥にも少し怖さがある気もしますが、ホラーとコメディって表裏一体なので楽しみです。
バグエゴ
2話目が読めるか分からない最高の1話!
バグエゴ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
面白かった! 掲載される漫画が、第1話というコンセプトの新増刊「ヤングジャンプダイイチワ」に掲載されてるわけですが、他の新人作家さんたちとは明らかに別枠で圧倒的でした! 原作は、みんなご存知『ワンパンマン』『モブサイコ100』のONE先生! 作画は、ヤングジャンプ本誌でも連載中『カタギモドシ』で圧倒的作画力の設楽清人先生! このタッグはアツい!! 転校生・羊谷真は、クラスで関わるなと言われている気弱な少年・黒道武弘と隣の席になり、昔イジメられていたことと人生を上手く生きる裏技を教える。すると、黒道からはあるもの見せられる。それは、人知れずこの世に存在していたバグのようなもの、正真正銘の「裏技」で…。 高校生男子二人の青春SF(すこしふしぎ)かと思ったら、不穏さもありどうなってしまうんだ、とこの先が気になりまくる1話でした! 青春の楽しさ、からの落差、からの突き上げが最高でした! ONE先生、『ワンパンマン』の原作やりながら、 『バーサス』のシナリオ原作もやって、 https://natalie.mu/comic/pp/versus 『バグエゴ』も文章での原作ということで、めちゃくちゃ忙しいんだろうな…。 https://twitter.com/ONE_rakugaki/status/1651247115530809344 第2話が、いつどこで読めるのか今から楽しみです!
うちらはマブダチ
自分と友達はどうだったかなと思い出して浸ってしまう
うちらはマブダチ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
やまもとりえ先生の、大学時代から現在までの少し変わった友人たちとの思い出の日々を描いたコミックエッセイ。 同じ内容をポッドキャストでも話してます。 https://open.spotify.com/episode/5WjmBjW1p7GmQXsDWxLJUW?si=d199b921940442c2 読み始めてすぐ「いつも谷間が見えている友人Yちゃん」というバズった投稿を見たことがあったのを思い出ました。 https://twitter.com/yamamotorie/status/1595362304576868352 作者さんが「大好きで仲が良い私の素敵な友達をぜひ知ってほしい」と紹介してくれてるような形だからこそ、読んでいると自分の友達もぜひ紹介させてくださいよ、という気分になってきて楽しかったです。 自分の学生時代の友人たちとの思い出がいろいろよみがえってきました。 エッセイなので、フィクションのように特別ド派手なドラマがあるわけじゃない、でも等身大の青春劇がそこにある。それがいいんですよね。 美大ならではのクリエイティブな話もあるけど、基本的には普遍的な友達の話。 そして、なんといっても一冊としての構成が素敵でした。 困ったときに友人が助けてくれた最高の人生だったんだなと。そしてこれからもそれが続くと思うと最高です。 どの友人のエピソードも面白くて、その個別の友人紹介の話があったからこそ、最後のエピソードに集約されて際立って輝いて見えて、感動しました。 同時に、男同士の友人グループだともしかしたらこうはならないだろうなっていう羨ましさもありました。男同士は楽しさを共有はしても弱みはあまり見せないこともあるから。 読んでるときの感覚としては、友達の結婚式の新婦側の仲良したちでの出し物とか、学生時代の写真のスライドショーとか見てどういうふうに仲良かったのかなーと想像したときの、最高に楽しい青春の「中身」をしっかり見せてもらった気分でした。 共感ポイントとしては、「自分たちの用語辞典作ったな~!」って思いました。 小さい界隈だけで通じる用語・共通言語ができて集団としての絆が熟成されていく感あって楽しいんですよね。秘密の合言葉みたいで。 