吉川きっちょむ(芸人)2018/05/07伝説が現在進行形で描かれている新刊が出るたび読んでいるが、現時点で56巻まで出ているので序盤の熱量をもう一度確認したくなって読み返してみた。 やはりすごい熱量。 読んでいるだけで体が熱くなってきて今すぐに自転車で飛び出したくなる。 高校に入学した小野田坂道が自転車競技に出会い、隠された才能を発揮し、のめり込んでいく熱血青春スポーツ漫画だ。 この漫画のすごいところは、話の導入部分がものすごく丁寧で、違和感なく自転車競技というものに興味を持たせられるところだ。 主人公の小野田坂道は自転車になんか全く興味がなく、アニメ研究会に入ろうとするが人数が足りず休部になっていて部員勧誘をするも集まらず途方に暮れていた。 まず、主人公が自転車に興味がないのがポイントで、多くの読者と同じ目線に立っているのでとても共感できる。 そして、アニメ好きで節約したいからといって千葉県から秋葉原までの約45km、往復90kmをほぼ毎日ママチャリで走っているという。 もう、自転車に向いてそうで才能を発揮してくれそうな説得力あるエピソードが分かりやすい。 同世代ではトップレベルの自転車やってる同級生が、偶然学校前の激坂を歌いながらママチャリで登る小野田を目撃し、ハンデ込みで勝負を挑むが、僅差で小野田は負ける。 しかし、全くの素人相手に僅差の勝負だったことで、彼は小野田の才能を認め自転車部に勧誘する。 ここでいよいよ自転車の才能があることが発覚してきて、あとはそれを疑う周囲の人に実力を見せつけるのみとなってくる。 ここから面白いのが、小野田の成長と、ママチャリと自転車レースで必須な速く走ることに特化したロードバイクとの違いを丁寧に描いていくのだ。 まず、適切なサドルの高さにすることでこぐ力が完全に伝わり、ギアがつくことでさら速くなる。その感動を喜びの新しい発見の感情として表現してくれている。 そして、ここまではまだママチャリだったが、レースに参加することでギアとかサドルとか関係なく完全なロードバイクとの性能差を見せつけられ愕然とする。 しかしここでママチャリですらかなり速かった小野田がロードバイクを手にすることで爆速となり部員をごぼう抜き! ここまでで自転車競技用のロードバイクってすごいんだ!乗りたい!となるほどに分かりやすく描かれている。 そしてここから小野田本人の成長物語へと移行していき、1年目のインターハイが終わるまで30巻近く使う。 これって、実はあのスラムダンクと似たような構図なのだ。 バスケに興味が無い桜木花道、異様なジャンプ力を発揮し才能がチラつき、バスケの勝負のアツさや桜木花道の成長を描いていき、インターハイを描き終わるのに約30巻。 4月~インターハイの終わりまでの短期間をここまで濃くアツく描けている点など共通点がたくさんある。 これで名作にならないわけがない。 そしてスラムダンクは熱量が下がったその後を描きたくないとのことでそこで終わったが、弱虫ペダルはその後もきっちり描き、2年目のインターハイもものすごくアツい展開になってきている。 僕たちはいま、後世に語り継がれる伝説的な漫画が誕生しつつあるリアルタイムの連載を追えていることに幸せを感じた方がいいのかもしれない。弱虫ペダル渡辺航
吉川きっちょむ(芸人)2018/05/042017年からずっと一番好きな漫画この作者はいわゆる天才なんだと思う。 いつも年末にその年一番良かった、好きだった漫画は何かを考える。 でも結局いつもよく分からなくなりそこから数か月経って、これかもしれないなーというのがふわっと浮かび上がってくる。 それが2017年は『青野くんに触りたいから死にたい』だった。 天然で思い込みが激しいタイプの女の子・優里に青野くんという初めての彼氏が出来るが二週間後に事故で亡くしてしまう。 優里は絶望し死のうとすると、幽霊になった青野くんが現れ…。 という始まり方で、これは一風変わったラブストーリーなのかと思った。 ところが読んでみると、とんでもない、そんなところじゃ収まっていなかった。 女の子の方のタガが外れているので何をしでかすか分からないドキドキ感と、青野くん本人も自覚していない隠された秘密が少しずつ露呈していく描き方がたまらなくゾッとする。 ピンク色イチャイチャからのゾッ、これがたまらない。 黄金比だ。 