あらすじ

自らの出生の秘密を知るために、アラビアンナイトの世界へと飛び込んだ月光。そこでは、月打を受けたアラビアンナイトのキャラクターたちが、「長老会」の面々を人質に取り、何でも願いを叶えられる宝・うちでの小槌を要求していた。彼らの目的は、アラビアンナイト以外のおとぎばなしをこの世から消してしまい、〈読者パワァ〉を独り占めすること。危機感を募らせる一行だが、魔法や精霊を操る月打キャラの前に、次々と囚われの身になってしまう…頼みの月光は「魔法を思い出す」ために、修業に入る。「魔法を思い出す」とは、何を意味するのか?そして、囚われの面々に語られる『青い鳥』の主人公・チルチルの物語は、月光とどう繋がるのか…!?数々の謎が絡まるアラビアンナイト編、さらに加速―――!!!
月光条例 1巻

ある月の青い夜。月光と演劇部の前に、おとぎばなしの住人・鉢かづき姫が、いきなり本の中から現れた。彼女は、不思議な月光でねじれてしまった「おとぎばなし」の世界をもとに戻すべく、「月光条例」を執行する人間を求めてやって来た使者だった。偶然、条例の<極印>を授かり執行者になってしまった月光は…!?

月光条例 2巻

実家のラーメン屋が大繁盛で、手伝いで忙しく働いていた月光。そんな時、おとぎばなしの世界から一寸法師を追って新たな敵が現れたと、鉢かづきが助けを求めてきた。生意気な態度の一寸法師とソリが合わずケンカをする月光だったが、そのころ敵は海辺で釣りをしていた演劇部のもとに出現。金棒の一撃で大地を消し飛ばすほどの力を持つ敵は、演劇部を人質にとり…!?

月光条例 3巻

「月打」されたシンデレラがスピードの魅力にとりつかれ、カボチャの馬車で走り出した。白馬の王子らの制止を振り切り人間界で暴走を始めたシンデレラが夜の峠に現れ、走り屋レースを繰り広げていた月光の悪友・天道に襲いかかる!一方、何も知らない月光たちのもとに王子から助けを求める連絡が…!!

月光条例 4巻

シンデレラとのレースで一度は負けた月光だが、鉢かづきが変化した車に乗って反撃開始。頑なに本の中に戻ることを拒むシンデレラに月光は、物語の「幸せ」に納得してないのではと尋ねる。内心を見抜かれて怒ったシンデレラは、馬車を幅寄せして潰そうと狙うが、逆にかわされて自らの馬車を壁に激突させてしまい…!?

月光条例 5巻

「月打」された「あまんじゃくとうりこひめ」の登場人物が、留守番をしていた女の子の家に入ろうと襲いかかる。だが、鉢かづきと演劇部が、出前のどんぶりを下げるべく偶然この家に訪れたため、その登場人物は逃げ去って事なきをえた。そして演劇部はどんぶりを取りに行き、鉢かづきは女の子を「ラーメンいわさき」へ連れて行くが…!?

月光条例(6)

赤い頭巾をかぶった女の子による2件の爆破殺人事件が発生!イデヤ&工藤が事故現場を検証する中、その「赤ずきん」が今度は警察署に現れ、ここでも爆破襲撃を開始した!赤ずきんの狙いは、署内にいる「かんばやしごうぞう」という老人。そして老人を捜しあてた赤ずきんが「おまえでさいごだ」と襲いかかったその時、イデヤたちが駆けつけて…!?

月光条例(7)

ある日、新聞部の「夏直前!人気クラスメートにインタビュー!!」という企画で、インタビューを受けることになった演劇部。本人は全然意識していないが、演劇部に憧れを抱く男子は多く、取材しに来た新聞部員・小竹もそのひとり。取材を通して、ますます彼女の魅力に引き込まれていく小竹だったが、そんな演劇部がなぜ超不良の月光を気にするのか理解できなくて…!?

月光条例(8)

「フランダースの犬」と「うらしま太郎」。日本と西洋の有名なおとぎばなしの登場人物が入り乱れ、現実世界は大混乱!しかし、月光の熱い気持ちが彼らを動かし、さしもの大事件も無事大団円!…と思っていたら、最悪の惨劇が発生!!現れたのは「桃太郎」の桃太郎と、サル・イヌ・キジ。桃太郎は伝説の武器<呑舟>を求めて無差別テロを敢行!!

月光条例(9)

「月打」された日本一の桃太郎により、金太郎をはじめとするツクヨミの条例執行者たちは次々と撃破され、遂には演劇部までもがその犠牲者となってしまう…。桃太郎の狙いは、最強の武器と名高い鉢かづきの身!その目的のため、犬、猿、キジのお供と共に悪行のかぎりを尽くす桃太郎。で、鉢かづきはどこにと言えば…頼りの月光と共に、条例執行違反の疑いをかけられ、ツクヨミによって軟禁状態に。

月光条例(10)

シンデレラ、赤ずきんという最強の助っ人を得た月光は、復活したイデヤと共に、この戦いに決着をつけるべく最後の一撃を放つ!見事、桃太郎に条例を執行した月光。しかし、戦いを終えた月光は、桃太郎との戦いの中で、人間とは思えぬ力を発揮した自らの存在に違和感を覚える…そして、物語は月光の抱える謎へと迫る「アラビアンナイト」編へと突入する!!

