リバーエンド・カフェ

たなか亜希夫の新境地

リバーエンド・カフェ たなか亜希夫
さいろく
さいろく

東日本大震災の爪痕が深く残る石巻。 主人公のサキはJKで、いじめられっ子。 原因はほんの些細なこと、「絆」で支え合っていこうと強制される被災地の現状に「絆」という言葉が好きじゃないと言っただけ。 ただそれだけ、と思ったけどよく考えるとそれを聞いた子たちにも大切な人たちを失った経験や絆に支えられて生きているギリギリの背景があるのかもしれない。 たった一度の失言でこんなに目の敵にされるのか、というのはあるけどそこが田舎であることと幼さの重なった条件下では仕方ないのかもしれないなと妙に納得してしまった。 ちなみにいじめについては本作の主題ではない。 ただ、そういう背景があるからこそ出会ったんであろう無頼漢(マスター)との物語が面白い。 潮が底に在る石を中心に巻くことから名付けられたという石巻(らしい)での潮のような渦がサキを中心としていく・・・ のかどうなのかはまだ2巻までしか読み終わってないんでわからないけど、意外とほのぼのしてアットホームな空気がどんどん出てくる。 ハードボイルドばかりなイメージのあるたなか亜希夫作品だけど、「軍鶏」でも「リバーズエッジ〜」でも不思議な脇役たちに支えられて味わい深い作品になっていった。 今作は果たしてどういう流れになっていくのかしっかり読んでいきたい。 間違いなく面白い作品なので是非多くの人に読んでもらいたいなぁ

隣の宇宙人がコワい

もっと漫画と読者に真摯に向き合って

隣の宇宙人がコワい 阿東里枝
名無し

今作の作者に関しては現在色々あるのは知っていますが、それらを考慮するにしたって色々と酷い出来と言わざるを得ないと思います。 ページを埋めることしか意図してないようなコマ割りに書き込み具合、作画も安定せず回を重ねるごとに劣化しているような印象も受けます。 キャラクターに関しても人間的成長も見せなければ好感も持てないキャラばかりです。宇宙人としての姿の宇宙村さんにしか好意を示さない丸ノ内、そんな丸ノ内に暴力まがいの愛情表現しかできない宇宙村さんと、悪い意味で作者のいつものワンパターンです。 先日、ツイッター掲載分は最終回を迎えましたが「残りはコミックスを買ってください」というまさかの終わり方をしました。かの仮面ライダーディケイド最終回を思わせるやり口にさすがに呆れて物も言えませんでした。しかもその最終話も特に引きが気になるような内容でもなく、本当に続きを読ませる気があるのかと疑いたくなります。そもそもこの漫画は「ツイッターで載せて伸びたから連載化」したという体でスタートしてるのにこの終わらせ方自体が当初の言い分と違います。さらに作者は過去にアマゾンのアフィリエイト表記において炎上したことがありますが、当時「自分はアフィリエイトはやってない、他人のURLコピペして貼り付けた」と言った弁明をしたにも関わらず、最終話を載せた回に貼られたアマゾンのリンクはしっかりとアフィリエイトでした。もう読者をバカにしてるとしか思えません。粘着行為によって精神を病んだとは言いますが、ここまでくると自業自得としか思えません。 こんな所で言っても意味はないだろうし、どうせ作者様に直接言っても聞く耳は持たないでしょうが、もう少し漫画と読者に真摯に向き合って頂きたい所です。

YAWARA! 完全版 デジタル Ver.

