名無し
1年以上前
入店したレストランが満席で、けれど 予約席として今は空いている席がある。 だったらココに座らせろ! こんな行為はルール違反でマナー違反で たちの悪い話ではあるが、 殺すの殺されるのというほどのことではない。 だが、佐藤さんはこれだけで殺しにやってくる。 「正体不明」 「怒らせるな」 「正体を探ったものは皆死ぬ」 謎の殺し屋「佐藤さん」の設定は 殆どゴルゴ13の設定だが、ゴルゴは予約席を 奪われたからと言って相手を殺さないだろう。 そもそもゴルゴ13の名前で予約はしないだろうが(笑)。 第一回を読んだだけで「佐藤さん」の存在や行動には 色々と矛盾は感じた。 正体不明の人間がレストランの席を予約して なにをどうしたいのか、とか。 殺しの依頼者も依頼のために会えば死ぬじゃん、とか。 その辺がどう解明されていくのか興味を持って読み進んだ。 自分が予想していた物語の結末は 「佐藤さんは理不尽だから」 という終わり方。 最後は「佐藤さん」は制御不能な殺し屋として 最強最後の両刃の剣のような存在であり、 そんな「佐藤さん」がこの世のどこかにいますよ、 という物語になっていくのかな、と予想した。 ・・半分当たって、半分外れた予想だったかな、 という感じだ。 「佐藤さん」は明らかに人外の能力を持っているし、 登場人物のほとんどは「佐藤さん」をうまく扱えない。 結局は、己の命を代償に殺しを依頼したような結果になる。 それはそれで話としては面白い。楽しめる。 そうなる過程には深い理由が存在したりするし。 ただ、自分の好みとしては 「佐藤さん」には理不尽な殺人鬼であってほしかった。 第一回が、レストランの予約席を奪われたから殺す、 だったのだから。 連載が進めば進むほど 「え、こんな小さいことでなんで殺されるの」 という空しすぎる殺人劇になることを期待した。 禁煙席でタバコを吸っただけで殺された、とか。 そういう意味で、自分の好みとは違った方向に 話は進んでしまったけれど、 それはそれとして、 ホラー都市伝説的な殺し屋「佐藤さん」は 面白い設定の漫画だな、と思った。
名無し
1年以上前
神々の山嶺は、まず夢枕獏先生の小説を 読んで感動した。 だが、谷口ジロー先生による漫画版は なかなか手にとらなかった。 もともと谷口ジロー先生の絵柄が好きじゃなかったので。 凄く描き込んでいらっしゃるけれど、 硬質というかクールというか、 登場人物の表情が冷めている感じがして そのあたりが好みでなくて読んでいて ノレない感じがして。 それに加えてというか、そう思っていたからというか、 小説で感じた自分の感動とは、全く違う視点で 漫画版は描かれているのではないかと思ったので 漫画版を読むまでには時間がかかった。 けれども実際に読んでみて恐れ入った。 そもそも自分は登山なんかしたことはない。 8000m級の山の眺めなど写真でしかみたことがない。 そんな実際に見たことが無い風景をまるで 自分が今、見ているかのように感じさせて くれたのが夢枕獏先生の神々の山嶺だった。 しかし谷口ジロー先生の漫画は、 自分が小説で感じて心に描いた山の風景を 迫力でも超えながら幻想的にも見せてくらわせてくれた。 そのうえに、私が嫌いだった硬質な表情の登場人物たちが 表情の下にある感情を感じさせてくれた。 登山なんて美味い空気と良い眺めは味わえるかもしれないが、 疲れて危険で下手すりゃ代償として死ぬかもしれなくて。 たとえ世界最高峰に到達してもワリがあわない世界だと 感じていた。 今でもそう感じてはいる。 だが、そんな世界に身を投じなければ 生きている価値を感じない、 生きていると実感出来ない、いや、 生きている意味が無いと感じる男もいるらしい。 けして滑落死や凍死をするために登るわけではない、 だが、落ちることがありえない日常では 生きていると実感できない。 山男が皆がそうではないだろうけれど、 そういう男も山男の中にいる、ということかと 朧気に想像している。
神々の山嶺は、まず夢枕獏先生の小説を
読んで感動した。
だが、谷口ジロー先生による漫画版は...