そして、異常事態を許容してしまうタガが外れた女の子優里ちゃん。 ここには人間の怖ささえある。 この漫画には、論理で捉えられない人たちの逸脱した思考・行動の怖さのようなものがずっと漂っていて、頭で理解できない本能的な部分にこそ恐怖を訴えかけてくるのだ。 なんかよく分からないけど怖いってやつ。 でもこれはホラー漫画では決してない。 1人の女子高生の繊細な恋心と仲間たちの感情の機微、つまりは青春を描いた漫画なのだ。 大好きだ。 この漫画が好きな人には是非、映画『イット・フォローズ』も観てほしいし、『イット・フォローズ』が好きな人にはこの漫画を読んでほしい。 ----------------------------- 追記 2020.07.04 話が続いていくほどに怖くなるこの漫画がなんでこんなに怖いんだろうと考えるんだけど、恐怖の根源ってそもそも理解が及ばないものということに気づいた。 昔から人間は理解できない自然現象や見えないけど確実に存在するもの、光や闇などを神とか悪魔とかの所業として畏敬や恐怖を感じていたから、それに近い気がする。 そこに厳然たる理論が横たわっているはずなのに、自分の理解ではどうにも分解できなくて考えが追いつかない感覚。 僕たちには理不尽にすら感じる霊との関わりの中で、ミオちゃんらの協力で少しずつ法則性が見えてきて恐怖が緩和されてきたようにも感じる。 恐怖に対抗する武器は理解なのかも。 自分自身の読解力のせいかもしれないけど、物語から作者さんの意図を読みきれないのが素晴らしくて、対談相手に『青野くん〜』は切り分けられずに様々な感情が付随して描かれていると言われたのに対して、 「私は、境界線を引きたくないんです。明確に境界線を引くって、何かを切り落とすってことだと思うから。そうすると、解像度が下がるので。」 と言っていて、すごく腑に落ちた。 漫画って線画のように、いかに現実の場面から情報量を減らして伝えたいものを画面に落とし込んで伝えられるかっていうメディアだと思ってたんだけど、それは線画の話であって、感情の話ではない。 一般的にデフォルメされた絵柄の漫画で語られる内容は絵柄に比例してシンプルなものが多いので、思えば『青野くん〜』の絵柄もそういう前提で読んでしまってこの感情の解像度の高さとのギャップに面食らってしまったのかもしれない。 当時テレビ放送時に『魔法少女まどか☆マギカ』にも驚いた記憶がある。 作者が感情ではなく理の人だと分かって、それ故に客観視されたような感情の言語化が果たされているのかと。 『青野くん〜』が三幕構成の話で、「キスを返して」までが一幕、『四つ首様編』までが二幕。 二人と仲間たち、どういう結末に向かっていくのか楽しみで仕方がない。青野くんに触りたいから死にたい椎名うみ66わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/22誰かの大切な秘密を知ってしまい陰から応援したくなるそんな感じここまでひそやかで奥ゆかしくて優しく見守っていたくなる恋は久しぶりだ。 大学生になって同じスーパーでバイトを続けて1年。 モブ子は控えめで大人しく同僚の誰からも連絡先を聞けてなかったりする。 そんな中、自然と目で追ってしまうのは同い年で困ったときにそれとなく助けてくれる入江くん。 まだ恋と自覚できないような淡い想いを抱いて、バイトに精を出す。 たまらない。 コミュ障と片付けてしまいたくないような、他人を思いやれるがゆえに控えめになってしまう様も見ていてもどかしくて仕方ない。 が、それがいいのだ。 入江くんもまた、そんなモブ子を暖かい目で見つめ、気遣っている。 なんとも前時代的とも言えるこの言葉にしない距離感。 お互いに踏み込まない。 踏み込まないが、その平行線はとても暖かいのだ。 それとなくいる。 それとなく見ている。 意識し合ってるのにお互いそれには感知できず。 ああ、もどかしい! でも、僕は見守ることしかできないのです。 完全なる蚊帳の外。 僕自身、イケイケな恋はしてこなかったので、モブ子と入江くんに感情移入しつつも、どうにか背中プッシュしてくれと新人ちゃんにも感情移入できるいう楽しい読み方ができている。 今後どうなっていくのか楽しみ。モブ子の恋田村茜2わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/22エロとノスタルジー懐かしい気持ちで久々に手に取りました。 