一つの時代を築いたヒーローやアイドルでも、
その時代を知らない、違う世代には
伝わっていないこともある。
強烈なカリスマ性が、強烈だったというデータだけ伝わり、
真価が、その時代に起こった凶熱感が伝わらないことが。
春一番の「元気ですか!」でしか猪木を知らない人もいて、
長州小力の「切れてないですよ」でしか
長州力を知らない人もいる。
同じように、
「なんじゃこりゃあ!」のモノマネとか、
SMAPの木村拓哉さんがパロディとして
演じた「探偵物語」の工藤ちゃんでしか
松田優作を知らない世代もいるようだ。
松田翔太の父、としか認識していない人も。
モノマネが芸として成立するのは、
その元ネタが強烈だからこそである。
別にモノマネがキッカケでもいい。
誤解や笑いから始まった興味でもいい。
もっと大勢の人になにがどう強烈だったか。
改めて伝えるキッカケになってくれるのならば。
「松田優作物語」を読めば、
昭和の時代のテレビや映画や俳優が持っていた熱が伝わる。
そのなかでも特に凶熱感があった松田優作の作品に
興味が沸いてくる。
「なんじゃこりゃあ!」
しか松田優作を知らない人達が読めば、
松田優作をもっと知りたくなる静かで熱い漫画だ。