あらすじ【ebookjapan限定で三田紀房先生のサイン入りイラストを巻末に収録!】櫂が立案、参加した上海への渡洋爆撃は、成功したが中国軍との交戦により坂巻ら7名が戦死する。生還した櫂は、嶋田らに全航空機へ防弾装備を施す機体改修を訴えるが、反感を買い謹慎処分に。そんな櫂のもとを外務省の丹原が訪れ、中国にいる東条英機に会いに行くと話す。戦争拡大を阻止すべく、櫂は正体を隠して丹原と共に中国へ!
極上の「負」のカタルシスだった。 日本が第二次大戦に突入しそして敗戦するまでを描いた戦記モノで、架空の天才軍人・櫂直(かいただし)が明晰な頭脳と冷静な分析によって開戦を、ひいては敗戦を回避すべく孤軍奮闘する話。 犠牲を払いながら手を尽くしても戦争へ突き進む軍部を止められず、事態は坂を転がり落ちるように悪化の一途をたどっていく。巻数にして30巻を超える長い長い無力感と喪失感を味わいながら、物語終盤ミッドウェー海戦で惨敗、櫂は軍を離れ、そのまま終戦、東京裁判を経て完結へ。 勝利も復讐も俺TUEEEも、およそ快感と呼べるものを与えられないまま、ずっとしんどい思いをしながら読み続けることになるものの、読後感は不思議と悪くない。むしろ心地よいまである。なぜか。 「いわんこっちゃない!」と叫びたくなるような負の感情のカタルシスの連続、喪失感、破壊(と再生)、櫂の決意と忠誠、わずかな希望……。一言であらわすなら、「大人の味すぎる娯楽」って感じ。