月光条例(11)

アラビアンナイトの世界で「長老会」の面々が人質に!首謀者だと思われる月打キャラ・アラディンの要求は、願いがなんでも叶う「うちでの小槌」。海水浴に来ていた月光は、鉢かづきを通じてツクヨミから「長老」たちの救出要請を、どーにも乗り気になれない…しかし、鉢かづきの「囚われのはだかの王様は、月光様についてお詳しいでしょう」という言葉を聞き、自分の存在に疑問を持ち始めていた月光は、アラビアンナイトの本の世界へ入る決意をする。一緒に海水浴場へ来ていた仲間達までも入り込んでしまったアラビアンナイト世界で待っていたのは、いきなりの大トラブルで…!?

月光条例(12)

自らの出生の秘密を知るために、アラビアンナイトの世界へと飛び込んだ月光。そこでは、月打を受けたアラビアンナイトのキャラクターたちが、「長老会」の面々を人質に取り、何でも願いを叶えられる宝・うちでの小槌を要求していた。彼らの目的は、アラビアンナイト以外のおとぎばなしをこの世から消してしまい、〈読者パワァ〉を独り占めすること。危機感を募らせる一行だが、魔法や精霊を操る月打キャラの前に、次々と囚われの身になってしまう…頼みの月光は「魔法を思い出す」ために、修業に入る。「魔法を思い出す」とは、何を意味するのか?そして、囚われの面々に語られる『青い鳥』の主人公・チルチルの物語は、月光とどう繋がるのか…!?数々の謎が絡まるアラビアンナイト編、さらに加速―――!!!

月光条例(13)

「最強月打」に打たれた『青い鳥』の主人公・チルチルは、不幸な物語のキャラクターを幸せにすべく奮闘を続ける。『雉も鳴かずば』の主人公・お菊を幸せにすることが出来ずに意気消沈するチルチルに、次のチャンスを与えたのは、意外にも「長老会」のメンバーであるはだかの王様だった。王様からの情報を元に、チルチルが向かった先は、かの有名な物語…マッチを売る幼い少女が主人公の物語だった!!

月光条例(14)

マッチ売りの少女を連れて、『アラビアンナイト』世界へと逃げてきたチルチル。目的はただ一つ、不幸な物語の中でしか生きることの出来ない少女を幸せにしてやること。そのためには手段を選ばないチルチルは、『アラビアンナイト』の世界で、強大な魔法の力を得ることに成功する。一方で、「最強月打」に打たれたチルチルに「月光条例」を執行すべく、数多くの執行者たちが『アラビアンナイト』の世界へ迫る!チルチルは彼らを退け、マッチ売りの少女を幸せにしてやることが出来るのか!?

月光条例(15)

明らかになった月光の過去!月光はメーテルリンクの「青い鳥」のキャラクター・チルチルであった。では、事件の黒幕・チルチル様は何者だというのか!?絡み合う謎が、徐々に明らかに!!!

月光条例(16)

「アラビアンナイト」の世界で巡り会う二人のチルチル。同じキャラクターが、同じ世界に存在する、その真相は!?チルチルがチルチルを止めなければ、すべての御伽噺が消える!!!!絡み合う謎の数々が、ついに明かされ始める!

月光条例(17)

チルチルから岩崎月光へと続く物語に大きな影響を与えた人物がいた。物語は「アラビアンナイト編」から、必読の「センセイ編」に突入!

月光条例(18)

チルチルはなぜ、人間・岩崎月光になったのか!?「うちでの小槌」の力によって、読み手(ニンゲン)界に飛ばされたチルチル。そこにはデクノボーになりたかった執行者「センセイ」がた。その出会いは、岩崎月光へと続く物語に、大きな影響を与えることになる!

月光条例(19)

過去を知り、自分がキャラクター・チルチルであったことを知った月光。では、すべての「ものがたり」を消そうとするチルチル様とは何者なのか!?月光vs.チルチル様!様々な謎が明らかとなる最終決戦が始まる!

月光条例(20)

月光=「青い鳥」のチルチルvs.謎のキャラクター・チルチル様!激しい戦いの先に待ち受けていた真実は!?岩崎月光の出生を巡る戦い、終結へ!「アラビアンナイト」編、完結!

月光条例(21)

明かされる驚愕の事実!この「ものがたり」が行き着く先は、ハッピーエンドか…それとも!?藤田和日郎の真骨頂、ここにアリ!現代版御伽草子は、怒濤の最終章へ!!!!

