あらすじ櫂VSアメリカ。ここで日本の未来が決まる! 運命の「日米和平協議」編!! 席次変更のため一時中断という波乱の幕開けとなった日米和平協議。その後の交渉で、アメリカは一転し強気な姿勢を見せる。その背景には、和平よりも戦争を望むルーズベルト大統領の思惑があった。これに対し、日本側は東條英機の意向を受けた牟田口が暴走。国務長官ハルを激怒させ、交渉打ち切りを宣告されてしまう‥。クセモノぞろいの日米和平協議。日米両国を合意に向かわせる「画期的アイデア」を探して、櫂が悩みぬく第19巻!!
極上の「負」のカタルシスだった。 日本が第二次大戦に突入しそして敗戦するまでを描いた戦記モノで、架空の天才軍人・櫂直(かいただし)が明晰な頭脳と冷静な分析によって開戦を、ひいては敗戦を回避すべく孤軍奮闘する話。 犠牲を払いながら手を尽くしても戦争へ突き進む軍部を止められず、事態は坂を転がり落ちるように悪化の一途をたどっていく。巻数にして30巻を超える長い長い無力感と喪失感を味わいながら、物語終盤ミッドウェー海戦で惨敗、櫂は軍を離れ、そのまま終戦、東京裁判を経て完結へ。 勝利も復讐も俺TUEEEも、およそ快感と呼べるものを与えられないまま、ずっとしんどい思いをしながら読み続けることになるものの、読後感は不思議と悪くない。むしろ心地よいまである。なぜか。 「いわんこっちゃない!」と叫びたくなるような負の感情のカタルシスの連続、喪失感、破壊(と再生)、櫂の決意と忠誠、わずかな希望……。一言であらわすなら、「大人の味すぎる娯楽」って感じ。