flowersの感想・レビュー205件<<12345>>心の窓が開き風が流れこむお話たち #1巻応援オープンクロゼット 谷和野兎来栄寿『アドレスどちら』、『魔法自家発電』、『いちばんいいスカート』などでお馴染みの、谷和野さんが手掛ける読切シリーズが単行本になりました。 収録作品は 「風の開け閉め」 「花ゲリラ」 「藍の上青の下」 「星拾い」 の4本。 どこか懐かしくほっとするような美しい絵柄で紡がれる、心の繊細な機微を丁寧に掬い取った作品たち。西洋系でファンタジックなお話が中心かと思えば、現代日本が舞台で野球部の少年を描く作品も登場して緩急が生まれています。 個人的には、「星拾い」における主軸の二人の心の変化に自分の過去の体験を重ねて古傷の痛みを思い出すようでした。 総じて心の窓の扉が開かれ、清新な風を受けたような読後感です。 端的に言って、私は谷和野さんが描く世界が大好きです。シリーズはまだ続くようなので、今後も楽しみにしていきたいと思います。確かな質量を持ちながら、軽やかに沁みる短編集 #1巻応援梅サト傑作よみきり集 ユカリさんはクローン 梅サト兎来栄寿『緑の罪代』や『お兄ちゃんは今日も少し浮いてる』など秀作を次々と送り出してくださっている梅サトさんの短編集です。 表題作の「ユカリさんはクローン」は、人口の1/3がクローンで占められるようになり自分と同じ顔の人が様々な場所で違うことをして活躍している世界を描いたお話。すこしふしぎ感のあるSFで、「複製された私たち」というモノローグにアイデンティティについて考えさせられました。 「放課後の最後の晩餐」は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画の中の使徒たちを絵画の通りに演じてみてその気持ちに迫るという授業を描いたお話。見るだけなのと実際にやってみるのには大きな隔たりがあるのはすごく解ります。物語を普通に読むのと、人に聞かせる朗読をするために読み込むのとでは全く解像度が違うように。 「妖精裁判」や「アンコンシャスワールド」では、それぞれ1ページ丸々使った決めのページが印象に残りました。 5つ目の「最期の人形」も含めて、5篇に通底したテーマを感じさせてくれますが、そこには敢えて触れません。実際に読んで確かめてもらえればと思います。 シリアスな雰囲気の作品がメインではあるものの、肩の力を抜いて自然体でいるような軽やかさがある短編集です。過去作と同様の梅サトさん作品の良さが味わえます。 あとがきでは作者の梅サトさんがどうして梅が好きなのかが語られていますが、まさに梅が綺麗に咲き始める時期、冬が終わり雪の下から草花が芽吹くような春の訪れを少しずつ感じるこれからの季節に読むと良い塩梅な一冊だと感じました。全巻読了 総括7SEEDS 田村由美名無し※ネタバレを含むクチコミです。めっちゃワクワクする7SEEDS 田村由美名無し※ネタバレを含むクチコミです。 相楽さんみたいな人いたらな地域の相楽さん 花木アツコPom 相楽さん、かっこいい。面白い。 ご近所付き合いは、今の時代少なくなってきたのかなと思いつつも町内会とか自分の子供時代にもあったな。 兎にも角にも、相楽さんのご近所さんに対する姿が勇ましくカッコいいです。 立ち姿も凛としてる。 コメディタッチでシリアスすぎない所も良い。 言い回し方も上手で、ご近所あるあるについても本当にこんなことあるんだろうなと色々と勉強になります。受験生の願いを叶えてくれる狛犬狛犬撫でたら 梅サト名無しとある学習塾には「近所にある神社の狛犬を撫でると第一志望に合格する」というジンクスがあって…という話なのですが、ファンタジーというよりヒューマンドラマでした。もしかしたらその狛犬には特別な力があるのは本当かもしれませんが、今のことろは普通の狛犬です。 