六文銭
六文銭
1年以上前
87年連載開始で、映画化にもなった本作。 灰色の予備校時代に、帰り道のブッ○オフでずっと立ち読みしていた作品。(その後全巻買ったので、買えよ!というご意見はご容赦頂きたい) なんで、これを読んだかというと 「自分より下の人間をみて安心したかったから」 というクソみたいな動機。 最悪な動機なんですが、今思うと鬱屈した予備校時代に自分の心の支えになっていたのも事実で、その点で思い出深い作品だったりします。 さて、その内容ですが、滑り止めの大学すら落ちた主人公が、予備校で出会った美少女に惹かれ、その美少女が東大を目指すことから、自身も東大を目指すという話。 学力が全く足りないのに、この無謀な挑戦と、この無目的に流されるままの主人公に、当時の自分は勇気づけられてました。 あ、こんなんでいいんだ、と。 ここの登場人物たち予備校といっても、ほとんど勉強していないし、出席もせずスグに茶をしばきにいきます。 色恋沙汰も随所に出てくる。 およそ予備校生とはいえない、この体たらくに自分の張り詰めた気持ちが軽くなったものです。 (もっとも、この主人公のふらふらしている様に読む人によっては苛立つかもしれませんが・・・。) 添付画像のように、すべて他責にしてどうしようもない主人公なのですが、一方で、なぜか女性に好かれる。 母性がくすぐられるからなのかよくわかりませんが、だから一層、この作品の女性陣は魅力的で、こんな主人公でも、応援したり、支えたり、ありのままを受け入れつつ、現状から引っ張り上げてくれる感じが読んでて心地いいんですよね。 いつだって男が変わるのは女性の力なんだと痛感します。 (前時代的な発想なのかもしれませんが) ウジウジしている男に、元気な女性(幼なじみとか)の構図が好きなので個人的にツボです。 最後も、、決してハッピーとはいえないのですが、この主人公らしいラストなのもリアルでいいです。 つらつらと描きましたが、今読んでも古さは感じない・・・とまで言いませんが(時代背景が80~90年代だし、携帯とかないし)、絵柄やテンポの良い展開は今でも遜色なく読めると思います。
87年連載開始で、映画化にもなった本作。

灰色の予備校時代に、帰り道のブッ○オフでずっと...
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
『咲-Saki-』を読み始めたころ、世間でもっと麻雀が流行ったら良いなとは思っていましたが、Mリーグも大きな盛り上がりを見せ女流プロ雀士が大活躍し、ここまで流行るようになろうとは想像していませんでした。嬉しい誤算です。 そんなご時世もあってか、また新たな美少女麻雀ストーリーが登場しました。 麻雀打ちはどこか狂っている人が多く、そんな狂った雀士が編み出した常にお嬢様言葉で話さないとペナルティを受ける「お嬢様麻雀」という狂気的な遊びがありますが、本作では正真正銘本物のお嬢様による麻雀が行われます。 本格的な麻雀マンガとは趣を異にしており、麻雀を題材としながらも登場人物は皆麻雀初心者。ゆるくふわっとした雰囲気で、麻雀のルールを知らない方でも十分に楽しむことができます。 グレードの高いお嬢様が集う高校・鳳女学院に、疎外感を覚えながらも通う庶民の主人公の冴が、学院内でのトップオブトップお嬢様である千星(ちせ)と麻雀を介してお近づきになるところから物語はスタート。徐々に仲を深めていきながら、千星を慕う乃々花を始め、魅力的なキャラクターたちもゆっくりと増えていきます。 きらら系らしい、キャッキャウフフの男性が登場しない楽園的百合百合しさと麻雀の掛け合わせが好きな方には間違いないであろう作品です。 主人公である冴が、学院に入ってからのみならず昔から疎外感を覚えていた理由が語られ出したとき、この作品全体がギュッと締まって魅力がより輝き出した印象です。麻雀が対人ゲームであるというところの良さが、お話に上手く作用しています。 余談ですが、あとがきマンガによると筆者が麻雀マンガの企画を持ち込んでから担当編集がすぐに麻雀のルールを符計算まで覚えてくれてミスを指摘してくれたと言うエピソードが素晴らしいなと思いました。どこかの十数年連載している大人気麻雀マンガシリーズの担当編集にも頑張ってほしいなと思ってしまう今日このごろです。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
レジェンド級のベテラン作家すらもデジタル作画に流れて行きつつあるこの時代に、フルアナログでこんなマンガが描かれようとは! 異質で異様で異彩を放って止まない独特の画面は、衝撃的です。古き良き技術を凝らして描かれた絵は、あまりにも現代の他作品とは違った空気を纏っています。狂気的な、執念のような点描による描き込みの凄まじさ。世界、宇宙、次元を横断してトぶ『ウルトラ・ヘヴン』を髣髴とさせるようなトリップ感を呼び起こされます。 そして、そのサイケデリックですらある画に呼応するかのような、夢想感たっぷりのストーリー。どこか破綻しているようで、筋や諸々の設定はしっかりとある夢を視ているときのような感覚に陥ります。 私は嬉しくて堪りませんでした。まだこんなマンガに出逢えるんだ、マンガの世界はやはり無限だなあ、と。 素晴らしいのは、筆者の佐藤達木さんが50歳の新人というところです。67歳の新人として話題になったハン角斉といい、マンガはいつからでも描けるし描いて良いのだと勇気を与えてくれます。 極限まで研ぎ澄まされた、この作品でしか味わうことのできない世界を垣間見てみてはいかがでしょう。
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
面白かった! 掲載される漫画が、第1話というコンセプトの新増刊「ヤングジャンプダイイチワ」に掲載されてるわけですが、他の新人作家さんたちとは明らかに別枠で圧倒的でした! 原作は、みんなご存知『ワンパンマン』『モブサイコ100』のONE先生! 作画は、ヤングジャンプ本誌でも連載中『カタギモドシ』で圧倒的作画力の設楽清人先生! このタッグはアツい!! 転校生・羊谷真は、クラスで関わるなと言われている気弱な少年・黒道武弘と隣の席になり、昔イジメられていたことと人生を上手く生きる裏技を教える。すると、黒道からはあるもの見せられる。それは、人知れずこの世に存在していたバグのようなもの、正真正銘の「裏技」で…。 高校生男子二人の青春SF(すこしふしぎ)かと思ったら、不穏さもありどうなってしまうんだ、とこの先が気になりまくる1話でした! 青春の楽しさ、からの落差、からの突き上げが最高でした! ONE先生、『ワンパンマン』の原作やりながら、 『バーサス』のシナリオ原作もやって、 https://natalie.mu/comic/pp/versus 『バグエゴ』も文章での原作ということで、めちゃくちゃ忙しいんだろうな…。 https://twitter.com/ONE_rakugaki/status/1651247115530809344 第2話が、いつどこで読めるのか今から楽しみです!
