長い道

すずさん、道さん

長い道 こうの史代
影絵が趣味
影絵が趣味
映画化大ヒットの『この世界の片隅に』や『夕凪の街・桜の国』などの広島を舞台にした連作で名高いこうの史代ですが、今回紹介するのはそんな彼女の初期の作品である『長い道』です。 舞台は戦時でも広島でもなく、業田良家の『自虐の詩』にも似たちょっとダメな感じの新婚夫婦を短編連作形式で描いているのですが、至る所に後の広島連作に通ずるモチーフやエッセンスが出てくる出てくる。『長い道』はこうの史代の原石の宝庫と言っても過言ではないかもしれません。 スターシステムを採用しているので『この世界の片隅に』のすずさんと、『長い道』の道さんは同じ顔なのですが、二人の共通点は顔だけでなく、それぞれの世界の捉え方、ここにもひとつあると思います。すずさんや道さんの目からはいったいどのように"この世界"がみえているのでしょうか。 なぜ、こうの史代がすずさんや道さんのような人物を主人公に選ぶのか、そこには彼女が座右の銘にしているというアンドレ・ジッドの言葉「私はいつも真の名誉を隠し持つ人間を書きたいと思っている」に深い関係がありそうです。こうの史代の世界にやられてしまった人はジッドの代表作のひとつ『田園交響楽』もおすすめです。
19番目のカルテ 徳重晃の問診

読んで見つめ直そう

19番目のカルテ 徳重晃の問診
野愛
野愛
体調が悪くなると医療漫画が読みたくなることないですか? とは言え重たいともっと具合悪くなるので、できれば前向きだといい。さらに言うと1話完結で読みたい分だけ読めるといい。 というわけで19番目のカルテがぴったりなんです。 どこかが痛い辛いときってもちろん治したいのは当たり前だけど、まずは安心したい気持ちが強い気がします。 原因がよくわからず「ストレスですね」とか「体質ですかね」とか言われると、どうしていいか途方に暮れてしまいます。病気じゃないのに仕事や学校休めないし……。 その一方でなんとなく「ストレスかなあ」「疲れかなあ」と不調をやり過ごしてしまうこともあります。病院行くの怖いし……。 という気持ちが自分にはあるので、この作品に出てくる患者さんたちも相当悩んで苦しんで怯えて病院にたどり着いたんだろうなあ、そういう人たちに寄り添う徳重先生、滝野先生は本当に素晴らしいなあとしみじみ思います。 そしてもうひとつ、自分のことを正しく大事にしないとなあとも思います。これくらい大丈夫と思わずに、休むときは休んで健康診断も受けて病院ちゃんと行こうと誓いました。
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