光る風

これは〈過去、現在、未来〉の話である…

光る風
かしこ
かしこ
1年以上前

物語の冒頭で「舞台は1970年以降の仮想日本だが、それが起こるのが10年後なのか明日なのかは誰にも分からない…」という何とも不穏な気持ちになる説明をされて始まります。読んでいて連載当時としても衝撃的だったであろうシーンが多々あるんですが、これから先こんなことが起こるはずがないと言い切れないのが恐ろしいです。私が印象的だったのはお兄さんの出征をみんなが万歳三唱で見送ろうとするのを主人公が怒鳴るシーンです。なぜ歴史は繰り返されてしまうのか、どうしてみんなそれが平気なのか、主人公の怒りが爆発するんです。最後まで読んだけど完全に理解できた気がしないので読み返そうと思います。

かの人や月

記憶が遡っていく。

かの人や月
干し芋
干し芋
1年以上前

私が、小学生の頃の法事とか何かの集まりで親戚一同集まってわやわやしていた感じを思い出して、懐かしくて優しい気持ちになりました。 あの頃は、本当に楽しかったなぁ。 皆、人に気を遣わず好きなこと言って、お坊さんがお経を唱えている時、くすくす笑ったり、足がしびれている人の足をわざと触ってもがいている姿を楽しんだり、大人の話があるときには、近所のお好み焼き屋に行ってお好み焼き食べたり、駄菓子屋に行ってホームランバー買って当たりを引いて喜んだり・・・。 そんな懐かしい光景を思い出させてくれました。 所々ジ~ンとします。

えれほん

いつか有害図書になったら素敵

えれほん
野愛
野愛
1年以上前

こんなんあり得ないとは言い切れない絶妙なラインを突いてくるお話。 声の大きいもの順に相手してたらこういう世界になっちゃうだろうな、と他人事のように思いました。 どこからが正義でどこからが人間でどこからが侵害なのか考えるのなんて正直めんどくさい。 見える範囲のものだけ見て与えられた情報だけ信じて生きているのを否定できないので、わたしも実質PDバンドをつけているようなもんかもしれません。 とどのつまり「自分で考えなさい」「あなたが感じたようにしなさい」ということなんでしょうが、何も考えず何も感じないで生きるほうが楽な世界だよね的な皮肉も感じました。 いろいろ考えさせられました!ってとりあえず言って逃げたくなる短編集でした。面白かった。

スモーキングメイドロマンス

猫耳メイドのウラオモテコメディ

スモーキングメイドロマンス
名無し
1年以上前

あらすじにロマンスって書いてあるからメイドのまいちゃんとバイトの下辺でロマンスが始まるんだとおもいますけど、ただメイドさんのオフの顔を描くだけでもけっこう面白いです! 休憩時間にタバコ吸ってたらにおいでバレるだろと思うんですが、その後のケアをしっかりしててよかった。そんな手間をかけてでもタバコが吸いたいんだね。笑 作者のいずみせらさん、名前知らなかったですけどたぶんかなり好きです。これから注目しておきます。

虎の娘 (序)トラウマ

作者約20年ぶりの新作と聞いて読んでみたが..............