妖怪や幽霊、都市伝説、学校の七不思議、オカルトなどなどそっち方面のことは大体やってて、童守小学校5年3組の担任で、鬼の手を持つ日本唯一の霊能教師である「ぬ~べ~」が解決する、といった1話完結の話が主ですね。 僕がぬ~べ~を読んでいたのは小学校の頃でしょうか。 ジャンプを読んでいる顔してエロを覗き見れる貴重な合法エロでした。 とはいえ、僕は幼少期から水木しげるをはじめ、妖怪だったり幽霊の話だったりが大好物だったので、一石二鳥でした。 大体、生徒の誰かが妖怪に憑りつかれたり、問題行動を起こして憑りつかれたり、通りすがりに憑りつかれたりって感じの話で、教訓めいたものが多く、自分はこうなるまいと思っていろいろ自制していたので、教育的な面でも成功していたんじゃないでしょうか。 通りすがり系は、災害みたいなもんでたまったもんじゃないので普通に怖かったです。 意外と科学で戦う場面もあったりするんですよね。 アニメと違って漫画は普通にグロかったのでトラウマ回もわりとありました。 漫画好きな友人とどの回がトラウマになったかで結構盛り上がるのでオススメです。 A、赤いちゃんちゃんこ、ブキミちゃん、寄生虫、人面瘡、はたもんば、枕返し、 七人ミサキ、桜の木などなど・・。 どこからでも読めるので引っ越しの際に売らなきゃ良かったなと後悔してます。 最近ジャンプ展へ行ったときに原作の真倉翔先生のコメントで「ぬ~べ~は日本初(?)のネーム原作の漫画です」と書いてあったので、へーと驚きました。 連載開始が93年なので、それまでの原作付きの漫画はネームの形ではなかったんですね。 意外です。 御本人がおっしゃってるだけなので、未検証という意味でのクエスチョンマークでしょうけど、概ねそうなんでしょうね。 続編のNEOは読んでませんが、気が向いたらまたパラパラやってみたいものです。地獄先生ぬ~べ~真倉翔 岡野剛1わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/20カワイイの向こう側に透けるブラックさとキモさ(いい意味)まず、めっちゃカワイイ。 それは何を置いても第一に来る。 月での異常な労働環境で働いてきたがリストラになり地球に来たふわみ。 この表紙のピンクの髪のうさみみのカワイイ生き物がふわみである。 部屋に転がり込んできて居候するという伝統的なドラえもんスタイルから始まるが、ブラックすぎる環境にいたせいか、不憫すぎるほどに従順で一生懸命で身も心も過剰に社畜だ。 なぜなら働かないと、溶ける。物理的に、身体が。 普通に不憫だとただかわいそうに・・となるが、ここまでくると超カワイイ。 不憫カワイイ。 社畜力53万と言われてもおかしくないくらいに価値観の違う社畜で完全に異文化交流だ。 世紀の発見である月の住人に部屋の掃除をさせご飯を作らせる。 しかも本人はそれを至上の喜びと捉え感謝している。 こんなの狂ってる! でもカワイイのだ。 だからオールオッケー。 社畜とは何か、その行き過ぎた行為の現代社会の闇の一端に触れたような触れてないような、そんな気になった。 もしかしたら働きすぎな現代人への警鐘をカワイさに包んで鳴らしてくれているのかもしれない。 個人的には、体の一部が大きくあるキモさとデフォルメされたへたったウサギっぽいところが好きです。ウサギ目社畜科藤沢カミヤ2わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/18新人賞らしいぶっ飛び第1回スペリオール次世代マンガ大賞入選作品。 漫画が大好きな「くるりん」はどこにでもいる青春真っ只中の女子高生で、学校に行けばいつもの気が合う友達3人と話し、いつもちょっかいかけてくる幼馴染の男子がいて、イケメンなクラスメイトに恋をしているが、彼にラブレターを渡してからすべてが変わってしまった…。 ポップでキュートな絵柄でこういう話の作りで、どこまで振りでどこから裏切ってくるんだろうと期待していたら予想の斜め上をいかれて気持ち良かったです。 前半と後半で全く違う味わいで楽しいです。 ある変化が待ち受けているんですが、めくった瞬間に戦慄して、何度も前のページと見比べました。 世界が一変するとはまさにこのこと。 早く他の作品のアイデアを見たくなります。 楽しみ。くるくるくるりん冨手優夢
