ニーナ1年以上前表紙に描かれた廃墟の美しさに思わずジャケ買い。滅亡した世界を旅する少女(と小さな相棒)の物語だ。生存者を探し続ける1人と1匹だが、行く先々で出会うのは死体と機械ばかり。圧倒的な孤独と悲しいほどの静寂。…にもかかわらず、読みながら不思議と温かな気持ちになれるのは、きっとそこに人々の愛が残っているからだろう。買って良かった一冊。 ちなみに…表紙だけじゃなくて本編の廃墟の書き込みも細かくて、作者の建物愛をビンビンに感じたわ(笑)ウスズミの果て「ウスズミの果て」感想4わかる
名無し1年以上前パリイ=受け流す、はじく、という意味ですね。 この物語の主人公は、冒険者には必須と言われる有用なスキルを身につけることができず、それでも冒険者になる夢は諦められず、日々パリイの鍛錬だけをやり続けて尋常じゃなく強くなっていた、という話です。 主人公自身は多くを語らず「スキルを覚えられてない自分なんかまだまだ…」という考えなので、自分が対処したことで何かが起きたとしても運がよかったとか、相手が慈悲深かったとか手を抜いてくれてたんだ、とかそっち方向にしか考えが至らず、一方で周囲の人たちは少しずつこいつの化け物具合に気づいていきます。 ずっと多くを語らず、察せないタイプなのに察してると勘違いし続けてるせいで、すれ違い続けるコントみたいな状況になっていて、それでも事態が急速に悪化していくので現場で対処して活躍し続けて本来の実力を発揮しまくるというシーンがとにかく爽快です。 いま2巻まで出ててその続きの13話までサイトで見ましたが、もうそこまでやっちゃっていいの?というスピード感で捲ってきてて最高にテンション上がりました! これからも楽しみ過ぎます!俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者の夢をみる~右肩上がりに面白くなっていく!!3わかる
たか1年以上前田舎のどん詰まり閉塞感とその窮屈な世界で繰り広げられる地獄の人間関係が大好きなんですけど(『住みにごり』とか)。 自分もかつて暮らしていたクソッタレで不愉快な世界をフィクションとして楽しむのは、安全が保証された状態で恐怖を楽しむジェットコースターに乗るような、スプラッタ映画を鑑賞するようなスリルがあって好きです。 自分の手が届く範囲で、自分の人生と引き換えにしてでも悪をさばいて真子守った愛情深さ・意思の強さが本当に強く美しくて、だんだんと真実が明らかになっていくにつれて愛しさがこみ上げてきました。 “引力”で引かれ合う相手の生首抱きしめるシチュエーション大好きマンになので(ジョジョのせい)、美月が真子の首を切り離して抱きしめるところでエグいくらい興奮してしまいました。 1部のエンディングと同じ宗教画のごとき尊さ 「自殺じゃ悪は裁けない」。 兄の自殺から学んだ美月が、大好きな親友の死体をバラして、自分の人生を犠牲にしてまで成し遂げた報復。 ただの田舎の女子高生にどうしてそんな大それたことが出来たのだろう。 なんでそんな力ががあったんだろうと考えてみたとき、それはやっぱり「愛」なのかなと思います。 性愛だとか友愛だとか分けるのは野暮で愛だよなぁ、愛。 起こらないほうがいい悲劇だし、起きたとして本当は2人を襲った悪がもっと上手く裁かれる世界であるべきなんですが……。 こういう自分の人生を犠牲にしてでも誰かを守りたいという人間の意思は、本当に美しくて尊いとしか言いようがなく、読めてよかったなと余韻を噛み締めています。adabana 徒花カントリー、ジュブナイル、シスターフッド。8わかる
六文銭1年以上前子供の頃、チャリで40キロ先の大型書店まで短編集を買いに行ったほどの天野こずえファンなんです。 その思い出補正が強すぎて、面白いと面白くないとか判断できないマンなので、その点ご容赦ください。 相変わらずの、この作家にしか出せない唯一無二な、ほのぼのファンタジー。まだ設定などは少なく、雰囲気を味わう程度の内容。 たぶん初見の人とか、今の人が読むと、テンポ悪く感じるし、独特のセリフまわしや、絵で理解しろといわんばかりの読者おいてけぼりの展開や、謎な世界観の嵐は、正直、読んでて疲れると思う。 でもやっぱりこういう絵(添付画像)を見開きでどーんと見せられるとワクワクするし、これから広がる物語に期待しかない。 そして、ワクワクしないなら、やっぱり合わないと思う 何より前作『ARIA』の世界観がつながっているのかと思うと、ファンとしては歓喜しかない。 トレンドというか、マーティングというか、打算というか、そういうのが見え隠れするよりも、 これを描きたいから描いてんだ! という熱量高く、むしろ振り回されるくらいな作品が好きなんだとつくづく思うし、天野こずえはそういう作家なんだと思った。Colori Colore Creare天野こずえ待望の新シリーズ4わかる