ふわっと思い出した自分のエピソード ・Nくん、高校で誰とも全くしゃべったことなくて会話はいつも筆談していたらしく、大学で僕が普通にNくんと話してるのを見られて「どうやってあいつの心開いたんだ!?」って驚かれたことがある。そのNくんは窓が割れたままの部屋にずっと住んでて、いつもお菓子でお腹いっぱいにしてた。 ・Mくん、子供がどうやってできるか知らなくて、植物みたいに受粉するものだと思って通学で乗る満員電車に毎朝めちゃくちゃ緊張してた。その反動か、気づいたらテニスサークルに入って遊びまくってた。 などなど。 一気に読むのもったいないので、ちょびちょび1日2ページずつとか少しずつ読むのもいいかも。とはいえラストはどうやっても一気に読んでしまうはず。
緑の予感たち
最高の漫画が始まった予感
緑の予感たち
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
なんだこれ…。すごい。好きすぎる。 奇妙で現実的で不思議で具体的な夢を見ているような…読んでるうちに引き込まれて実際に手触りを感じられるような漫画だった。 トーチwebで始まった新連載『緑の予感たち』がちょっとスゴイです。 https://to-ti.in/product/midori-no-yokan 短編連載なので、1つ目「カッパの理髪店」を読んだ現時点での感想になる。 どこかで見覚えがありそうな、誰しも馴染みのありそうな風景。 奇妙でありながらファンタジーと呼ぶには地に足がついていて、日常の延長線上に実在するんじゃないかという感覚がしっかりとある。 唐突、だけど必然。 物語は不思議な冒頭から、リアルなバイト事情、そして煮え切らない男女の恋模様へと、主題と場面がコロコロと変わっていく。 そこがミソかもしれない。 どこが話の軸になるんだろう、誰が主役なんだろうと読んでいくと気付けば登場人物たちのギリギリ読み取れそうな関係性のリアリティに絡めとられ、読者の視点は次に何が起こるのか出来事を素直に追うだけの目になっていく。言葉の端々と表情から読みとろうと夢中になる。 それは、現実の男女の関係性に対して巡らせる思考のはずだった。だったのだが、その真っ只中へ唐突に放り込まれた非現実にかき乱されるも、不思議とこいつが妙にしっくりくる。 それは全くの無関係な非現実ではなく、まさにこの心のありようこそが核になった非現実だったからだ。でたらめだけど、そこにはきっちりと心情の筋が通っている。故に納得できてしまう。 ここに持っていくまでの腕力がすごい。 この話の転がし方、派手じゃないのに予想が付かずに最後まで分からない展開の面白さは、映画『スリービルボード』を彷彿させる。 絵も最高に良かった。 コマの中の線の情報量、線の柔らかさ、微妙な表情の変化、光と影の付け方、全てがこの話にしっくりくる。 短編連載でおそらく不定期掲載なので、単行本になるのは2024年だと思うけど、早くも単行本を買いたい。 読んだあとに、これは持っておきたい…棚に並べたい…手に持ちたい…という所有欲が溢れてくる。
あくたの死に際
「小説を書く」という行為でここまで盛り上がる物語を僕は知らない
あくたの死に際
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
ここ半年で始まった新連載の中でトップレベルで心動かされてる作品。 脳が喜ぶ大興奮のドラマの作り方。凄まじい高揚感。 憧れに本気で踏み込めない人はもちろん、小説や表現が好きだったりチャレンジする人を見るのが好きな人にはぜひ読んでみてほしいです。 https://urasunday.com/title/2272 【あらすじ】 会社員、黒田マコト、31歳。いい会社に入って仕事も要領よくこなして結果も出てて、彼女とも結婚が視野に入ってて順風満帆。すべては順調に見えたが、真面目すぎる黒田は実生活の小さな積み重ねによって心を病んでしまう。そんな時、学生時代の文芸部の後輩・黄泉野季郎(よみの・きろう)と再会する黒田。 売れっ子小説家になっていた黄泉野に焚き付けられ、休職期間を利用して再び小説を書いてみることに。 