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/18決して折れない強い生き様を強烈に描いてますついに完結。 東京に隕石直撃後に建てられたの壁の中のスラムで働く警官のおじさんにリクは世話になっていたが、ある日警視総監である鬼道院により無残に殺されてしまい、目撃したリクが罪をなすりつけられ13歳にして冤罪で脱出不可能と言われる極楽島の監獄へと送られてしまう。 おじさんの無念を晴らし鬼道院の顔に一発入れるために脱獄を決意するリクだった。 全38巻なのでどんどんと大きな話になっていくんですが、あくまで焦点はリクの個人的な問題、「鬼道院の顔に一発入れる」を最終的な目標にしているので決してブレません。 とんでもなくアツいマンガです。 脱獄を決意したあとに絶対に不可能と思われた極楽島からの脱出を、丁寧に丁寧にしらみつぶしに可能性を探っていく様子もワクワクしますし、リクの決意の強さ、覚悟、アツさに感化されていく仲間の描き方もどれも大好きです。 たまに大ゴマで田中のおっちゃんの謎のポージングが挟まれることがあるんですが、それも個人的には漫画的表現の楽しみになっていました。 漫画的表現で言えば、リクや鬼道院の表情の強さが漫画的強さになっているなと思います。 そこに彼らが息づいて生きている泥臭さ、リアルさがあります。 ラストは意外と言ってしまえば意外とあっさりめに描かれています。 そうでしょう、そんなもんなんでしょうきっと。 そこに誰のどんな想いが込められ、幾人もの生き様があり、背負ってきた物語があるかに関わらず物事は起こり得るのです。 個人的には事態の収束はもう少しねっとりしたものを見たい気持ちはありましたが、おそらく描きたかったであろう部分がそこでは無く、それに至るまでの過程だったんだろうと思えば腑に落ちます。 瀬口忍先生、リク、お疲れ様でした。囚人リク瀬口忍
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/15読むと実践したくなる東洋医学西洋医学で解決できるのははっきりと原因が分かるもの。 未だ病になりきっていないものを東洋医学なら解消できるかもしれないという話。 不思議と読んでいるだけで健康になっていくような気がするほど、読後感がさっぱりしていていいです。 原因不明の片頭痛持ちなんですが、もしかしたら頼るべきは東洋医学なのかもしれないですね。 とはいえ、生活の疲れなどの原因と考えられるものなどきちんとフラットな視点で見て、どちらかを妄信するのだけは避けて自分で考えたいところです。 そういうのあったんだー、と見識が広がり選択肢の幅が広がるという点で素晴らしいと思いました。 こういうウンチク漫画系でも押しつけがましくないので読みやすいですね。 自分の身体を救うのは自分、というところも悪く言えば無責任ですが、本来そうあるべきなんですよね。 自己管理すべきなんです。 彼らはそのお手伝いをしてくれると。 それくらい謙虚な気持ちで医者にはかかりたいものです。 フラフープに関しては一度Amazonでカートに入れるところまではいきました。素直なカラダ東野柚子5わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/15あのときの気持ちを思い出せてくれるいいマンガになりそうな予感!痛ましく切ない少年少女の葛藤を描き出した傑作『神様がうそをつく。』の尾崎かおり先生の最新作第1巻。 小学校の頃に大親友だった男女4人組。 主人公である継(つぐ)ちゃんは大阪へ引っ越し、そしてまた高校で戻ってきた。 3人と久しぶりの再会を果たした継だったが、関係性は当時のままとはいかず…。 かつてあった姿や関係の幻影を追い求め、すがり、幻滅するという話はたまにあるが、そういったとき主に描かれるのは青春の同時代を過ごした同士である友人などの大人になった姿だ。 しかし、『金のひつじ』では、スタートが小学生であり、再会は高校生。 思春期に起こる身体や精神の変化は著しく、必然だ。 僕自身、親の都合で転勤が多く、人間関係には振り回されたクチだ。 広島で小学生3年~5年を過ごし、親友と呼び心底信頼していた友人と、大学生になる前の春休みに久しぶりに連絡を取り東京で会うことになった。 