見晴らしガ丘にて
入院中の老妻を見舞った老夫が、同じ病室の名札に見た名前。それは遠い昔、初めて恋をした人と、同じ名前だった――。東京郊外にある住宅地「見晴らしガ丘」に暮らす、世代も立場も様々に異なる人々の、平凡な日常に起こった小さな異変を鮮やかに描いた連作シリーズ、待望の電子書籍化。第15回(1986年度)日本漫画家協会賞・優秀賞受賞作品。第一話~第八話を収録。
入院した父親を介護するために、二度と帰るつもりのなかった「見晴らしガ丘」に戻ってきた沙也加は、子どもの頃に通ったおにぎり屋が、まだ営業していることに気がついて――。第15回(1986年度)日本漫画家協会賞・優秀賞を受賞した『見晴らしガ丘にて』から三十余年。東京近郊の住宅地で“今”を生きる人々を描いた近藤ようこの連作シリーズ、待望の単行本化。プロローグとエピローグに「宇宙爺」(前・後)を描き下ろし。
古都鎌倉には猫にまつわる古くからの噂があるーー鎌倉のどこかにある「化猫倶楽部(ばけねこくらぶ)」に行けば、いなくなった猫に会えると。マヤとガクトが働く「かまくら猫倶楽部」には、今日もまた、その噂を頼りに人が迷いこみ、物語を語り出す。それが、怪異を呼び寄せるとも知らずに…。人と動物、この世とあの世。意識と無意識の境界に現れる怪異譚第1巻!
あの世とこの世の境界が溶けてゆく———人と猫と化け猫が織りなす合縁奇縁の物語!(BE・LOVE2022年1号)
●主な登場人物/奈々(フランス留学中の日本人学生。自分でも気付かぬうちに黒魔術にかけられていた)、ナワン・ナムギャル(プータン出身の僧侶で、伝統ダンスの名人。奈々が黒魔術にかけられていることを一目で見抜く)、イレーヌ・ベアール(自らを孫悟空と名乗る謎の少女。キリスト教会より“悪魔”の可能性があると認定される)、カンディド・アマンティーニ(バチカンの公式エクソシスト) ●あらすじ/自身にかけられた黒魔術をきっかけに、謎の若人・ナムギャルと知り合った奈々は、彼とともに世界各地に痕跡を残す“猿”の正体を追うことに。その過程で、自らを“孫悟空”だと名乗る少女と出会い…? ●本巻の特徴/いにしえより世界各地にその姿を現し、畏れられてきたモノ“猿”。そして現代、人類はその存亡を懸けて、“猿”と対峙することになる! 古今東西の神話・伝承などを網羅しつつ、誰も見たことのない世界を現出する、五十嵐大介渾身の単行本描きおろし作品!!
自然界を超越した異形の生物──HA(ヒューマナイズド・アニマル)。それは遺伝子を“設計”された、ヒトと動物とのハイブリッド。HAが備える驚異的な身体能力は、野心を抱く人々の策略によって殺りくの現場へと投入され、その真価を発揮していく。ヒトは何のためにこの異形をデザインしたのか──その背景には、人類の未来へとつながる壮大な計画が横たわっていた! 稀代の表現者・五十嵐大介が放つハードSF、ついに登場!
金持ちの家の少年・武夫に付きまとう不気味な男。顔が焼けただれたその男は、やがて帰宅中の武夫に声をかけ、父親に渡してほしいと言って細長い包みを差し出してきた。そして包みを渡された父親が開けてみると、それはなんと切り取られた右腕だった!屋根裏から、事の顛末を眺めていた猫目小僧は…!?妖怪からも人間からも忌み嫌われる猫又の少年“猫目小僧”が、様々な怪異と出会い、人々を恐怖に陥れる──1960~70年代に描かれた傑作が、単行本初編集ページも加えて完全復活!!
もはや地上はビルと車で埋め尽くされ、地下都市に人工の自然環境を求めるようになった近未来の東京。クラスメートに占い代をカンパしてもらった女子中学生ヨッコは、ミッチとともに占い師のもとを訪れた。実は、ヨッコのおなかの中にはもうひとつの命が宿り始めていたのだ。ヨッコのおなかに手をかざした途端、占い師は口から恐ろしい形相をしたエクトプラズムを吐き出し…。地球が終焉を迎える近未来――バイオ鳥肉のササミ細胞から誕生した天才科学者・チキン・ジョージを中心に、地球が滅亡していく恐怖と人類の「勇気・正義・愛・生命力」を描いた楳図ワールドの集大成的作品。自然を無視し、無分別に進化発展を続ける我々現代人に警鐘を鳴らす!
1880年ごろ、とある海辺の街をポーツネル男爵一家が訪れた。ロンドンから来たという彼らのことはすぐに市内で評判になった。男爵夫妻とその子供たち、エドガーとメリーベル兄妹の4人は田舎町には似つかわしくない気品をただよわせていたのだ。彼らを見たものはまるで一枚の完璧な絵を見るような感慨にとらわれた。実は、その美しさは時の流れから外れた魔性の美。彼らは人の生血を吸うバンパネラ「ポーの一族」であった。市の外れに家を借りた一家は、人間のふりをしながら一族に迎え入れるべき者を探し始めた。そして、エドガーが興味をひかれたのが、市で一番の貿易商の子息であるアラン・トワイライトだった…。
小説の主人公に自分を重ね、図書館で借りた本を読みふける少女。名作「チボー家の人々」を題材に採った表題作のほか、3編を収録。会社の片隅で繰り広げられる、恋か?セクハラか?本人たちにもわからない小さな騒動「マヨネーズ」、ボランティアが派遣先で起こすスリリングなすれ違い「二の二の六」など、バラエティー豊かに人生の真実と上澄みをすくい取る、たぐいまれなる作品集。ユーモアとクールな距離感が織りなす絶妙なバランス、名手による4編の物語をお楽しみください。
不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす〈科学する人たち〉朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹……彼らが遺した文章と一組の母娘の出会いを描く、高野文子11年ぶりの新作コミック。