やがて、黒田の人生は大きな変貌を遂げ、小説業界に大きなうねりを生み出すことになる・・・。 アプリ「マンガワン」で連載中。10/19に1巻が発売します。 スカッとした読み味のエンタメ性と、じとっとした文学性のバランスが絶妙です。 心情と描写がすごくマッチしていて漫画ならではの表現が素晴らしい。 セリフがすごく練られているのが分かる。鼓舞してくれる意味でも、痛いところを突かれる意味でも刺さってくるフレーズが多い! 毎回、次の話への引きが上手すぎるし、1話ごとに主人公の才能を予感させるシーンをちゃんと出してくれるから毎回テンション上がる。それでも当然、一筋縄ではいかない。 「小説を書く」という題材で起こり得る展開じゃないことが起きていてすごい。スピード感や迫力がスポーツ漫画で見られるようなアツいやりとりだったり、映画『サマーウォーズ』で鼻血出しながら暗算するような躍動感があってテンション上がる演出がきて最高です! 主人公の黒田は、人の目を気にして常識にがんじがらめに囚われて本心を隠してしまうような人なので、後輩の黄泉野の才能を目の当たりにして、真剣に小説家を目指すことを諦める言い訳を自分で作ってしまっていたんですね。ただ後輩の黄泉野だけは、黒田が良識を捨てて自分をさらけ出したすごい文章を書けると知っていたんです。 この二人の関係性がめちゃくちゃ良いんですねー! 黒田は器用だからこそ、一般社会で上手に立ち回れてしまうけど、売れっ子の小説家である黄泉野が、誰よりも、黒田本人よりもその才能を信じてくれているのがいい。黄泉野だけは黒田の不器用な器用さの奥にある狂気を認めているんです。 黒田的には、後輩の黄泉野の才能に嫉妬して一度は夢を諦めた部分もあったので、当然一番認められたい人は黄泉野で、その黄泉野に後押しされるからこそ、暗闇に一筋の光が差す。俺だってやってやる、という原動力、燃料になって外野の足を引っ張る言葉を全て黙らす展開がアツい。 自分のことを普通の人だと思ってやりたいことを押し込めていた人が、いざ動き出してみると、いろいろ常軌を逸していることが分かっていくのってテンション上がりますよね。 常識人ぶっていた人の才能がだんだん周囲にバレていく様子に、読んでいて快感が溢れていく。読んでいると頭の奥がカーっと熱くなっていく。こいつも天才なんだろうなっていうのがビンビンに伝わってくる。 「作家なんて社会不適合者ばかりなんだから」って黄泉野のセリフがあるんですが、二人ともしっかり頭のネジが外れている。他人からの視線を気にしていた黒田はネジを締めていたんですが、それを黄泉野が外しに来たような形になってて…良い。そもそも黄泉野に小説書くの勧めたの黒田だし、この相互に引っ張り上げ合ってる感じ。 竹屋まり子先生の漫画を読んだのは『あくたの死に際』が初めてなんですが、前作『女心@男子高校生』『井戸端は憑かれやすい』読んでみるとちょっと特殊なシチュエーションのBLコメディという感じなんですね。 BLの事情に全く詳しくない上での個人的な見解ですが、BLを描いていた漫画家さんが青年漫画を描くと、登場人物たちの友情とか嫉妬とかいろんな気持ちの矢印が繊細で上手に関係性に落とし込めていて深みが増してより面白くなる傾向にあるように感じます。 ヤマシタトモコ先生、『女の園の星』の和山やま先生、『ダブル』の野田彩子先生とかそうかな?江野スミ先生だったり、『光が死んだ夏』もそうかも。挙げ始めたらきっとたくさんあるかと思いますが。 キャラの間に、友情以上の複雑な気持ちが重層的に折り重なっている。 BL作家さんたちは、気が向いたらぜひどんどん青年漫画を描いていただきたい。それをいっぱい読みたい…。 小説家と才能がテーマのものだと『響~小説家になる方法~』は暴力的なまでに圧倒的な小説の才能で全員なぎ倒していく剛腕なタイプの話ですが、『あくたの死に際』は才能があるかないか関係なくとにかくやるんだ、という熱量と人間関係のドラマに重きを置いてるように感じるので、アプローチも描きたいことも全く違うのも面白いです。 実写化するだろうなと勝手に楽しみに思っています。
全知的な読者の視点から
縦スクロール漫画の人気作品がめちゃくちゃ面白かった!