しっかりと当時の面影を残した彼と再会したものの、会話は弾まず、当時の思い出を語るも覚えているのは僕ばかりで、彼は広島で彼の時間を更新し続けていた。 広島にいた3年間に囚われ郷愁の念を抱き続けてきた僕とは対照的に。 そして、お互いにだんだんと口数は減り、洗濯物を取り込まなきゃいけないとかどうでもいい理由をつけて別れを告げ、それ以来会っていない。 そんなものだ。 その帰り道、僕はノスタルジーと、言い表しがたい感情に締めつけられ無性に泣きたくなった。 大学生になる前の夜、諦めのようなものを覚えた瞬間だった。 僕と彼とはなんだったのか。 あの日々はもう二度とは戻らない。 といった感情は誰しもが持っていると思う。 思春期→大人という変化より、小学生→思春期の方が僕はよっぽど共感できる。 そんな感情を思い出させてくれるし、おそらくお話の結末には僕が成しえなかった救いが描かれるんだろう。 いやそう願っている。 どうか、どうか、なにとぞ。金のひつじ尾崎かおり8わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/08ネタバレキャラのキモさが際立っていて良い最近読み返す機会があったので。 忍同士の争いってやっぱり人外な技の応酬なので見ていて楽しいなーというのが素直な感想なのですが、やっぱり絵がキレイでいいですよね。 そして美女もイケメンもキレイに描かれていはいますが、だからこそ醜男たちがまあその醜男っぷりを見せてくれていて最高なんですねー。 蓑念鬼が名前の奇妙さも込みで大好きです。 鼻毛ぼうぼうなビジュアルといい、攻撃方法といい、次はどんな姿から技を出してくれるのか楽しみでしたが、最期の姿も笑っちゃいました。 全5巻でまとまっているので読みやすい中に裏切りがたくさんありますし、10vs10の攻防の最中に目が見えない&見えなくなる人を足したら4人もいるなんて誰も予想つきませんよ! 死に際こそ見せ場ですね。バジリスク~甲賀忍法帖~せがわまさき 山田風太郎3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/08ジャンプ+の楽しみジャンプ+で連載中の「地獄楽」、毎週楽しみに読んでいます。 個人的には「サマータイムレンダ」と同じくらい楽しみです。 死罪になった最強の忍である主人公画眉丸が、恩赦を得る条件として提示されたのは、帰ってきた者がいない極楽とも言われる奇妙な島へ行き「不老不死の仙薬」が得て、他にたくさんいる異能を持った囚人たちと競って一番に帰ってくることだった。 主人公や他の囚人、そして各囚人を見張っている処刑人である山田浅ェ門たちのそれぞれの戦闘も見ていて楽しいし、島の中に出現する謎の敵らしきもののデザインも視覚的にとても気持ちがいい、人によってはキモいとも言うかもしれない。 ぜひちょろっとでいいからアプリ、もしくは単行本で見てみてほしい。 幻想的な景色の中の不気味さ、特異な組み合わせなど楽しめます。 謎に包まれた島の実態はいかに—!?地獄楽賀来ゆうじ3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/05いまジャンプ+で一番楽しみなマンガ夏、幼馴染の潮という少女の訃報を聞き、和歌山の島に帰る主人公の慎平だが、島では誰にも気づかれずじわじわとある異変が起こり始めていた。 やがて慎平はその謎に巻き込まれていき、どうやら自分が解決の鍵を握っていると気づくようになる。 好きな要素がいっぱい入っているんです。 夏、海、島、田舎、方言、幼馴染、死、葬式、死体の謎、違和感、じわじわと迫りくる異変、夏祭り、一家蒸発、そしてネタバレになってしまうので言えない、ある設定がもうたまらないんですよね。 そして主人公の、口癖「フカンしろ」は、読後しばらくしてもすごく残ります。 冷静になって俯瞰すれば自ずと解決の糸口が見えてくる。かもしれない。 そんな状況になったら僕も小さい声でブツブツ言ってみようと思います。 サマータイムレンダを読んで書いているいま現在春なわけですが、夏に読むのが楽しみです。サマータイムレンダ田中靖規5わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/04/05いつだって頑張れるし新しいことができると励まされた息子夫婦、孫夫婦と同居し、終の棲家と決めていた家も険悪な雰囲気に居心地が悪くなり飛び出した傘寿(80歳)作家のまり子。 