新着トピック
ANAGUMA
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2021/05/24
ネタバレ
地方競馬の現実と夢を描くマキバオー続編
『みどりのマキバオー』読み終わったので読み始めました。そもそも続編があるのも初耳だったのですが読んでみると内容も『みどり』からガラリと変わっていて驚いているところです。 というのも『みどり』の舞台は基本的に中央競馬。サラブレッド世界の巨大なピラミッドの頂点を描いていたのに対し、ヒノデマキバオーが走るのはその土台である地方競馬。それも高知競馬場という言ってしまうとかなり下の方の段に位置しています。 私自身も「ウマ娘」に触れ、週末テレビでやってる競馬番組くらいは見るようになったのですが、そこで放送されてるようなGⅠレースって本当にトップオブトップの世界であって、あれがすべてじゃないんだということなんですよね。 ミドリマキバオーたちの活躍も、さも当たり前のように描かれていましたが『たいよう』ではそうはいきません。 出走手当のためにろくなローテもなく連続出走するヒノデマキバオー、やっとの思いで地方重賞レースに入着するゴールデンバット、中央競馬に乗り込むためのトライアルに勝つことさえ大変なんだというこのもどかしさ! だからこそ熱い。 『みどり』のように決して華々しいことだけではない、泥臭くじれったい展開も続きます。だからこそヒノデマキバオーがこれから先、夢を叶えてくれたときにはどれだけの感動が待っているんだろう。その時が来るのを楽しみに読んでいきたいと思います。
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2021/05/10
地球に来襲する「蝶」を倒すヒューマノイドの戦い #完結応援
突如飛来する異様の巨大宇宙生物、スモークを焚きながらそれに立ち向かう小さな人の影…「あれはなんだ、人か、いや鉄腕アダムだ!」という最高のビジュアルを引っさげて開幕するのがハードSF『鉄腕アダム』です。 『エヴァンゲリオン』のように来襲する「蝶」は全部で8体、地球に到達されると敗北、というタイムリミットがある戦いだというのが緊張感を煽ります。毎回敵方の蝶は進化を遂げていき、人類側は科学知識を生かした作戦で撃破していくことになるのですがこの科学のトンチの効かせ方が絶妙で「そんな戦い方が!」とワクワクしてしまいます。 蝶の襲撃の合間には人類側でもさまざまなドラマが描かれ、物語を貫く謎や設定が徐々に明らかにされていくのも読み進める強力な原動力になっています。アメリカがメインの舞台なので洋画・洋ドラっぽい雰囲気で進みながらもやることはロボアニメ!みたいなノリもツボでした。好き。 SFテイストの迫力に圧倒されがちですが、本作の核のテーマはヒューマノイドのアダムと天才科学者ジェシーの友情にあると感じました。孤独だった者同士がかけがえのない相手とともに自分のやるべきことを見つけ、定めていく物語だと思います。 全4巻ながら充実した科学用語の解説コラムも収録されており読み応えは抜群です。実際の巻数よりも遥かに充実した滞空時間というか、没入した時を過ごすことが出来たように思います。感謝。
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2021/05/07
ネタバレ
これが令和のヤマト…!!『ヤマトNEXT』を語りたい
表紙見かけてカッコいいな〜と思ってナタリーで試し読みしたらめちゃめちゃ好きでしたわ…。もっと話題になってくれないかなと思って書きます。 自分はヤマトのことを「地球がヤバイのでイスカンダルに行って何か手に入れて帰ってくる」程度の解像度でしか把握してない人間なので正直これがヤマトシリーズとしてどうなのかについてはまるでわからない(なんとなく賛否両論すごくあるんじゃなかろうかと予想している)。 実際本作の設定はトップクラスの腕前を持つゲーマーの子どもたちを集めて地球外生命体と戦う戦闘艦に乗ってもらうという「ヤマト要素、船と宇宙人だけじゃん!」と思わず言いたくなってしまうようなかなりアグレッシブなアレンジです。 それでも自分は溢れ出るSFディティールとロボットアニメオマージュの強烈な熱量にあてられて吾嬬先生の前作『鉄腕アダム』も一気読みして泣いている状態です。キャラのやり取り、艦隊戦の描き方、画面の構図とかもう全部がツボに入ってしまいました。 ヤマトファンから見てどうなのかとか、感想とか考察とか色々話したいので何か書いてってください!!
