nyae
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2021/05/27
昔のアルバムを見てるような気持ちになる #1巻応援
読みながらそう思っていたらあらすじにもそんなようなことが書いてありました。 作者の実体験をもとに描かれている短編集ですが、コミックエッセイとはまた違う読み心地です。まさに思い出を振り返って懐かしむことができるアルバムのようです。ある意味、自分の写真じゃなくてもこういう体験ができるんだという発見でもありました。 作者自身もしくは作者の親が、過去作を読み返すことで当時を思い出して懐かしむように、作者の子どもたちもいつかは同じような体験ができるのかなと思うと、宝物のような存在の1冊になっているのではないでしょうか。 その話が描かれた時期によって絵柄や画法も変えているところがまた時間の流れを感じます。 去年コミックビームに掲載された「夏休み」という読切でファンになり、「急がなくてもよいことを」をツイッターで見かけてこれはすごいなと感心した記憶があります。それ以外でいうと一番最初に載ってる「映画の思い出」という作品はかなり胸がギュッとなりました。パンを食べるところの表情がなんとも言えない… これからもこういうスタイルで作品を描き続けるのか、もしくは変えてくるのかわかりませんが、今後もどんな作品を生み出してくれるのかいちばん楽しみにしている作家さんです。
nyae
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2021/05/18
ネタバレ
これを「不倫漫画」とは呼べない
独特なヌルッとしたタッチで癖のある絵柄、そして方言をしゃべるキャラクターでいつもこの人にしか描けない漫画を描いてくれます。 ひとまずドラマ化おめでとうございます!と伝えたい。楽しみだ。 しかしこの記事の最後にもありますが https://manba.co.jp/manba_magazines/12230 これを単なる不倫のはなしとして片付けてほしくなくて、主人公である"中山さんの奥さん(麻衣子)"が最終的にどこへたどり着いたかがこの物語の全てだと思うので、自分一人で抱えきれない思いを背負って生きている女性の目の前の靄を晴らしてくれるようなものにしてほしい。というかドラマどうこうよりまず漫画が読まれてほしいという思いですけども。 絵柄はゆるいのに内容は緩急が激しいというか、1巻より2巻、2巻より3巻が面白いので、たぶんイッキ読みしてしまうと思います。 「うきわ」と「うわき」、ただのアナグラムかと思いきや、作中で麻衣子にとって浮き輪が非常に重要なアイテムとして扱われていて、しっかり機能しているので無理矢理感もない。浮き輪があってこそのこの漫画!という感じです。 あ、あと新連載も始まったとのことで単行本化早くも待ち遠しいです。
nyae
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2021/05/02
オリンピックの意味、そして表現とお金。
たぶん、2020年東京オリンピック開催が決まったことがこの連載が始まるきっかけになったと思うんですが、決して「オリンピック万歳!」的な内容ではなく、元は神に捧げる祭事であったところから、いかに経済効果を上げるかが目的となってきたこと、そしてアスリートは「国のために戦い、そして結果を出す」ことが当たり前になっているのは何故か、ということがメッセージのひとつとなってます。 メインのストーリーとしては、古代ギリシャの壺絵師を生業とするオタクの青年が、自分が好きなこと・やりたいことと他人に期待されることの違いに悩み、ひょんなことから様々な時代の日本へタイムスリップし(どっかで見たな)、スポーツをすることの意義やオリンピックのあり方、表現と感動、そして経済を学び、そしてそこで得た知識やアイデアを地元の村の繁栄に役立ててゆきます。 こうあるべきと押し付けるようなものではないですが、今はオリンピックに少し重きを置きすぎというか、お金や勝ち負けよりももっと優先してもいいことってあるんじゃないかな、という作者の願いが、とくにあとがきを読むことで伝わります。 確かに、選手たちはいちいち国を背負いすぎだし、他人に「夢と勇気」を与えることが目的なの変じゃない?君がやりたいからやってるんじゃないの?と個人的にも思います。 (全員がそうじゃないかもですが)好きで、楽しくて始めたはずのスポーツが、いつしか重圧になってしまい、結果を残さなければ存在意義すら失いかねない。 5巻の羽海野チカさんとの対談でもありましたが、世界的なスポーツ大会の舞台に立っている姿を見るだけで「偉い、尊い、優勝!」ってなっても良いはず。どんな結果であろうと選手に文句をつける人はそれなりの権利があるんでしょうね?という話です。 この漫画はまだ続いてますしどういう着地をするかは分かりませんが、オリンピックというものについて色々思うところがある人には読んで欲しいかなと思います。