野愛1年以上前クソ男子どもに“かわいいけど脱法ロリ”と評された乱華ちゃんが、清楚系ビッチ生徒会長エリちゃんの弟子となりクソビッチを目指すお話。 女の子をコソコソ評価するクソ男子どもがいるから自己評価バグってかわいいかわいい乱華ちゃんがビッチ目指しちゃったりするんだよ!どうしてくれるんだ! と思ったけどこのまま百合路線突っ走ってくれたらなんの問題もないです。 エリちゃんもクソビッチ活動より乱華ちゃんとイチャイチャする方が楽しくなってくれたら最高です。 きっかけはなんであれかわいい女の子が幸せにイチャイチャしてくれれば文句はない! 黒髪ロング清楚系ビッチ生徒会長って要素多いのに無駄がなくていいです。乱華ちゃんはビッチになりたい!!完全無欠のサクセスビッチストーリー4わかる
野愛1年以上前約30年前の作品なので違和感を覚える点も多々ありますが、LGBTや家族のあり方など現代にも通ずるテーマが描かれています。 ごく普通の女子高生が、父親の再婚相手の弟と暮らすことになり恋愛や家族関係など悩みながら本当の愛に気づいていくお話。 心と体の性別が違う人や恋愛対象が同性の人もいるということはわかっていても、つい自分のものさしに合わせて話をしてしまうことがあります。 この作品の主人公も差別意識があるわけではないのですが(現代の価値観に合わせるとアウトだけど)無意識の言動で人を傷つけている場面があり、かなり身につまされます。 自分と他者の違いに気づくこと、相手を尊重すること、形にとらわれないこと…くりた陸先生らしい爽やかで暖かい視点で大切なことを教えてくれる作品です。愛ってなぁに?人間の在り方を学ぶ作品5わかる
sogor251年以上前親の再婚で家族になった途端にその親が一緒に海外出張に行ってしまい、いきなり2人暮らしすることになった姉の天宮汐と妹のカフカ。 誕生日が1日違いで姉になった汐はずっと妹がほしいと思っていましたが、妹のカフカはなんでもできる大人っぽい人で、姉の威厳を守るために汐はカフカに対抗心を燃やし始めます。 しかし、実はカフカにとって汐は単なる姉ではなく、初恋の相手でした。 この作品は、恋を成就させようといろいろと汐にアピールするカフカと、そのカフカのアピールをマウントだと勘違いする汐、 2人が一緒に暮らす中で様々なボタンの掛け違いを繰り返してゆくラブコメ作品です。 1巻まで読了姉になりたい義姉VS百合になりたい義妹姉としての威厳を保ちたい義姉と義姉に恋している義妹 #1巻応援6わかる
Pom 1年以上前三途の川は本当にあるのだろうか。 自分にその時が来たら橋渡るのかな。 前世と来世の狭間にある何でも揃うアウトレットで、亡くなった人が思う存分悔いのない様買い物をし0時になったら、来世へ。 もしこんな世界があったなら、と考える。 悔いなく何て無理な話だ。と思うけど、この物語悲しいけれど、何だか未来が見える話だったなとも思う。 漫画に出てくる登場人物皆、来世では前世より幸せに素敵な人達に囲まれて自分を大切に生きて欲しいなと願わずにはいられない。 #1巻応援 三途の川アウトレットパークここで買い物するなら自分は何を買うのか16わかる
兎来栄寿1年以上前先日公開されたコミックHOWLのインタビュー記事で、マンガ愛溢れる編集長が今一番注目している作品として挙げ、更にはできるなら自分で担当したかったとまで言っていたのがこちらの作品です。 https://manba.co.jp/manba_magazines/22111 Twitterで公開され始めて以来絶大な人気を誇る、説明不要レベルの作品でしょう。 この作品、まず何と言っても新井すみこさんの絵が良いわけです。表紙イラスト1枚見れば解る絶妙なアングルを描ける画力。更にファッションセンスや表情も光ります。敢えて表紙もフルカラーでないところもニクいですね。これが、作中では更にヴィヴィッドになります。 メインとなるJK2人が、洋楽好きを切っ掛けに仲良くなるというのもグッとくるポイントですね。