体力的にも衰え、連載のページ数も年々目減りしていくなか、家出したことで今まで見えていなかった新しいものに触れ、80にして触発されギュンギュンに創作意欲が湧いて新しいものが書けるようになる。 そして、同時に80という年齢の肉体的な衰え、亡くなっていく同年代、認知症なども描かれ、全体的に凄く新鮮。 最近言われる元気なおじいちゃんおばあちゃんが描かれ、恋愛だってするし、ゲームだってする姿になんだかワクワクする。 こんなおじいちゃんにだったらなりたいかもと思わせてくれる。 肉体や老化による制限はあれど、積み上げた人脈や経験値、スキルは生きているわけで、制限を乗りこなす気持ちさえあればこんなにも自由なのだと思うと頑張るのに年齢なんて関係ないんだなと、まだまだ若造の自分を励ましてくれるようでありがたかった。 まだまだ。 まだ頑張れる。傘寿まり子おざわゆき
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/29ネタバレキャラを掘り下げた1巻ある日不審な客の忘れ物である銃を手に入れてしまった同じバイトのJKが6人6様に描かれ掘り下げられていく1巻。 キャラクターを立たせて描いたという高野先生のあとがきの通り、それぞれのキャラが生きている。 そして、客観的に見える部分である表面上の関係性と、個人個人の視点での裏の関係性の違いがまた面白くて、あの場面での目線てセリフってこういうことだったのかと気づきがあって読み返したくなる。 というか読み返した。 感情的に撃つことがないシステムなのが良くて、誰かがストッパーになり、対話を経て冷静になったそのときにまだ撃ちたいのかどうか。 個人的には、撃たないでくれーとも思うけど、殺すかどうかとは別で撃った上でどうするのか、どう感じどう反応するのかも見てみたい。 言っても女子高生だ。 まだまだ若い。 間違いはある。 あるが、どうか死なないでほしい。 キャラを掘り下げ関係性を見せた1巻。 2巻の展開はどうなるのか。 楽しみです。世界は寒い高野雀3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/29こういう漫画ほんと好きじっとりと迫りくる病気パンデミックサスペンスといった感じ。 怖いのが、読み終わったあとも世界観を引きずっていて起こり得る恐怖が付きまとって離れないことだ。 生活レベルで言えば、手洗いうがいを本当に欠かさずするようになった。 ありがたい影響力だ。 架空の地域を描いてはいるが、何気ない仕草や生活をしっかりと描いているのでリアリティがすごくて、人々の反応も嘘みたいなホラーもののようなものではないのが素晴らしい。 3巻で完結なので欲を言えば、あと2冊分くらい読んでいたかったけど、きれいに終わっていて、3巻では涙腺にぐっときた。リウーを待ちながら朱戸アオ3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/26ネタバレ執着無さが故に恐怖を感じない男の話スケラッコ先生の新作。 実在したとされるたくさんの怪異に遭う侍の話が現代版にされてすごくゆるくかわいくなっている。 広島でお好み焼き屋を営む16歳の平太郎の元に、ある日から妖怪たちが現れ始める。 何をするというわけでもなく、驚かせようとしたり、お店の邪魔をしたり。 その怪異、妖怪を流しながら近所の人や彼女、家族との生活を1日ごとに淡々と描いていく。 この淡々と、というのがみそで、恐怖心というものをあまり感じない平太郎は逆に執着みたいなものが無いように描かれるので、人間同士の関係性においてもどこか距離を感じてしまうのだ。 恐怖を感じる源ってやっぱり執着だよね、と思う。 何かを失うのが怖かったり、嫌われるのが嫌だったり、固定観念を壊されるのが怖い人もいると思う。 僕はお腹がすくのが怖いからご飯をできるだけお腹空いてなくても3食ちゃんと食べようとする。 それらは今まで自分が得てきたものへの執着からなんだろうなと思うんだけども、平太郎にはそれがない、ように見える。 日を重ねていくことで平太郎の中に何か芽生えるものがあるのかないのか。 執着を自覚できるのかどうか。