第一話では噂を聞いてジンクスを試そうとする二人の女子高生が主人公でしたが、親が金持ちかどうかとか頭の良し悪しとか、同じ年齢で同じ環境にいたら気になっちゃいますよね。お互いに黙っているより吐き出せてよかったんじゃないかな(でも私だったら遥ちゃんと友達やめると思う…)。 次回は女子高生リエちゃんのバブリーなお母さんが主人公になるようですが、そこにどう狛犬が関わっていくんでしょうか。毎号楽しみにしたいと思います。ドラマ化するんですねぇミステリと言う勿れ 田村由美狐優曇華※ネタバレを含むクチコミです。 ギャグかと思ったらガチだった数字であそぼ。 絹田村子さいろく数字。それは数を表す文字のこと。 高校レベルの数学止まりの知識しかない自分には話が難解すぎる… と思ったけど記憶力だけ良い主人公と一緒に学んでいける!?と勘違いするぐらいわかりやすく紹介してくれている。 この漫画もしかして神様の授けてくれたチャンスなのでは? そう思った私は高校の頃に「動物のお医者さん」を読んで獣医になれるのではと勘違いしたぐらい傾倒しやすいタイプでした。 大学レベルの数学を学んで理解したい、とちょっと思ったけど1巻を読んだだけでは主人公がバカに見えていたけどコイツは記憶力だけで名門大学に入れちゃうぐらいの特殊なやつなんだった。 ‥がんばれ横辺、見守ってるぞ。好きか嫌いかはっきり分かれそうな主人公ミステリと言う勿れ 田村由美野愛事件に巻き込まれて推理を披露してめでたしめでたしでは終わらない、整くんの喋りに読者も刑事も犯人も感心させられる作品。 ふわふわ天パで巻き込まれ体質で飄々としているように見えるのに、警察に捕まってもバスジャックにあっても真っ直ぐな目で自分の考えを話す整くん。とても魅力的な主人公です。わたしはとても好きです。 ひとつ事件が解決するたびに、それぞれの事件の繋がりや整くんの過去が少しずつ見えてくるのでどんどん読み進めてしまいます。キリがいいとこでやめとこ、がなかなかできない!それくらい面白い作品です。クセになるゆるさ光の箱 衿沢世衣子ymzkrm1巻だけなのが少しさみしい。もっと続き読みたいです。エピソードとレシートを照らし合わせるの楽しかったです。ヤミネコかわいすぎ。 生と死のはざまを行き来できる世界が素敵に思えた。 グレゴリ青山の最新エッセイグレさんぽ ~猫とかキモノとか京都とか~ グレゴリ青山かしこグレゴリ青山さん。お名前はよく見かけていた作家さんでしたが、ちゃんと作品を読んだのは初めてでした。めっちゃくちゃ面白い人ですね!京都にお住いのようですが、大阪の古書店で働かれた経験があったり、元バックパッカーだったり、猫・手芸・フィギアスケートがお好きだったり、多趣味で物知りで面白い人だなぁ〜。琵琶湖一周ぶらり旅はマネしてたいです。これからグレゴリさんのエッセイを読み漁っていこうと思います。今まで何で読まなかったんだろう…?草だけ食べても意外と生きられるものなのかな花食う乙女 絹田村子nyae貧乏すぎて草を食って生きている占い師(自称)の主人公が、空腹のあまりある大学の薬草を育てている庭に入り込んで捕まるところから始まります。 薬学部の教授や生徒の面々とのドタバタがメインですが、主人公がお腹が満たされている状態で人の手に触れると未来や過去が見える能力があるのがおもしろい。 家賃滞納で家を追い出されて、学部内に間借りして暮らしたり、いつも空腹だったり、食べてはいけない草を食べてしまったりと一般的な人間の生活とはかけ離れすぎてて読んでて可哀想になるんですが、当人がとにかく元気なのが救いです。 全1巻でちゃんと終わってますけど、もっと続いてもおかしくないのにと思いました。なんて興味深い漫画だろうかさんすくみ 絹田村子名無し神社とお寺と教会の息子トリオ! 