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2021/04/16
SNS時代のお絵描き文化の光と闇 #1巻応援
爽やかな表紙と物騒なタイトルが目にとまり読みましたがこれはかなり生々しい漫画だ…。「神絵師の腕全部折っていこうぜ!!」的なネタに惹かれて気軽に手に取るとやられてしまうかも。 SNSで人気絵師になるために必要なのは「バズり」。バズるために必要なのは「フォロワー数」。フォロワー数を増やすのに必要なのは有力な「人脈」。そう、SNSの世界では良くも悪くも絵そのものよりもコミュニケーションの価値が重視される瞬間が少なからずあるのです。 みなさんもTwitterなんかで素敵なイラストを描かれる方をフォローされてることだと思います。本作を読めば絵師が人気になる仕組みのみならず、彼らが身を置いている空間の感触が高い精度で追体験できる…気がします。 創作意欲と承認欲求に人間関係が合わさることで天国にも地獄にも変わるのがSNSお絵描き世界なのだ…。 バズをキッカケに破綻したフォロワーリス丸さんとの関係、小春先輩の思惑と正体、そして佐竹くんの創作の行く末がどうなっていくのか、今からめちゃくちゃ楽しみで同じくらい怖い!!!どんな答えを出してくるんだ…。 絵描いてる人が読んだ感想がマジで知りたいですね。
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2021/04/08
原稿落手のために挑めゲテモノ食い!
大物作家・芹沢錬太郎に連載を確約させる条件、それは担当編集が彼の目の前でゲテモノ料理を食うこと、すなわち「ゲテ喰い」の儀に挑むことであった…。次々現れるキワモノ料理を目の前に「ぜ、絶対に嫌だー!!」と言いながら毎回「食ってみるとうめー(泣)」ってなってる新人編集・朝陽さんの姿が読者の涙を誘います。 真面目な話するとやってることがガチのハラスメントじゃん!というレベルなので人を選ぶノリではあるかも。個人的には他人に強制するくせに芹沢先生は絶対に食べないのが特に印象悪くしてる気がします。「文豪たるものゲテ喰いたれ」つーんならお前も体を張れや! とはいえ絵もきれいだし女の子キャラはかわいいしなぜだか出てくる料理は美味そうに見えてきてしまうのでキャラのノリにも出てくるメシにもついていけるかどうかは読んで判断してくれ…!という感じですが、想像も及ばないような料理が出てくるのは純粋に楽しいです。代わりに登場人物が犠牲になってますが。 あとは朝陽さんと他社の編集の足立さんがキャッキャしてるとこ(表紙の絵)が尊いのでそこですね。そこ。次巻以降は芹沢先生もゲテ喰いに巻き込んで溜飲を下げてくれねーかなぁ!
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2021/04/05
小説家とそのファンの束縛百合…
ときいて飛びついてしまったのですがことはそう単純ではありません。 ベストセラーを書き上げたあと、スランプに陥った主人公の小説家・ユウが出会ったのは自身のファンを名乗る不思議な女性・エル。お互いの悩みや身上を打ち明けるうちにふたりの距離はどんどん近づいていき、エルは書けなくなってしまったユウに対してゴーストライターを申し出ます。 生活と創作の両側面に入り込んでくるエルの存在。ユウは心身ともに大きく揺り動かされることに…と途中からヤバそうな空気がじわじわ漂い始めて読むのが止まらなくなりました。 ふたりが支え合っている姿に心を温められつつも、何が起こるのか常にゾクゾク…というふたつの意味で目が離せません。 ユウに度々送られてくるストーカーらしき手紙や、エルの性格の掴みどころのなさが洋画テイストといいましょうか、サスペンスの緊張感を演出していてよいです。この辺りの味わいはもしかしたら原作小説の『デルフィーヌの友情』からきているものなのかも? とはいえあとがきにもあるように原作とは物語の進め方がかなり違っているようです。『デルフィーヌ〜』そのものがまさに作家の自伝風に書かれた小説らしく、ユウのキャラクターとも重なってくるところがあり、こちらもどんな作品なのか読んでみたくなりました。
ANAGUMA
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2021/03/31
人喰いの妖と少年が紡ぐ絆 #完結応援
妖(あやし)の起こす問題を解決する「あやしい屋」の少年チキタ・グーグーは人喰いの妖ラー・ラム・デラルとともに暮らしています。人と相容れない存在であるはずのラーが稼業を手伝っているのは彼の目的がチキタと100年間をともに過ごし、美味しくなった彼を食べてしまうことだから。 これだけ書くと『うしおととら』みたいなコンビバトルものっぽいですが、妖と人の命のやり取りがシビアに描かれる『チキタ』の世界はかわいく見えて非常にハードでダークです。 「人喰い」が関わる残酷なシーンがあるほか、主要キャラを巡って精神的にクる展開が容赦なく続くので最初のうちはほわんとした絵柄とのギャップにやられてしまうかも…(もちろんそれも大きな魅力です!) スリリングなエピソードのなかで「100年」とラーの抱える秘密や不死の存在など、ぞわぞわするような謎も解き明かされていくのでどんどん読み進めてしまいました。 両親の仇であるラーと暮らすチキタを筆頭に、作中では度々殺し殺され喰い喰われ…という関係のキャラクターが登場します。誰かが誰かの仇である過酷な間柄ですが、同じ時間を過ごすことで互いの想いが変わっていく過程が丁寧に描かれます。 食うものと食われるもの、許さないことと許すこと、そして生きることと死ぬこと。『チキタ』のキャラクターたちはそれぞれ凄絶な過去を持ちながら、誰かとともに日々を生きることで重厚なテーマに自分なりの答えを出そうとします。 「そうまとめるのか〜!」という最終話がとても好きでした。 チキタとラーが迎える「100年」の旅の決着、読めばきっと心に残るものになると思います。