あのかわいい彼女のことは。 後編が楽しみです。平太郎に怖いものはないスケラッコ14わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/26年月を経て変わらぬ関係性の心地良さ小学校の頃に出会った、転校が多い赤岩と藤ノ木の二人が会えなくなってからの奇妙な友情を描く。 それは電話越しだけでの関係だった。 会話のテンポや会話している状況、電話が一方的にかかってくるタイミングなど、少しだけの煩わしさといつかかってくるか分からない生活の楽しみになっている感じがとてもいい。 定期的に顔を合わせなくたって友達は友達なのだ。 僕自身が転勤族だったこともあり、この話は救いになるなーと思う。 というのも、基本的にはみんな転校していったやつのことなど忘れていってしまうものだから。 「手紙書くね」とか「電話するね」とかいった言葉は信用しなくなったし、今の時代のようにスマホがあれば違うのかなとも思うが、人間の本質なんてそう変わらないような気もする。 僕が忘れられていく恐怖に向き合えなかったせいで、自分からは連絡を取れなかった。 その点、この赤岩は乗り越えてちゃんとつながりをひとつだけ持っている。 これはとても素敵なことだ。 祝福したい。 親友は人生に一人いるだけで自分を取りまく世界は救われる。たったひとつのことしか知らない本田7わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/21ネタバレもっと読んでいたかったあー、こういうのいいな、この探偵ものはいつ実写ドラマ化してくれるんだろう。 という感想がすっと出てくるくらいに登場人物のキャラがそれぞれ立っていて好きです。 主人公がすごく普通の人で、カリスマの仕事ぶりに感動して探偵を志すなど人間らしくて親しみやすく感情移入して読みやすいです。 テーマ的には探偵の主要な仕事である「人捜し」という地味そうに見えることをドラマチックにたまにコミカルに、複数の人の事情や思惑などが絡まり合って人は消え、また捜されているのだなと。 1話目の、桜舞う中、20年間別居していた妻の依頼で見つかる作業員のおじさんが「わたしのことを許してくれるんでしょうか……?」と涙があふれて同行するシーン。 グッと引き込まれました。 3話まで試し読みできます➔http://afternoon.moae.jp/lineup/687 基本的に1話完結で読みやすく、たった2巻で打ち切りになってしまったのが悲しいです。 メディア芸術祭の審査員推薦作品に挙がっていたので、なんだかほっとしました。あしあと探偵園田ゆり6わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/18改めて読んでも面白かった恋愛論理漫画改めて読み直してみたんですがやっぱり面白いなー、と思うのは「センセ」こと西条の理屈っぽさもだいぶ魅力ですが、四角関係の各人のキャラと思考がしっかり立っているのがいいんですよねー。 恋をしている人がキラキラ光って見えるというのはあくまで通常であれば比喩の一種ですが、理屈っぽい非モテ系男子大学生の西条は実際にその光が現象として見えてしまうという。 「恋を知りたい」という東雲さんに恋に落ち、小中高から大学まで一緒の北代さんに相談し、他人の彼氏を寝取って優越感に浸る宿木さんが迫りくる、この3人をヒロインに据え、交換日記で恋と光について論議しつつ恋が、青春が進行していくんですね。 最初に書いた非常に理屈っぽいといのは、全員がしっかりと論理的に各人が思い描く恋について掘り下げていき考察するんですが、ここまで恋という現象を言語化しているマンガはまあ見ません。 光についても家庭環境や育ちに起因しているのでは、というFBIの心理捜査さながらの分析をしていくのが、少年漫画などで能力を手に入れた者がトライ&エラーで能力の特性と限界を探っていく作業に近いんです。 なので、非モテがゆえの鈍感な主人公と潔くかっこいい女性たちとの単純な恋愛模様の面白さに論理的考察、能力分析のワクワク感あいまってとてもいいマンガです。 そして絵もかわいい。恋は光秋★枝3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/16読んだせいでアイスランド行きたすぎる~2巻が出たので早速読んだんですが、もうね、 はあ~かっこいい!