虎の娘 (序)トラウマ
名無し
1年以上前

夏目房之介やいしかわじゅんが高く評価していて、大友克洋に影響を与えもし、 一時代を築いた伝説的な漫画家。 宮谷について知っていたことはこんなところだった。 検索して出てくる絵はどれも暑苦しく、執拗な描き込みに満ちていて、 劇画の時代を体現していて........さっき名前を挙げた二人の漫画評論なんか読むと、なかなか凄いっぽいのはわかるけど、いまいち どう凄いんだっていうのが伝わりづらい、まあいわば近寄り難い人ってイメージを 否めなかったのよね。 しかしそんな彼が久々に新作を描いたとあって、門外漢である自分もどんなものを描いたのか、ちょっくら確かめたく思い、ヤングキングアワーズを手に取ったのである。 結論から言うとそれほど面白くは感じなかった、かな。絵がどうしても古くて、やっぱりその、世代が違うっていうか、なんだろうね。カッコいい無骨な男が訳有りな少女を守り抜くという、王道といえば王道な話が、しかし絵の古さでグルーブできない。 (主人公の相棒が襲ってきた二人組にガソリンをぶっかけ、逃げていくところを あえて主人公が挑発して発砲に追い込み、たちまち火に包まれるシークエンスや、敵の組織の鉄砲玉に対し、丸腰にも関わらず自身が銃を持っていると思い込ませて、迫力だけで相手を逃亡に追いやったりするところはカッコ良かったです。) もっと調べてみると、実は新作でもなくて、80年代に創刊まもないスピリッツで短期間連載したシリーズの未発表の前日譚だったらしく。 だからなのか、長期間新作を描いてこなかった漫画家がある時その空白を破った時、何かとてつもない風景を目の当たりにできるのではないかという衝撃、それが全然なくて、正直がっかりしてしまった。なんだ再録かよー、的な とりあえず宮谷一彦をほとんど読んだことのないひとが読んだ人の率直な メモ程度として、書き残しておきます。 (宮谷作品は他にも色々あるのでまたチャレンジはしてみたい!)

ぷにぷにぷにおちゃん ~赤ちゃん観察日記~

可愛すぎるよ、ぷにおちゃん

ぷにぷにぷにおちゃん ~赤ちゃん観察日記~
六文銭
六文銭
1年以上前

自分も子育てしているせいか、 子育て・夫婦系のエッセイをよく読むようになりました。 皆さん苦労していて、共感できるんですよね。 というか、この苦労を共感したいためだけに読んでいる感じ。 だけど、やっぱり、子育ての大変さを呪詛のごとく吐き出して共有するのって、それはそれで精神衛生上よくないなぁと最近思いました。 大変だけど、楽しみたいんですよね。 本来は、子供は可愛いもんで、子供と過ごせる日々はとても尊いことなんだって思いますもの。 そして改めて、本作を読み、そのことを再認識しました。 ぷにお、可愛すぎるよ。 そして、自分の子供に似てて(多くの人がそう思っているようですが、新生児はだいたい同じなのか?)とにかく愛おしいです。 キラキラした瞳も、ぷにぷにのほっぺも、てりてりの唇も、 意味不明な行動も、全部可愛いくて、全部幸せにしてくれる。 どこの家庭も、子育て大変ですけど、 配偶者は理解してくれず、非協力的かもしれませんけど、 そういうエッセイで傷を共感しあうのも良いですが、 本質的には、 子供は可愛い! に立ち戻れる作品だと思います。 ぷにおに思い知らされました。

子宮を貸して 単行本版

昼ドラのような怒涛の展開

子宮を貸して 単行本版
六文銭
六文銭
1年以上前

優しい夫に、裕福な生活。 絵に描いたような幸せ家族だったが、子供には恵まれなかった主人公。 何年もつらい不妊治療をするも結果は、妊娠に至らず。 最後の手段として、「代理母出産」を選択。 代理母役は、見ず知らずの他人ではなく妹に依頼。 妹は姉とは対照的で、暴力をふるう夫に、子沢山の貧しい生活。 お金に困っていた妹夫婦は、多額の謝礼金が貰えることで代理母を引き受けることに。 加えて条件として、当面は生活を逆、つまり、姉の家で姉の夫と暮らすことを提示。 姉は妹の家で生活。 姉の裕福な生活を妬んでいた、妹の仕返しである。 順調に代理母での妊娠がすすんでいたのだが、最終的に失敗。 そして、それを隠そうと姉の夫と関係をもって、さらには妊娠してしまうという流れ。 最終的には、この不貞もバレて、夫は寝取られ、そこから、主人公の破滅が始まるのだが・・・ここまででも、なんという昼ドラ的展開!と驚きました。 救いようのない、胸糞悪い感じが、エグいです。 主人公は主人公で過去、元カレとの間に中絶した背景も夫に隠していて、など次から次へと怒涛のように流れこんでくる感じが、 なんと形容していいかわからなくなるくらい、すごいの一言。 最後は、まぁ、体よくハッピーになりましたが、先の読めない(というか、予想の斜め上をいく突拍子のない感じ)それまでの展開に読む手が止まりませんでした。 一気にとけました。