同じ物を好きな者同士が共感して距離を縮める瞬間の美しさ。思わずNirvanaを流しながら単行本を読み返しました(そう言えば最近はSonata Arcticaとかどうしてるんだろう、と思わず昔好きだった海外バンドの動向を調べてはまだ元気に活動をしているのに嬉しくなるなど)。 そして、この物語に厚みを与えているのが彼女たちを取り巻く人物も含めたバックボーンです。そもそも何故彼女たちはそんなに洋楽を好きなのか。それをどのように愛していたのか。その掘り下げ方からもたらされるえも言われぬ想いの丈が、良さみを凝縮した弾丸となって胸を撃ち抜かれます。いい……。 細かい好きポイントも無数に生まれざるを得ない、細部にまで手を入れられた素敵な作品です。 今年を代表し、さまざまな賞などでも顔を見そうな注目作。未チェックの方はぜひこの機会に読んでみてください。気になってる人が男じゃなかったNirvanaを聴きながら #1巻応援108わかる
兎来栄寿1年以上前″教室にいるほとんどの人にはわからなかったとしても、隅っこで窓の外を見て 実は泣いてる、そんな子を見つけ出して、大丈夫だよ。と言ってあげられるような、 そんな作品が描きたいといつも思っています。 それは商業的に見たらとても頭の悪いことなのかもしれないし、 数字の面で言えば需要はあまりないのかもしれないけど、それでも僕はそういうものが好きだし、 そういうものに救われたし、 この先もそういう作品を死ぬまで描き続けると思います″ (作者解説より) そんな切なる想いで象られた作品を、どうして好きにならずにいられるでしょうか。 私は、物語の力を信じています。 私自身、物語があったからこそ今この瞬間まで生きていられているからです。 私を生かしてくれる素晴らしい作り手の方々には常々感謝し、尊敬しています。 本作は、寺田浩晃さんが2022年の5月にインディーズ版として刊行したものに加筆修正を加えた全国流通版。4篇の短編が収録されています。世界の片隅で喘いでいる人たちに届けたい物語群です。 表題作の「黒猫は泣かない。」は、優秀なOLになったが故に人間として大切なものを気付けば失ってしまっていた女性の話。自分の内なる声に耳を塞いで、気付かないフリをして心を麻痺させながら生きている人は今の時代多くいることでしょう。日々の行動や選択の積み重ねの中で、少しずつ自分が削られていき本当に大切なものを奪われてしまう……そんなことが起きないよう、まだ進路修正が効く内に進む方向を正したいものです。 「くろいりんごときいろいそら」は、この本の中でも特に大好きなお話です。多くの人と、自分が違うということの苦しさ。常識という名の幻想から外れたところにいるが故に、異端として排除され迫害されるのは人類の歴史上ずっと続く負の側面です。過去に比べれば現代は少しずつ良い方へ向かってはいますが、それでもまだ現実的にかず多く存在するこの哀しみや辛み。それでも、そんな痛みを背負って生きていた人を慰撫し、背中を押してくれるこの物語の優しさに世界における救い、物語の意味と可能性を感じます。最後の見開きは、とてもとても美しいものでした。 『世にも奇妙な物語』で実写化もされた「三途の川アウトレットパーク」の読切版は、設定の面白さがまずあります。三途の川の岸辺にアウトレットが建っているというアンバランスなヴィジュアルの珍妙さ。そして、前世の行動によって来世用の買い物ができるというシステム。その設定を十全に生かした展開の妙が光ります。私たちは、まだアウトレットに行く前なのでこれから徳を積んでいくことを選んでいけるでしょう。 最後の「ELECTOPIA」は、欠けた少女と少年の美しいお話です。現実には居場所がなく、それが虚構と解っていてもVRゲームの中でだけ生き生きと生きることができる主人公に共感する人も多いはずです。何を考えているか理解不能な少年の、素敵な幸せの見つけ方が好きです。生きている内に世界の美しさに気付けるのは、本当に幸せなことですね。 この短編集は、おでんで言うとちくわぶです。 なお、単行本購入者には豪華声優陣(春名風花さん、内山昂輝さん、ファイルーズあいさん、悠木碧さん、岡本信彦さんなど)によるボイスコミック動画の視聴権も付いてきます。第一線で活躍する声優さんたちが命を吹き込むと、一度読んだマンガもまた全然別の作品のように感じられます。黒猫は泣かない。新装版欠けているから、誰かの救いになり得る #1巻応援7わかる