たまんない~! が溢れて止まらないですね。 1巻もでしたが、僕が高校生の頃なんか毎朝満員電車で登校してたまに痴漢されて鼻ほじって授業聞いて下ネタで笑って適当に部活やって帰って漫画立ち読みして深夜番組見て夜更かしって感じのだっさださのルーティンだったのに比べて、自由!広い!自然!かっこいい! ちょっとした口ケンカなんかもやたらスタイリッシュ! アイスランドにこんなに行きたくさせてくれるマンガがあったんだなーと感動です。 食もまあ美味しそうなんです。 なんですか、美味しいバターって書き方! いろんな表現あるだろうに美味しいバターて! 絶対シンプルに一番美味しいやつじゃん! 土地の持つ空気を表現されてるので素晴らしいです! 個人的には他に「ニューヨークで考え中」が好きでニューヨーク行きたくなる~助けて~と思って読んでたので、この海外行きたくなる系のジャンルをもっと読んでいきたい気持ちモリモリです。 誰か教えてください! 設定は現代で!北北西に曇と往け入江亜季2わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/14実験感があっていい夫婦間の関係性というのは100組いれば100通りあるかとは思うが、こちらは中でも少し特殊なケース。 奥さんの方が夫婦間での営みを軽んじてレスになってしまってから早1年以上。 家庭内では生活を、恋愛は外でというルールを作り、旦那の不倫を公認していたが・・。 といった感じで進む話には理論的には理解できるけど生理的にはちょっとなという思いで読んでしまい、気持ち的に納得できない部分が露出してくる。 が、それは言いだしっぺの奥さんも同じように感じ始めているので奥さん視点に寄り添う形で共感できるようになっていて読みやすい。 よく聞くレス問題に思いきって切りこんだ作品として楽しく読めるが、果たして「いい夫婦」の形、それこそ十人十色だろうけど理想型ってなんだろうと考えさせられる。 友達みたいであり誰よりも近くて思いやれるもはや肉親のような存在は、日本では性交渉の相手足り得ないのか否か。 じゃあ結婚て何なのさ問題勃発。 まだ1巻しか読んでないけど2巻も楽しみです。1122渡辺ペコ
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/14少女マンガを普段読まない人にもダンディなおじさまに助けてもらったかと思ったら、なんだ、ただのダンディズム溢れる16歳の高校生か・・。え!?高校生!? という出落ちで終わるかと思ったらそうはいかないのがこの作品。 基本的に少女マンガらしい恋愛漫画ではあるのですが、なによりコメディ部分が面白いです! 俺物語とも若干違う路線の絵の強さがあって、オジサマフェチの人にはたまらないんじゃないでしょうか。 オジサマフェチじゃなくても、もちろん悶えます。笑う方の意味で。 普段少女マンガ読まない人にもオススメできる面白さなので騙されたと思ってぜひ手に取ってみてほしいマンガです。てんちょう、ダメ、絶対柴なつみ
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/05離島とSFいい離島ゆるSFマンガに出会いました。 主人公の男性はタイ語の翻訳者なんですが、契約を更新できず仕事もあまりないので叔父の入院中に空いてしまっている家を任されるついでにリフレッシュしに離島へ移住します。 そこで出会った少女は東京に憧れ、雑誌の真似をしたおしゃれをたしなむ子で、彼に興味津々。 この二人がちょうど対照的で関係性が面白いです。 お互いが大したことないと思っている身近だったものが相手にとっては価値のあるものということは日常生活を送っていてもよくありますよね。 まさにその感じです。 見る景色は全て美しく読むと穏やかな気分になれるその島の風景に混ざるのは、条件を満たすと動く不思議なパーツ。 「マグネット」と呼ばれるそのパーツがこの島にとって、彼らにとってどのような役割を担うのか、今後の展開が楽しみです。 マグネットを一つ一つ分析していく過程も知的好奇心をもぞもぞさせていい感じです。 単純に沈みゆく島だったり神話的な何かがワクワクしていいのでオススメです。マグネット島通信伊藤正臣5わかる