カワイイと強いを両立させる「一途」な姿勢

YAWARA! 完全版 デジタル Ver. 浦沢直樹
名無し

カワイイと強いは普通は両立しない。 カワイイってのはカヨワイとかケナゲに近いし、 強い、とは対極ともいえる存在だと思う。 カワイイ、と思う感情は 守ってあげたい、と思う気持ちに通じるだろうし。 柔道という体力や体重が強さに大きく関わる競技では 強くなるには筋肉質にならざるを得ないし、 筋肉質になればなるほどカワイイとは遠ざかると思う。 そう考えるならYAWARA!も所詮は漫画ドリームだ。 漫画の中だからこそ、見た目が綺麗で可愛くて、 ナイスバディとまではいえなくてもスタイルも良い けれど強い、が成立する。 筋肉質のガッチリした体型でもない女の子。 それでいてメチャクチャ強い。 そんな猪熊柔(主人公)は漫画の中だからこそ存在出来ている。 猪熊柔はけして「柔道大好き」を前面に出していない。 本質的には好きだろうし誇りもあるのだろうが、 最初のうちは、人生の優先事項の第一位は柔道ではない。 むしろ普通の女の子として普通の生活、 普通な恋愛に憧れている。 そんな猪熊柔がストーリの進行と共に 自分が柔道を好きなこと、楽しみたいこと、 柔道をすることで自分が出来ることを考えていくようになる。 なので話の前半では一歩間違えたら 「才能があるのに贅沢言っている勘違い女」 と、カワイイとはまさに真逆な 反感買い捲りキャラになりかねなかったかもしれない。 実際、そのへんを勘違いしたスター誕生物語漫画も 他にはけっこうあると思う。 また、現実の世界でもよく 強くて才能があって見た目が綺麗な女子アスリートを 「柔道漫画のYAWARAちゃんみたいに」と形容するのを 見ることがある。 だが、それは違うと思う。 猪熊柔のカワイイし強い、とは 心が一途だからであって、 強い弱い抜きに、その一途さがカワイイし、 その一途さが、自身の強さと更なる努力で 自分も周囲も幸せにしていくから 「カワイイし強い、凄い!」 という漫画になっているのだと思う。 父母と普通に楽しく暮らしたい。 好きな人と普通の恋愛がしたい。 そして自分は柔道が好きだからしたい。 そういう一途さが実は一貫している。 だからカワイイし強いと読者は感じるのだと思う。 また、猪熊柔を勝手に?ライバル視する敵キャラ 「本阿弥さやか」も、一見、勘違いギャグキャラだが (実際、かなりの勘違いキャラではあるが) 一途さでは猪熊柔を超える面もあってカワイイ。 猪熊柔の親友「富士子」さんも、 やはり一途な部分があってカワイイ。 その上で柔道の試合のシーンとかも凄く良いし、 カワイイと強いが両立した良い面白柔道漫画だと思う。

ハイパーインフレーション

クセ強めで内容も面白い漫画好きな人は垂涎の一作!

ハイパーインフレーション 住吉九
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

未読の君、まだ読んでないなんてもったいすぎるぜ…!! 読んでる奴らとはダチになれそうだ!! なぜなら俺たちはルークさんを知っているから!! 俺たちの救世主!!ルークさん!!はわわ……! と、読んだあとちょっと変なノリをしてみたくなるほどにこの漫画は魅力的です。 時代設定は我々の地球でいうどのへんか分かりませんが、17、18世紀あたりの技術レベルでしょうか?もっと前なのかな? ヴィクトニア帝国という大国があり主人公はその帝国に搾取される側の植民地に住む少数民族で、金貨や経済などあるもののわりと原始的な生活を送っていた。 幼少期に両親が奴隷狩りに殺害されてから7年後、12歳になったルークは奴隷狩りに対抗すべく知恵を使い騙したり工夫して帝国と商売しお金で安全を買おうとしていた。 しかし、その矢先に再び奴隷狩りにあってしまい、自らも捕まり大好きな姉を連れ去られてオークションにかけられてしまうことになり、殴られ朦朧とした意識の中で神にあい、とある能力を授かる。 本来、年頃の人間が当たり前のように享受しているのが「生殖能力」だが、神はその代わりにルークに授けたのが「金を生み出す能力」だった。 しかも、まだもろもろ不明だけど帝国の紙幣、しかも全て通し番号が同じ偽札…。この能力と知恵を武器にルークはどう戦っていくのか! お姉ちゃんを取り戻すことはできるのか!? という話です。 第1話→https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331749163174 話の設定や展開、ハッタリや知恵比べのようなギャンブル的な部分はもちろん面白いのですが、合わせて注目してほしいのはこの作品の根底に流れるセリフ運びのテンションやリズムとキャラたちのノリ!! 初期のジョジョを彷彿とさせる! そこにシビれる!あこがれるゥ!!的な香りがするゥ!! みんな大真面目なので最初は真剣に読んでたんですが、途中からもしかしてこれって笑って読んでもいいんじゃないか?というシリアスな笑いに思えてきますし、実際そこはかなり意識されてるんじゃないでしょうか。 生殖能力の代わりに授かった能力なので、金を生み出す時にドクッドクッってなるのや、頬を赤らめてちょっと汗かいてはぁはぁしているのもおもしろい…。 そのクセの強さに、やみつきになってしまう自分が愛おしいです。 画像:第1話57pより