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2021/03/09
ゾンビを守る弁護士が目指す世界とは
この作品に出てくるゾンビが面白いのは「死んでいる」以外はほとんど人間と変わらないところ。理性もしっかりあるのでコミュニケーションを取ることだって問題なく出来るのですが、気味悪がられたり、労働力として搾取されるなど差別の対象でもあります。 そして主人公・ゴールドはトラブルに巻き込まれがちなゾンビからの相談を受け付ける弁護士という絶妙な設定です。もし「人とほぼ変わらないゾンビ」がいたらこの世界でどんな問題が起こるんだろうというのを想像させるのにピッタリの仕事ですよね。 自分にかけられた生命保険を死んでいるゾンビは受け取れるのか(!)という問題に端を発し、事態はゾンビのありようを問う裁判に発展していきます。生と死の境界、人権と差別、それらを規定する法のあり方、といったテーマを現実の社会とも比べながら読み解いていける構造になっているのが鮮やかです。 エンディングは裁判の決着を経て世界がどう変わったのかがわかるまで。ゴールドの人物像から受けた印象と同様、結末もスマートで素敵でした。 1巻で綺麗にまとまっているとは思うのですが、もう少しこの世界の物語を見ていたかったというのが本音!色んなストーリーが作れそうだなと…。そう思わせてくれる魅力的な世界と人物が描かれていた作品でした。
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2021/03/02
「美木さん、大好きです!」が僕も大好きです
全く正反対に見える二人が互いを素直にリスペクトしているの、尊いですよね。あるときギャルの美木さんに一目惚れをした地味キャラの香坂くん、彼女に釣り合う人間になるべくガラッとイメチェンをして告白をしたところその気合を認めて美木さんも即お付き合いを了承。すべての展開が早い! 香坂くんが大人しそうに見えて相当な勇気と行動力の持ち主なのもギャップがあっていいです。付き合った翌日いきなり家に朝食を作りに来たり距離感バグってるところとめちゃくちゃピュアなところの差が激しくて愛おしい。おもしろい男……!! そんな感じで香坂くんが予想のつかない男なので美木さんも常に優位を取ってるわけじゃないのが妙味。パワーバランスが常にぐらぐらで、それが美木さんにとっても楽しいのが伝わってくるのがなんだか素敵です。ただ陰キャくんをギャル様が全肯定するという単純な構図じゃあないのです。 とにかくふたりのキャラがあればどんなシチュエーションでも最高に光り輝いたものになるので信頼して読み進めていただきたい次第です。自販機で飲み物買ってるの見るだけで悶えたの初めて!
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2021/02/05
ネタバレ
いわゆるASUKA版DTBというものがあって
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それがこちらです。『黒の契約者』のアニメ放送当時、アニメとのあまりのギャップになかなか物議を醸したイメージがあるのですがそれもいい思い出ですね。一応黒さんがゲストの女キャラを籠絡する展開はアニメと同じくあります(そこ?) アニメと比べての主なツッコミポイントとしては2巻になっておもむろに仮面をつけ始める黒さん(それまで素顔で活動しまくっている)、水がないと何も出来ないのに自然降雨に賭けているノーベンバー11(エイプリルが居ない)などまぁ色々あり、正直評価が高いとは言えない本作ですがそれでもDTBファンが注目すべきポイントがあると私は思います。 それは契約能力を他者に移植する契約者が登場していること。 2期『流星の双子』は記憶操作技術(ME)を物語の核に置いていましたが、先んじてこのASUKA版がDTBにおける契約者と人格の問題を描いているのです。(というかぶっちゃけ2期のヒントにしていると監督がどこかで言ってたような) その辺りの設定が明らかになって以降の終盤、DTBぽさがグンと出てくるのでそこまで読んでからコメントしてほしいかなという気持ち。ラストのなんとも言えない決着とかかなりDTBしてると個人的には思う次第です。 最後にめちゃめちゃ黒の死神っぽい画像を貼っておきます。正直アニメではそこまで黒の死神感がない黒さんですが、こっちは完全に黒の死神だと思いました。依然新情報もないし、えいやと目を通されてみてはいかがでしょうか。3期はよ。