普通にこの3つを同時に描けているのがすごいと思うんですけど。 しかもこの3人、 神社なのに神主っぽくない お寺さんなのに幽霊怖い 教会なのに女の子大好きスプラッタ最高 という一番おいしい性格の3人で普通の生活をしてるだけでめちゃくちゃ面白いんですよね! 一個の文化、宗教を掘り下げた漫画なら多々ありますが三つをちゃんぽんするとこんなバラエティ豊かな話、人物になるなんて!! 実に興味深い漫画です 祖母と孫の再会からはじまる幻想的な恋物語雨、こんこんと、綿帽子【単話】 鯖ななこ名無し7歳で母を亡くし、父とふたりで生きてきた主人公の美穂。 母方の祖母には一緒に暮らすことを拒否されてから20年以上一度も会わずにいたけれど、病気療養中と知り祖母の家にしばらく住み込み始めます。 相変わらず冷たい態度の祖母と、なぜか以前から住み込んでいるという虫好きの大学講師・橋本との3人暮らしが始まります。 実の娘の結婚式や葬式にも出席しなかったという祖母に対し、特別な感情を持とうとしない美穂ですが、祖母の冷たい態度にはなにか理由がありそうだということがわかります。 美穂が昔見た狐の嫁入りの光景が、おばあさんの過去に関係があるのか、否か。美穂がこの地に再び訪れたことで何が起きるのか、続きを読むのが楽しみです!数字であそびたい数字であそぼ。 絹田村子hysysk大学で数学を学んでない身からすると、「高校でやってたあれはこういうことだったんだ!」という発見がある。自分も主人公と同じく暗記で乗り切ったタイプなので(見ただけで覚えられるほどの力はないが)、すごく共感しながら読んだ。登場人物が異能を持ちながら基本的には駄目人間てのがいい。数学の知識がなくても十分楽しめるし、京都に土地勘ある人はローカルネタも楽しめると思う。小玉ユキ×さいとうちほ×谷和野とかいう豪華アンソロジー秘密ロマンチカ 小玉ユキ さいとうちほ 谷和野 中川馨 大上貴子 深雲あかり 白壁たくみ名無しやっぱベテランの先生が描く話って面白いなと思わされた1冊でした。1作目のさいとうちほ先生による男装の麗人のお話がマジさいとうちほという感じで最高。 また小玉ユキ先生の作品としてちいさこの庭の番外編が載っており本編を読んでみたくなりました。 そして谷和野先生の作品は少女のデビュタントを描いた夢のように不思議なファンタジーで、谷ワールド全開でメッチャよかったです。 読み終わってから単行本未収録ばかりを集めたアンソロジーだと知り驚きました。得したなあ〜。 鹿児島が舞台のフルカラー家族8コマ漫画!のこのこ! 西炯子ぺそマンバの配信で「ご当地マンガ」の回を観たあとに自分でもいろいろ日本全国のマンガを調べていて見つけたのが、この鹿児島県に住む南ファミリー描いた「のこのこ!」でした。 https://twitter.com/manba_co/status/1326132503787278337?s=20 西炯子先生が故郷・鹿児島県の南日本新聞日曜版で2010年4月から2015年3月まで連載していたフルカラー8コマ漫画です。 先日漫勉neoでカラーイラストの作画風景を拝見しましたが、本当に西先生のカラー絵って美しいですよね…!うっとりしてしまいます。 南ファミリーのほのぼのした日常の中に、鹿児島ならではの方言や銘菓などが垣間見える素敵な作品でした。 各ページの下に、西先生の当時のコメントがついていてそれを読むのも楽しかったです。 「きゃりーぱみゅぱみゅを初めて見たときなんじゃこりゃって思ったけど、おばあちゃん家が鹿児島で毎年帰ってたと知って好きになり応援してる」みたいなコメントで笑いました。 