広がるオメガバースの世界『捨てられΩは二度啼く』

小さな頃から男の子同士のわちゃわちゃを見るのが好きで主に少年漫画を愛読。
しかし日に日にそれだけでは満足出来なくなり、もっと濃くて…もっと尊い関係性のものは無いのだろうか?と探した結果、たどり着いたのがBL(ボーイズラブ)でした。
『萌え』を求め続けて数十年…気が付けばBL蔵書数は13000冊を超えていました。
とにかくBLが好き!
BLコミックスを購入するため必死に働き、疲れた心と体は読んで癒す。
私にとってBLとはパワーの源であり生きる支えです。
その中でも特に好きなのが「オメガバース」もの。
オメガバース専門のレーベルもあるぐらい一般的にも人気の高いジャンルの一つとなっています。

オメガバースの基本設定を簡単に…
・男女それぞれに「α」「β」「Ω」の性別があり、「α」を頂点とした階級差別がある
・αがΩの首を噛むことで番になる。より強く本能で結ばれるα×Ωを「運命の番」という
・男性も妊娠出産が可能

オメガバース作品の大きな特徴としては
・どの作家様が描いても世界観とルールは共通であり、一度覚えてしまえば入りやすい
・基本設定以外は自由度が高い
・独自に新しい設定を加えたり既存のジャンルや属性をミックスすることが出来る
などがあげられます。

そうなんです、作家様の味付け次第でいくらでも世界が広がっていくのです。
次々と読み漁っても常に新しいものと出会える。
ワクワクしますね!
私がオメガバースに魅了される理由はここにあるのかもしれません
あと、個人的にBLの子育てものが好きということもあります。
男同士でも血の繋がった子供を持つことが出来るなんてロマンを感じませんか?

ということで今回は私の推し作家様であり愛してやまない作品の1つ、いさか十五郎先生の初オメガバース作品『捨てられΩは二度啼く』をご紹介いたします。

推し作家様が自分の好きなジャンルを描いてくださる、それだけで『神』であり推せる理由とはなりますが、もちろんそれだけではありません。
オメガバースものとしていくつか面白い試みがみられ、舌の肥えたBL読者さんでもきっと満足できるはず! と思い選ばせて頂きました。

〈登場人物〉
音々と恭壱を捨てた元番のカリスマα・高嶺
恭壱が育てる義理の息子α・音々
番を解消され捨てられたΩ・恭壱

恭壱はΩでありながら仕事も家庭もあり、穏やかな日常を送っています。
比較的、Ωに優しい世界でホッとしますね~。
ところが16歳を迎えた音々のαが覚醒し平和な生活が一変、元番に捨てられ発情期を失っていた恭壱の体に異変が起こります。
元番の高嶺をも巻き込みそれぞれの想いが絡み合い二転三転していくドラマ。
歪な関係性に萌えまくりました。

そして恐らくメインカプより存在感が大きく光っていたのがカリスマαの高嶺。
最初は嫌な奴だなぁと思っていたのに彼の過去や本心が明かされた時にはすっかり惚れてました。
魅力的な当て馬には救済を望む声が高まりますが、新しい恋人の代わりに用意されたのはなんと音々と恭壱の子供!

『捨てられΩは二度啼く』(いさか十五郎/メディアソフト)より

可愛い孫にメロメロになるじじバカというオチは新鮮で面白かったです。
そう、私の萌え要素である出産後まで描かれているんですね。
感謝感激です!

ストーリーもキャラも魅力に溢れまだまだ語りたいことは沢山あるのですが、この辺で「オメガバース」のみに焦点を当てていきたいと思います

当然、物語はオメガバースの基本設定の上で成り立っていますので弱者であるΩが運命と本能に翻弄されつつも幸せを掴む結末は王道中の王道作品といえるでしょう。
しかし、前述の通り作家様の味付け次第でいくらでも広がっていくのがオメガバース。

『捨てられΩは二度啼く』では既存のBL要素である

・三角関係
・義理の親子
・年下攻め
・おじさん受け

などで味付けした上で更に

・αに捨てられた=番剥がしされた後のΩを描く
・番の証である噛み痕を上から焼き「解消痕」として番剥がしを視覚的に表現する
・絶対的なα=カリスマαの存在を作る

など作家様のオリジナリティが付け加えられています。
他とは一味違う作品を作りたいという意欲を感じますね。

「番剥がしとは、一旦番になるとどちらかが死ぬまで解除されない。が、αの都合で一方的に番を解除する場合もある。番解消後のΩは非常に強い精神的ストレスを負ってしまう」
というなんとなくの知識しかなく、番剥がしを描いた作品も数が少なく、実際のところどんな感じなの? と思っていましたので推し作家様の作品でそれが読めた喜びは大きかったです。

『捨てられΩは二度啼く』(いさか十五郎/メディアソフト)より

解消痕は絵面的にはかなりグロテスクでしたが、恭壱の立場や置かれている状況が一目で分かり
素晴らしいアイデアだなと思いました。

カリスマαに至っては、もう斬新!の一言。

『捨てられΩは二度啼く』(いさか十五郎/メディアソフト)より

オメガバースの頂点はαという認識しかなかったため、同じαでさえも威圧されてしまう強いオーラを纏うαがいるという設定に驚きました。

初チャレンジでこれだけ面白い作品を生み出したいさか先生。
次はどんな世界を見せてくれるのだろう?と期待感が高まりました
是非ともまたオメガバースを描いて欲しいです。

いまや1000を超えるオメガバース作品がありその中で自分に合う作品を見つけることは大変ですが、だからこそ出会えた時の喜びは大きくなると思います。
少しでもこの世界に興味を持っていただけたら嬉しいです。

記事へのコメント

あと、個人的にBLの子育てものが好きということもあります。
男同士でも血の繋がった子供を持つことが出来るなんてロマンを感じませんか?

わかる

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