仏滅結婚
職を失い、彼女にもフラれた赤口 誠(せきぐち まこと)はある日、「仏滅結婚相談所」の社長・仏滅清志郎(ぶつめつ せいしろう)と出会い入社することに。人を幸せにする崇高な仕事かと思いきや、その実態は嘘にまみれた“婚活難民”たちの引き取り場だった…!?『氷の豚』『戦国BASARA 双極の幻』(構成:綾峰欄人)の浅田有皆による異色のヒューマンコメディ、いざ開幕です!
銀のくに
新潟の山際にある雪深い町、雨生町《まごいちょう》は、県境にあるため最寄り駅までバスで45分かかり、コンビニも無い。そんな雪国の小さな町で、祖父母と両親とごくごく普通の生活を送る高校一年生の五十嵐風花《いからしふうか》。ある日、風花が学校から家に帰ると神奈川県から来たという存在さえ知らなかった従兄妹の賢心とゆき枝がいた。
「7年前、俺は人を殺した」妹・由里を自殺へ追いやった男を殺した和久一馬は、7年の服役を終え出所した。時を経てもなお、男を殺したあの瞬間が脳裏をよぎる。--目の前にいた、あの一人娘のことも。罪の意識に苛まれ、自らの死をもって償うことを決意する一馬。刑務所まで迎えに来た母と二人、由里の墓へ向かうと、どこか見覚えのある少女が現れて…。殺人犯×被害者の娘の数奇な運命を描くヒューマン・サスペンス、開幕。
平和な地方都市「天津水」市に突如現れた、異形の怪異「がご」。がご撲滅のために選ばれたのは一般市民《パンピー》!?果たして、彼女たちに町は救えるのか…!!がご撲滅班、通称「がごはん」の戦いの幕が開ける!「人間のほうがどうかしてる…」SNS騒然の新感覚ポップ&シュールコメディ!
人類の半数以上が命を落とした、とある「大戦」から700年――。 その際に地球を守り抜いたガンダムはもはや人類にとって不要なものとなっていた。 そんな平和な世の中に「血まみれのカオリス」と呼ばれる、ひとりの女がいた。 井上敏樹が紡ぐ、“絶記”という名の新しい「ガンダム」――。
鍵が掛かった思い出の引き出しを開けるには音とか匂いとか…そういう引き金があって。私にとってそれは、ラジオから流れるあの曲でーー。十五年ぶりに帰省した西ことり。道中、車から流れたある曲を聴き高校時代の記憶が蘇る。孤独だった高校時代に、唯一心を通わせた友人・岡本優子の存在。かけがえのない関係の二人だったが、あることをきっかけに溝が生まれ……。描き下ろし表題作「イエスタデイ・ワンス・モア」のほか第80回ちばてつや賞一般部門・準大賞受賞作品「しかたなしの極楽」、「サウダージの庭」を含む珠玉の3編を収録。
高校に入学早々やたらと陽キャのかけるに絡まれ迷惑しているオタク陰キャの相澤ゆう。実は幼なじみのこの2人、自然淘汰という名のスクールカーストにより関係は断絶しており、ゆうにとっては今更関わりたくもない「スーパー天敵」なのだが…!?かけるからの思わぬ猛追で状況が大きく変動し始め―!?鬼才・蜂煮が描くエッチでエキセントリックな学園BL!
春と盆暗
どこにでもいるさえないボンクラたちが、不思議な魅力を持つ女子に恋をする……。『ブランクスペース』の熊倉献が描く、甘酸っぱい片思いの短編連作集。『月面と眼窩』『水中都市と中央線』『仙人掌使いの弟子』『甘党たちの荒野』『二足獣』に描き下ろし『雨女、遠く』を加えて待望の再刊行。
新たに紡がれる「一年戦争」悲哀の戦記──。ジオン兵“フラナガン・ブーン”は敬愛するガルマ・ザビ大佐のもとで訓練に励むも、そんな矢先に“連邦の白い悪魔”ことガンダムが現れて……。アニメ『機動戦士ガンダム』の名エピソード「大西洋、血に染めて」(第28話)に登場したフラナガン・ブーンの目線で描く新たな一年戦争、開幕!
帰宅途中の電車で疲れて寝てしまった月上平太。だが、目が覚めるとそこは意地悪な王様・ピリトスが支配するモントゴメリー王国(モンティパラダイス)と呼ばれる異様な世界で、不思議な少女・エマとの出会いを皮切りに平太はとんでもない事態へと巻き込まれていく…。“ワスレ”なのか、“オボエ”なのか。記憶の有無が運命を左右するその世界は楽園か、それとも―。
はやしわかさんについては以前に『変声』の際に書きましたが、その表題作「変声」を含んだ短編集が新たに『変声』として発売になると同時に、こちらの『銀のくに』と同時発売となりました。 新潟の外れにある雨生町を舞台にした、雪国のヒューマンドラマです。 通学にバス45分+電車で20分かかる学校に通う高校1年生の五十嵐風花の家に、体を悪くした伯父の息子で同じ高1の賢心と、小3の娘のゆき枝が神奈川から突然やってきてしばらく同居していくことになります。 思春期の少年少女にとっては、どちらの立場からしても大きな戸惑いが生じるできごとでしょう。最初はお互いにぎくしゃくしていますが、さまざまなできごとを通して少しずつ、雪がとけるような速度で歩み寄っていきます。 それは、何も風花と賢心の間のだけの話ではなく、環境の変化への不安から涙をこらえられないゆき枝と、一見すると偏屈に見える風花の祖父もそうです。自分も、小3のころにあった大きな環境の変化に上手く順応できずゆき枝のように心細い想いをしたなぁと懐かしい思い出が蘇りました。一方で、祖父の方としても折り合いがつこなかった息子の方の孫ということで、接し方が難しいのも大人になると解ります。 どうしたって、初めは潤滑にはいかない関係。社会にはざらにありますが、そこで何とか互いに歩み寄っていくことで世界は開けます。そんな様態を、いじましく尊い努力を上手く描いている作品です。 また、雪国での生活のさまざまな困難が克明に描写され、10cm雪が積もったらニュースになる東京や神奈川との違いを感じさせます。一方で、そういう風土であるからこそ受け継がれてきた伝統料理の「のっぺ」のような存在もあり、美味しそうで食べてみたくなりました。 年頃なので、当然同級生たちを含めて恋愛方面の話も出てくるわけで、そうした部分における展開もどうなっていくのか気になります。 読んでいて凍えるような銀色の世界で営まれる生活がまずベースにあり、その上で絡まり合って動いていく人間模様。雪国育ちの人は共感を覚えるところも多いと思いますし、そうでないところで育った人も楽しめる物語です。