「あくまき」ってお菓子初めて知ったので、ぜひ鹿児島に行った際は食べようと思います! https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/akumaki_kagoshima.html繊細で力強い中華風後宮物語天翔ける狼―煌国異聞録― 江平洋巳名無し※ネタバレを含むクチコミです。作者の漫画家引退作 #完結応援ふたりぼっち 吉村明美nyae薔薇のためにが本当に面白かったので次なに読もうか迷ったんですけど、とりあえず最新作をと思い読んだら、最終巻に「これにて引退」との旨が書かれていてショック。しかし病気などいろんなものを抱えて漫画家を続けるよりも無理をしないと決断されたことは素晴らしい。 本作もこれ以上ない多幸感に溢れた作品で(猫愛も多分に溢れてダダ漏れしてます)、薔薇のためにを読んでも思いましたが、思ったことを思いだけにとどめずそのまま口から出すキャラが多くて、それがストレスなく読める理由だと思ってます。敷島くんの同僚の女とか、やちよの親兄弟とか、ほんと最悪な連中なんですけど、そいつらに何を言われても同じくらいの勢いでみんな言い返すから、なんかもう面白くなっちゃう。これから過去作を読むのが楽しみです。 吉村先生、お疲れ様でした。 やけに絡んでくる軽音部のイケてる先輩の正体は…!?キャット・ウォーク・ウィーク 四ノ原目黒名無し※ネタバレを含むクチコミです。漫画家マンガなエピソードもあって楽しい文房具ワルツ 河内遙名無しまだ付き合う前の微妙な関係の大学生カップルと、そのカップルがアシスタントのバイトに行ってる売れない漫画家が主人公。どちらも人生停滞期みたいなモヤモヤした日々を送っているのですが、その様子を擬人化された文房具達が見守っているという話です。 意外と漫画家マンガとして面白いな〜と思いました。主人公の売れない漫画家が初めてもらったカラーページに苦戦する話とか好きでした。同じ時期にデビューした売れてる漫画家が登場するんですけど、そいつが性格いいのもよかった。めっちゃ売れてて豪華なマンションに住んでるのにコタツで原稿を描いてるとか、そういうのいいな〜と思いました。和樹を見守りたい詩歌川百景 吉田秋生starstarstarstarstar干し芋『海街diary』は、読んでないのだが・・・。 この物語だけでも、当然ながら成立してます。 主人公の和樹は、複雑な家庭に育ったのに、素直に成長しているように感じる。反面教師なのかな? 温泉街に住んでいる人々の何でも共有できている良さもあるけど、その閉塞感も辛い。 この街で、生活していくこと、仕事、人間関係、自分の立ち位置、色んな事に気を使いながら成長していく和樹を見守りたい。 失った記憶を取り戻すための切ない旅記憶の技法 吉野朔実まるまる※ネタバレを含むクチコミです。記憶に残る天パミステリと言う勿れ 田村由美みこチャンカレー好きの天パ。個性ばかりが記憶にやきつく。謎解きもよいけれど、彼の考え方生き方哲学が、すごくすきだなぁ。<<12345>>
『アドレスどちら』、『魔法自家発電』、『いちばんいいスカート』などでお馴染みの、谷和野さんが手掛ける読切シリーズが単行本になりました。 収録作品は 「風の開け閉め」 「花ゲリラ」 「藍の上青の下」 「星拾い」 の4本。 どこか懐かしくほっとするような美しい絵柄で紡がれる、心の繊細な機微を丁寧に掬い取った作品たち。西洋系でファンタジックなお話が中心かと思えば、現代日本が舞台で野球部の少年を描く作品も登場して緩急が生まれています。 個人的には、「星拾い」における主軸の二人の心の変化に自分の過去の体験を重ねて古傷の痛みを思い出すようでした。 総じて心の窓の扉が開かれ、清新な風を受けたような読後感です。 端的に言って、私は谷和野さんが描く世界が大好きです。シリーズはまだ続くようなので、今後も楽しみにしていきたいと思います。