吉川きっちょむ(芸人)2018/03/26ネタバレ執着無さが故に恐怖を感じない男の話スケラッコ先生の新作。 実在したとされるたくさんの怪異に遭う侍の話が現代版にされてすごくゆるくかわいくなっている。 広島でお好み焼き屋を営む16歳の平太郎の元に、ある日から妖怪たちが現れ始める。 何をするというわけでもなく、驚かせようとしたり、お店の邪魔をしたり。 その怪異、妖怪を流しながら近所の人や彼女、家族との生活を1日ごとに淡々と描いていく。 この淡々と、というのがみそで、恐怖心というものをあまり感じない平太郎は逆に執着みたいなものが無いように描かれるので、人間同士の関係性においてもどこか距離を感じてしまうのだ。 恐怖を感じる源ってやっぱり執着だよね、と思う。 何かを失うのが怖かったり、嫌われるのが嫌だったり、固定観念を壊されるのが怖い人もいると思う。 僕はお腹がすくのが怖いからご飯をできるだけお腹空いてなくても3食ちゃんと食べようとする。 それらは今まで自分が得てきたものへの執着からなんだろうなと思うんだけども、平太郎にはそれがない、ように見える。 日を重ねていくことで平太郎の中に何か芽生えるものがあるのかないのか。 執着を自覚できるのかどうか。あのかわいい彼女のことは。 後編が楽しみです。平太郎に怖いものはないスケラッコ14わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/26年月を経て変わらぬ関係性の心地良さ小学校の頃に出会った、転校が多い赤岩と藤ノ木の二人が会えなくなってからの奇妙な友情を描く。 それは電話越しだけでの関係だった。 会話のテンポや会話している状況、電話が一方的にかかってくるタイミングなど、少しだけの煩わしさといつかかってくるか分からない生活の楽しみになっている感じがとてもいい。 定期的に顔を合わせなくたって友達は友達なのだ。 僕自身が転勤族だったこともあり、この話は救いになるなーと思う。 というのも、基本的にはみんな転校していったやつのことなど忘れていってしまうものだから。 「手紙書くね」とか「電話するね」とかいった言葉は信用しなくなったし、今の時代のようにスマホがあれば違うのかなとも思うが、人間の本質なんてそう変わらないような気もする。 僕が忘れられていく恐怖に向き合えなかったせいで、自分からは連絡を取れなかった。 その点、この赤岩は乗り越えてちゃんとつながりをひとつだけ持っている。 これはとても素敵なことだ。 祝福したい。 親友は人生に一人いるだけで自分を取りまく世界は救われる。たったひとつのことしか知らない本田7わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/21ネタバレもっと読んでいたかったあー、こういうのいいな、この探偵ものはいつ実写ドラマ化してくれるんだろう。 という感想がすっと出てくるくらいに登場人物のキャラがそれぞれ立っていて好きです。 主人公がすごく普通の人で、カリスマの仕事ぶりに感動して探偵を志すなど人間らしくて親しみやすく感情移入して読みやすいです。 テーマ的には探偵の主要な仕事である「人捜し」という地味そうに見えることをドラマチックにたまにコミカルに、複数の人の事情や思惑などが絡まり合って人は消え、また捜されているのだなと。 1話目の、桜舞う中、20年間別居していた妻の依頼で見つかる作業員のおじさんが「わたしのことを許してくれるんでしょうか……?」と涙があふれて同行するシーン。 グッと引き込まれました。 3話まで試し読みできます➔http://afternoon.moae.jp/lineup/687 基本的に1話完結で読みやすく、たった2巻で打ち切りになってしまったのが悲しいです。 メディア芸術祭の審査員推薦作品に挙がっていたので、なんだかほっとしました。あしあと探偵園田ゆり6わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/18改めて読んでも面白かった恋愛論理漫画改めて読み直してみたんですがやっぱり面白いなー、と思うのは「センセ」こと西条の理屈っぽさもだいぶ魅力ですが、四角関係の各人のキャラと思考がしっかり立っているのがいいんですよねー。 恋をしている人がキラキラ光って見えるというのはあくまで通常であれば比喩の一種ですが、理屈っぽい非モテ系男子大学生の西条は実際にその光が現象として見えてしまうという。 「恋を知りたい」という東雲さんに恋に落ち、小中高から大学まで一緒の北代さんに相談し、他人の彼氏を寝取って優越感に浸る宿木さんが迫りくる、この3人をヒロインに据え、交換日記で恋と光について論議しつつ恋が、青春が進行していくんですね。 最初に書いた非常に理屈っぽいといのは、全員がしっかりと論理的に各人が思い描く恋について掘り下げていき考察するんですが、ここまで恋という現象を言語化しているマンガはまあ見ません。 