月光条例(22)

げっこうが「あおいとり」へかえるまであといつか…センセイにたくされた「ツユをたのみます」ということばをうけたかせツユ=かぐやひめをさがすげっこうであったがてがかりはみつからない…とほうにくれるげっこうのまえにエンゲキブがひとりのおとこをつれあらわれる…おとこはオオイミとなのりエンゲキブはみずからのいいなずけでありカグヤというなであるとあかして!?

月光条例(23)

げっこうは「つきのむこうのせかい」へかえることとなったエンゲキブがかのちでほんとうにしあわせをてにできるのかをたしかめるためにまほうのぼうしをつかい「つきのむこうのせかい」へ―――そこでげっこうがめにしたものはエンゲキブがたいないにちくせきしたたいようのちからをすいとるためのおそるべきそうち「ダカツガマ」であった…しんじつをしったげっこうはオオイミにたいするいかりをもやすが…!?

月光条例(24)

「つきのむこうのせかい」でオオイミのしろにせんにゅうしたげっこうはオオイミおうがエンゲキブをつれもどすだけでなく「おとぎばなし」をすべてけしさるつもりだとしる―――ちきゅうにもどったげっこうは「おとぎばなし」をまもるため「いっすんぼうし」のひめにたのんで「うちでのこづち」をふらせてもらうが…オオイミおうのむかえまであとふつか!!

月光条例(25)

月の門を通り、異世界から、オオイミ王率いる「月の客」が襲来。彼らの目的は、千年前に罪人として地上に落とした「カグヤ」こと、エンゲキブを連れ帰ること。そして、この世の「物語」全てを“消滅”させることだった!「月の客」の大軍に立ちむかうことを決めた月光は、エンゲキブを光も届かぬ深海に、「おとぎばなし」たちを北極に隠し、たった一人で満月の夜に出撃する――!!

月光条例(26)

カグヤことエンゲキブを連れ帰り、地上の「物語」全てを消し去ろうとする、異世界からの侵略者「月の客」。たった一人で迎え撃つ月光は徐々に追い詰められていくが、この窮地に立ちあがったのは、守られているはずのエンゲキブ、そして「おとぎばなし」のキャラクターたちだった…!!

月光条例(27)

オオイミ王率いる「月の客」と戦うため、自ら「月打」を受けた「おとぎばなし」のキャラクター達。その代償は、二度と元の本に戻れなくなること――自分たちが消滅しても、他の「物語」を守るというキャラたちの悲壮な覚悟が、優勢だった「月の客」の軍勢を押し返していく…!オオイミの旗艦に突撃する月光、その月光の元を目指すエンゲキブとともに、「おとぎばなし」たちの大反撃が始まる!!

月光条例(28)

「月打」を受けた「おとぎばなし」たちの捨て身の抗戦で、反撃の狼煙を上げた月光たち。だが、オオイミ王を目指し進もうとした矢先、親衛隊・ナナツルギが立ちはだかる。その窮地に現れたのは、月光の妹・ミチル!決戦へ向け、さらに加速する“藤田版”御伽草子・最終章――!!

月光条例(29)

異界の姫カグヤ=エンゲキブを巡る戦い、ついに完結!自らの存在を賭して戦い、消えていった「おとぎばなし」の活躍により、「月の客」軍に大打撃を与えた月光たち。だが、残された軍の総力を結集し、敵も最後の牙を向く!さらに大将・オオイミの絶大な力を前に月光は…!?6年にわたる“藤田版”御伽草子、壮大なクライマックスは必見です!!

月光条例

『うしおととら』1巻の作者コメントを題材にしたような漫画

月光条例 藤田和日郎
地獄の田中
地獄の田中

『うしおととら』1巻の作者コメント(カバー裏のところ)に「…「マッチ売りの少女」が気に入らなかった。なんでかわいそうな女の子がかわいそうなコトになっちまうんだよ!! だけど本のさし絵に正拳(せいけん)を叩き込んでもムナしいだけだ。だから僕はそのパンチを代理のヤツにぶちかましてもらうことにした。うしおととら、こいつらはつまり・・  そういうヤツらなんだ」って書いてあるんだが、『月光条例』はこの1巻のコメントをそのまま題材にしたような漫画。 藤田和日郎作品はどれも好きだけど、『月光条例』だけは他の作品よりもキャラクターが向き合わなきゃいけない逆境が厳しく、そして彼らに投げかけられる言葉も厳しい印象があるが、藤田和日郎が漫画家になった原体験と向き合い続けながら描いたからかなと思っている。 実際、おとぎ話を登場人物をキャラクター(マッチ売りの少女も登場する)として採用し、彼らの味わう不条理を物語の骨子にして、不条理極まりない物語がそうでなければいけない意味を与える一連の流れは、藤田和日郎が漫画家になった原点と向き合った軌跡だと思う。 「うしおととら」「からくりサーカス」「黒博物館スプリンガルド」など長期の連載も短い連載も数多く世に出して、たくさんのキャラクターたちの人生を作ってきた上で取り組んだ、ある意味で第二のデビュー作とも言える漫画じゃないかな。