私は整形美人

美しければ幸せになれるのか

私は整形美人
野愛
野愛
1年以上前

なかなか読んでいてしんどい作品でした。 男だから女だから美人だからブスだから、など。 他人には関係ないことなのに、見た目やスペックで好き勝手言われる世界。表面的なごく一部の情報をもとに自分という人間を品評される世界。美人でもブスでも地獄のような世界。 この漫画ほど酷くはないにしろ、そんな世界で私たちは生きているんだと痛感させられます。 主人公は自分の顔に絶望し、整形美人となった美玲。 綺麗になったんだからあとは楽しく生きたらいいじゃん!と思うのにそうもいきません。 人の顔をランク付けしたり羨んだり、人の好意を素直に受け止められなかったり、自分に自信が持てなかったり。 綺麗=幸せではないということをまざまざと見せつけられます。 もう一人の主人公(と言っても過言ではないと思う)天然美人で性悪・穂波の生き方にも苦しくなります。 美人でもブスでも整形してもこの世は地獄なのか…。 そんな絶望的な世界で、ゆっくりながら強く美しく成長していく美玲に心打たれます。 本当の幸せも美しさも、他人から決めつけられるようなものではないのです。 唯一読者が幸せになれるのは、美玲の過去を知るイケメン・慧との恋愛パートだけです。  ちなみに、まともな男性キャラは2人しか出てきません。あとはゴミです。

熱帯魚は雪に焦がれる

寄り添う孤独と瀬戸内の光 #完結応援

熱帯魚は雪に焦がれる
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

愛媛県大洲市長浜を舞台とするこの作品は、井伏鱒二の小説『山椒魚』をモチーフとした作品でもある。 小説の〈山椒魚と蛙〉となぞらえられる、二人の女子高生。閉じ込められるのは、孤独という名の岩屋。そこは暗く冷たいが、二人の外に広がる光景は眩しい。 穏やかな瀬戸内海は、いつでも心を癒してくれる。高校の水族館部の魚や水生動物は愛らしい。そんな光景の中で、孤独を抱える二人はお互いの孤独を知り、不器用に身を寄せ、言葉を交わす。 寂しいという感情を持つ人が「寂しい」と人に告げる事の困難さが描かれ、これは私の物語だ、と思わされる。 しかし私は、その先の光景を知らない。 二人が「寂しい」を告げた、その先の光景はとてつもない煌めきに満ちていて、私は己が体験した事の無いそれを、少しの寂しさと、大きな喜びで眺める。 他にも所謂「優等生」が抱く重圧や孤独について、私の実感と非常に近い物があり、これが描かれた事で私も少し救われた気がした。 二人の関係性に恋愛だの友情だの、区分をつけようとすると最後まで混乱するだろう。この二人はこの形なのだ。そんな事よりも、暗い孤独に共鳴する全ての人に柔らかな光を見せてくれるこの物語を、そのまま丁寧に享受したい。

ルナティック雑技団

存在への憧憬(ほとんどラブレター)

