生贄家族 杉野アキユキ
『生贄家族』最新話感想
ここまでひそやかで奥ゆかしくて優しく見守っていたくなる恋は久しぶりだ。
大学生になって同じスーパーでバイトを続けて1年。
モブ子は控えめで大人しく同僚の誰からも連絡先を聞けてなかったりする。
そんな中、自然と目で追ってしまうのは同い年で困ったときにそれとなく助けてくれる入江くん。
まだ恋と自覚できないような淡い想いを抱いて、バイトに精を出す。
たまらない。
コミュ障と片付けてしまいたくないような、他人を思いやれるがゆえに控えめになってしまう様も見ていてもどかしくて仕方ない。
が、それがいいのだ。
入江くんもまた、そんなモブ子を暖かい目で見つめ、気遣っている。
なんとも前時代的とも言えるこの言葉にしない距離感。
お互いに踏み込まない。
踏み込まないが、その平行線はとても暖かいのだ。
それとなくいる。
それとなく見ている。
意識し合ってるのにお互いそれには感知できず。
ああ、もどかしい!
でも、僕は見守ることしかできないのです。
完全なる蚊帳の外。
僕自身、イケイケな恋はしてこなかったので、モブ子と入江くんに感情移入しつつも、どうにか背中プッシュしてくれと新人ちゃんにも感情移入できるいう楽しい読み方ができている。
今後どうなっていくのか楽しみ。