ベルばらより好きという人がいるのも納得です
※ネタバレを含むクチコミです。
男装の麗人がヒロインという、池田理代子先生お得意の長編ラブロマンスです。主人公のユリウスはドイツの貴族の愛人の息子として生まれ、異母姉妹がいますが、彼女たちには疎まれ、音楽学校へと進みます。そこで出会ったロシア革命の革命家であることを隠し、学生として暮らすクラウスと恋に落ちます。しかし、そんなユリウスを慕う貧乏だけれどずば抜けた才能に恵まれたイザークとの関わりも見逃せません。最後は革命の為に祖国ロシアに帰ったクラウスを追ってユリウスもロシアに行き、クラウスと再会するもクラウスは命を落とし、そのショックから記憶を失ったユリウスは祖国ドイツに戻り、怪我の為にピアノが弾けなくなったイザークや異母姉に支えられ暮らすことで物語は終わります。ユリウスとクラウスの恋の話が中心ですが、イザークとイザークを支える女性たちの話も引き込まれるものがあります。登場人物の誰もが強い愛情をもって誰かを愛し、その愛ゆえに身を亡ぼしたり、相手を苦しめたりしますが、どの人も、「いつかの自分」を思わせる気持ちで、読む年齢によって感情移入する人物が変わる作品だと思います。年を重ねてからは、愚かだけれど愛する人を支えたい一心で走り回るイザークの妻ロベルタに思いが重なるようになりました。若い頃はただ愛だけを支えに異国で独り彷徨うユリウスに涙しました。何歳になっても読み返したい作品です。ベルサイユのばらでフランス革命、オルフェウスの窓でロシア革命について勉強したと言っても過言ではありません。
ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校、聖ゼバスチアンの塔に400年前から伝わる「オルフェウスの窓」―――男性がその窓から地上を見下ろしたとき、一番はじめに眼界に入った女性と宿命的な恋におちるという伝説を持ったその窓で、ユリウスとイザーク、またユリウスとクラウスはそれぞれ出会う。ところが伝説には続きがあり、その恋はオルフェウスとエウリディケの悲恋にならって必ず悲劇に終わるという…
ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校、聖ゼバスチアンの塔に400年前から伝わる「オルフェウスの窓」―――男性がその窓から地上を見下ろしたとき、一番はじめに眼界に入った女性と宿命的な恋におちるという伝説を持ったその窓で、ユリウスとイザーク、またユリウスとクラウスはそれぞれ出会う。ところが伝説には続きがあり、その恋はオルフェウスとエウリディケの悲恋にならって必ず悲劇に終わるという…