【感想板】月光条例は藤田和日郎の漫画家魂が見える
※ネタバレを含むクチコミです。
『うしおととら』1巻の作者コメント(カバー裏のところ)に「…「マッチ売りの少女」が気に入らなかった。なんでかわいそうな女の子がかわいそうなコトになっちまうんだよ!!
だけど本のさし絵に正拳(せいけん)を叩き込んでもムナしいだけだ。だから僕はそのパンチを代理のヤツにぶちかましてもらうことにした。うしおととら、こいつらはつまり・・ そういうヤツらなんだ」って書いてあるんだが、『月光条例』はこの1巻のコメントをそのまま題材にしたような漫画。
藤田和日郎作品はどれも好きだけど、『月光条例』だけは他の作品よりもキャラクターが向き合わなきゃいけない逆境が厳しく、そして彼らに投げかけられる言葉も厳しい印象があるが、藤田和日郎が漫画家になった原体験と向き合い続けながら描いたからかなと思っている。
実際、おとぎ話を登場人物をキャラクター(マッチ売りの少女も登場する)として採用し、彼らの味わう不条理を物語の骨子にして、不条理極まりない物語がそうでなければいけない意味を与える一連の流れは、藤田和日郎が漫画家になった原点と向き合った軌跡だと思う。
「うしおととら」「からくりサーカス」「黒博物館スプリンガルド」など長期の連載も短い連載も数多く世に出して、たくさんのキャラクターたちの人生を作ってきた上で取り組んだ、ある意味で第二のデビュー作とも言える漫画じゃないかな。
ある月の青い夜。月光と演劇部の前に、おとぎばなしの住人・鉢かづき姫が、いきなり本の中から現れた。彼女は、不思議な月光でねじれてしまった「おとぎばなし」の世界をもとに戻すべく、「月光条例」を執行する人間を求めてやって来た使者だった。偶然、条例の<極印>を授かり執行者になってしまった月光は…!?
ある月の青い夜。月光と演劇部の前に、おとぎばなしの住人・鉢かづき姫が、いきなり本の中から現れた。彼女は、不思議な月光でねじれてしまった「おとぎばなし」の世界をもとに戻すべく、「月光条例」を執行する人間を求めてやって来た使者だった。偶然、条例の<極印>を授かり執行者になってしまった月光は…!?