ルナティック雑技団
漫画を読む女S
漫画を読む女S
1年以上前

3巻に掲載のポセイドンアドベンチャーのパロディー長編で岡田あ~みんって天才なんだなって理解できた気がしたクチです。 一切!無駄のない映画的コマ割りと構図に、流れるような科白回し、何度読んでも震えます(おおげさですが本当に)。うまくないのに、人の動きとか空間の描写がめちゃくちゃ上手で、弱冠二十歳でこれが描けちゃうって凄まじいことだなっていつも思ってます。 どんな環境でどんな本や映画に触れて構成されたお人なのか、それからどんな人生を過ごされているのか、気になって仕方ない、私にとっての岡田あ~みんはそういう存在です。

ルナティック雑技団

ギャグ漫画初心者を引きずり込む強烈な魅力 #完結応援

ルナティック雑技団
たか
たか
1年以上前

ルナティック雑技団を読んで、あらためて自分はギャグ漫画というものを全く読んだことがなかったんだな〜と気付かされました。 なので、1巻を読み始めた時は王道の少女漫画設定なうえに絵が上手いので(本気出したらメチャクチャ絵が上手い人がヘロヘロのギャグ絵で描いてるのが丸わかり)、「いったいこれは何なんだ……? どんな顔をすればいいんだ」という感じでした。 が、2巻に入るとだいぶこの世界に慣れてきて自然に吹き出すことが増え、3巻には「えっ、これで終わりなの……!?」と物足りなさを感じるまでになりました。 読みながら終始『ルナティック雑技団』というタイトルについて考えていましたが、本当に言い得て妙ですよね……。 どう考えても狂気漂ってるし雑技団顔負けのアクロバットな日常だし……これ以上ない最高のタイトル。 MVPはやっぱり森夜のお母さんですね。大好き……! 躁鬱気質とゴマすり体質と息子ラブが絡まり合って情緒がヤベ〜〜ことになってて、それがいい。ギャグ漫画の世界の人だから安心して笑える。 ほどほどまともなキャラ(夢実ちゃんとかルイ先輩とか)が開き直ってハイテンションでメチャクチャやりだすところもたまらないです。 なのでその2つが組み合わさった2巻の 「寝起きの天湖くんて意識ないのよねェ」と、開き直って背中に「スキ」と指で文字を書いている夢実ちゃんの背中に森夜ママが「淫婦」と書くとこで爆笑しました。JCに淫婦て……! ・事故チューしてしまったあとの色気前回の夢実ちゃん ・夢実ちゃんの背中を押すルイ先輩のいい演技 のシーンももちろん大好きです! 全体的にだいぶ刺激的な内容が多く、当時これほんとうにりぼんで女児読んでたの……?とにわかには信じられないロックな作品。 初めて読んだ岡田あ~みん作品だったのですが他のも俄然読んでみたくなりました。 ▼2巻(第21回)のルイ先輩のこのセリフがツボ

かんかん橋をわたって

嫁姑漫画

かんかん橋をわたって
名無し
1年以上前

嫁姑戦争の究極みたいな話なんですが、たまにふっと心温まる話があって面白い。 出自が良い悪いとか、「〜の人」とかいう地域性の偏見もちょいちょい入ってきますね。 どこの地域もありますね、駅挟んでこっちは富裕層、反対はそうでもない人などそういう偏見。 そういう同じコミュニティの人が助けてくれたり、蹴落そうとしたりする、その渦中にいるリアルな一人の女性を描いてて共感できるとこ多いです。

こっこさん

物語以上の魅力がたくさん詰まってる

こっこさん
名無し
1年以上前

女の子がニワトリを飼うんですが、鳥ですからあまり人間と意思疎通もできませんし、割と淡々と物語は進むんですが、たまにハッとするくらいが魅力的なシーンがあります。特に河原がよく出てくるんですが、そういう時にそこに流れている風とか匂いとか夕日の色なんかが、白黒のコマからはっきりと伝わってくるんです。こうの史代先生は実際に子供の頃にニワトリを飼っていて、よく土手を散歩されていたそうなので、その思い出がそのまま漫画になっているのかもしれません。自分の懐かしい記憶もなんだかよみがえってきました。

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