光についても家庭環境や育ちに起因しているのでは、というFBIの心理捜査さながらの分析をしていくのが、少年漫画などで能力を手に入れた者がトライ&エラーで能力の特性と限界を探っていく作業に近いんです。 なので、非モテがゆえの鈍感な主人公と潔くかっこいい女性たちとの単純な恋愛模様の面白さに論理的考察、能力分析のワクワク感あいまってとてもいいマンガです。 そして絵もかわいい。恋は光秋★枝3わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/16読んだせいでアイスランド行きたすぎる~2巻が出たので早速読んだんですが、もうね、 はあ~かっこいい!たまんない~! が溢れて止まらないですね。 1巻もでしたが、僕が高校生の頃なんか毎朝満員電車で登校してたまに痴漢されて鼻ほじって授業聞いて下ネタで笑って適当に部活やって帰って漫画立ち読みして深夜番組見て夜更かしって感じのだっさださのルーティンだったのに比べて、自由!広い!自然!かっこいい! ちょっとした口ケンカなんかもやたらスタイリッシュ! アイスランドにこんなに行きたくさせてくれるマンガがあったんだなーと感動です。 食もまあ美味しそうなんです。 なんですか、美味しいバターって書き方! いろんな表現あるだろうに美味しいバターて! 絶対シンプルに一番美味しいやつじゃん! 土地の持つ空気を表現されてるので素晴らしいです! 個人的には他に「ニューヨークで考え中」が好きでニューヨーク行きたくなる~助けて~と思って読んでたので、この海外行きたくなる系のジャンルをもっと読んでいきたい気持ちモリモリです。 誰か教えてください! 設定は現代で!北北西に曇と往け入江亜季2わかる
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/14実験感があっていい夫婦間の関係性というのは100組いれば100通りあるかとは思うが、こちらは中でも少し特殊なケース。 奥さんの方が夫婦間での営みを軽んじてレスになってしまってから早1年以上。 家庭内では生活を、恋愛は外でというルールを作り、旦那の不倫を公認していたが・・。 といった感じで進む話には理論的には理解できるけど生理的にはちょっとなという思いで読んでしまい、気持ち的に納得できない部分が露出してくる。 が、それは言いだしっぺの奥さんも同じように感じ始めているので奥さん視点に寄り添う形で共感できるようになっていて読みやすい。 よく聞くレス問題に思いきって切りこんだ作品として楽しく読めるが、果たして「いい夫婦」の形、それこそ十人十色だろうけど理想型ってなんだろうと考えさせられる。 友達みたいであり誰よりも近くて思いやれるもはや肉親のような存在は、日本では性交渉の相手足り得ないのか否か。 じゃあ結婚て何なのさ問題勃発。 まだ1巻しか読んでないけど2巻も楽しみです。1122渡辺ペコ
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/14少女マンガを普段読まない人にもダンディなおじさまに助けてもらったかと思ったら、なんだ、ただのダンディズム溢れる16歳の高校生か・・。え!?高校生!? という出落ちで終わるかと思ったらそうはいかないのがこの作品。 基本的に少女マンガらしい恋愛漫画ではあるのですが、なによりコメディ部分が面白いです! 俺物語とも若干違う路線の絵の強さがあって、オジサマフェチの人にはたまらないんじゃないでしょうか。 オジサマフェチじゃなくても、もちろん悶えます。笑う方の意味で。 普段少女マンガ読まない人にもオススメできる面白さなので騙されたと思ってぜひ手に取ってみてほしいマンガです。てんちょう、ダメ、絶対柴なつみ
吉川きっちょむ(芸人)2018/03/05離島とSFいい離島ゆるSFマンガに出会いました。 主人公の男性はタイ語の翻訳者なんですが、契約を更新できず仕事もあまりないので叔父の入院中に空いてしまっている家を任されるついでにリフレッシュしに離島へ移住します。 そこで出会った少女は東京に憧れ、雑誌の真似をしたおしゃれをたしなむ子で、彼に興味津々。 この二人がちょうど対照的で関係性が面白いです。 お互いが大したことないと思っている身近だったものが相手にとっては価値のあるものということは日常生活を送っていてもよくありますよね。 まさにその感じです。 見る景色は全て美しく読むと穏やかな気分になれるその島の風景に混ざるのは、条件を満たすと動く不思議なパーツ。 「マグネット」と呼ばれるそのパーツがこの島にとって、彼らにとってどのような役割を担うのか、今後の展開が楽しみです。 マグネットを一つ一つ分析していく過程も知的好奇心をもぞもぞさせていい感じです。 単純に沈みゆく島だったり神話的な何かがワクワクしていいのでオススメです。マグネット島通信伊藤正臣5わかる