全知的な読者の視点から
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
最近、縦スクロール漫画をいろいろ読み漁っているところです。 この『全知的な読者の視点から』を読み始めてまだまだ序盤ですが、いろいろ読んだ中でも特に面白かったです! https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0000822 平凡なサラリーマンのキム・ドクシャ(金独子)が、趣味でWeb小説『滅亡した世界で生き残る3つの方法』を中三から10年以上も毎日読み進めていたがついに最終話となってしまう。 その小説には最初こそ読者は何人かいたものの最後の方は自分しかいないようだった。 読み終わると突然、世界に異変が起こり、これまで読んできたファンタジー小説『滅亡した世界で生き残る3つの方法』に起こっていたことと全く同じ状況が目の前で繰り広げられていく。 自分だけが、これから起こる出来事のすべてを「読者の視点から」知っている状態で、モンスターが現れ特殊能力を手に入れ、人間同士でさえ殺し合いに発展していく滅亡していく世界で生き抜いていく! ファンタジー的なことが巻き起こりますが、登場人物も世界も一応現実の延長線上ですし、ピリッと緊張感漂うシリアスな状況で、絵も上手いのでかなり引き込まれます! ゲームのメニュー画面みたいなものが出てきたり、レベルや能力もあるので、いわゆる「強くてニューゲーム」的なシステムかと最初思ったんですが、微妙に違うのが面白いところ。 こういうのでよく見られるようなタイムリープしたり、やり直すような形ではなく、あくまで読者として、知識として知っているというのがポイント。 というのも、読んでいた小説の主人公ユ・ジュンヒョクこそが何度もやり直している最強の男として存在しているから。 それでも、あくまで知識だけとはいえ、知識こそ武器です。 知識があれば、どうやって強くなればいいか、誰と仲間になればいいかもこの先の展開で何を準備したらいいのかも分かるので、アドバンテージとしてかなり強い! どうなっていくのか楽しみで仕方ありません。 「トッケビ」という、妖怪?妖精?の存在と、彼らが「星座」に対してこの状況を配信するという形は、ある意味デスゲームで富豪が配信を見てる状況のようで面白いですね。 規模が世界規模だから人知を超えたそういう形になってるのかな? 「星座」という概念は、神様みたいなものでしょうか。 神話で語られたり、歴史上の偉人だったりした人たちが宇宙のどこかからこっちを覗き込んでるような。 そして配信を通して化身と呼ばれる人間(プレイヤー達)に投げ銭したり、直接能力やスキルを授けるような支援をしていくものとなっています。 韓国発のマンガでも日本へローカライズされたときには、名前や地名などなど日本のものになることが多いですが、こちらは主人公の名前・ドクシャに意味があるからなのか、韓国の名前や地名のまま。 個人的には無理に日本っぽくしなくてもと思うこともあるのでこうやって読むのも好きです。 第1話で語られますが、ドクシャは韓国語で「一人っ子」という意味もあるようですが、父は「強い男になれ」という意味で付けたとのこと。
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みちかとまり

みちかとまり

“竹やぶに生えてた子供を神様にするか人間にするか決めるのは最初に見つけた人間なんだよ” 8歳の夏、まりが竹やぶで出会った不思議な少女みちか。他の人とは違うルールで生きるように見えるみちかは、まりの同級生でいじめっ子の石崎からとても大事なものを奪ってしまう。責任を感じるまりはみちかに誘われ言葉で理解できる世界の外側へ足を踏み入れる──。『子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』の田島列島が贈る、ちょっぴりグロくてうっかり神話なガールミーツガールの開幕です。
田島列島短編集 ごあいさつ

田島列島短編集 ごあいさつ

「どうすればお金のもらえる漫画が描けるのかそればかり考えていました。それでも今見れば好き放題に描いて幸運にもお金をもらえた漫画たちです」(田島列島) 連載デビュー作『子供はわかってあげない』で各マンガ賞に上位ランクインし、現在は別冊少年マガジンで話題作『水は海に向かって流れる』を連載中の田島列島、初の短編集。表題の「ごあいさつ」は、姉の交際相手の奥さんが突然部屋を訪ねてくるという”大事件”を瑞々しい感性と言葉で切り取り、かわぐちかいじ氏、さだやす圭氏に絶賛された2008年の新人賞受賞作。その後10年の月日をかけて発表され続けた珠玉の短編全7編に加え、「モーニング」誌上に時々掲載されていた1P漫画やイラストも収録。ファン必読、オールアバウト田島列島とも言える一冊です。
子供はわかってあげない

子供はわかってあげない

水泳×書道×アニオタ×新興宗教×超能力×父探し×夏休み=青春(?)。モーニング誌上で思わぬ超大好評を博した甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガール。センシティブでモラトリアム、マイペースな超新星・田島列島の初単行本。出会ったばかりの二人はお互いのことをまだ何も知らない。ああ、夏休み。
特殊な人が集まり関係を構築する下宿漫画にコメントする