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
初々しい爽やかなラブコメ 100点 犬たちのかわいさ 10000点 優勝です。 元気でパワフルな小型犬・門十郎(ポメラニアン♀)と、おっとりした大型犬・つぶ(ロットワイラー♂)の対照的な2匹。 そして、それぞれの飼い主である男女ふたりもまた対照的な性格で、愛犬を通した交流が始まってから次第に仲良くなっていきます。 うちの子は門ちゃんほど活発ではないものの、同じ女の子の白ポメ飼いとしては、頷けるシーンや共感するシーン多々でチェック不可避の作品でした。 10話の、家に帰ると笑顔で駆け寄ってくる白ポメの姿は、うちの子とそっくりで思わず破顔してしまいました。全体的に、犬の所作がリアルかつ愛情たっぷりに描かれているのが伝わってきます。 家に愛犬がいるから、仕事で理不尽な仕打ちを受けても明日を頑張れるのだというところなども非常に解像度高く描かれています。 「うちの子しか勝たん」、毎日観たい……。 丁度、Twitterでは飼い犬や飼い猫の「#初めて撮った写真」というタグが流行っているようで、思わずうちの子の最初の写真を眺めて長生きしてほしい……と願うことしきりでした。 人間のラブがコメる姿も、非常にかわいく初々しくて、応援したくなるふたりです。つぶちゃんと門ちゃんなら多頭飼いになってもきっと大丈夫だと思うので、末永く幸せになって欲しいです。
ピサ朗
ピサ朗
1年以上前
平和に暮らしていた村に、魔王を倒した勇者一行が現れ、勇者物語に憧れていた少女のルカは大喜びしていたが、勇者たちは村に魔族が居る事を理由に村人を皆殺し、しかも魔族として殺されたのは親友リトルの姉だった。 生き残ったルカとリトルは、殺された村の復讐を誓い、村を旅立つ。 魔王自体は物語開始時点で殺されており、村が壊滅してもルカとリトルの友情は壊れず美しいのだが、転生者達がまあー実にやべえ連中で、いきなり村人を皆殺しにしたのは序の口で、最初に戦う転生者のナイトーの転生前とかも悪い意味で生々しい上に濃く、敵役として不足は無いのだが不快感の方が上回る人も正直居そうには思った。 そして2巻で打ち切りな辺り、恐らく初っ端に出すには濃すぎたナイトーは人気に繋がらなかったのだろう…。 絵柄こそ可愛めだが、グロテスク表現は多めで、ある意味一番グロテスクなのは転生者たちの内面かもしれない。 ただそういう気持ち悪い敵を相手に団結する少女という図は燃える部分も有るし、苦難を共にし戦い抜く少女も美しい。 2巻で戦うサイミンなんかは、悪漢だがどこか愛嬌と矜持が感じられて間違いなく悪役ながら、中々面白かったのだが、これが打ち切りの関係による路線変更なのか、元々こういうキャラだったのかはちょっと気になる。 第一話だけを見ると異世界転生物に対する皮肉が強そうだが、全体を通して見ると異世界転生物に対する皮肉はむしろ薄く、要するにいきなり村を襲う魔王のポジションに異世界転生者を置いて百合の冒険バトル物として落とし込んでいると言った方が良いかも。 打ち切りは残念だが、バトル自体もチート能力持ちに魔族と人間の少女が知恵と勇気で出し抜く見応えのあるもので、ぜひこの方向性での次回作が読んでみたい。
さいろく
さいろく
1年以上前
ドンケツなどを含め武闘派ヤクザマンガは大好物なんだけど、それらに全く引けも取らないこの話がノンフィクション…とてもじゃないが信じられないような話が続く。 だが、多少脚色はしているにせよ(ビルから飛び降りて車潰しながら着地するようなマーベルヒーローズのような兄貴とか)この内容が自伝なのだという。 そう考えるとこれは当時の日本の、というかバブル期の恐ろしさがわかるいい教科書かもしれない。 主な舞台は歌舞伎町なのだが、当時のキナ臭さは今のそれとは全く異なった完全に「○が如く」の世界。 三億円事件(1968年)で壁が一躍有名となった府中刑務所。 巣鴨刑務所が関東大震災の被害により(と言ってる割に調べたら10年以上そのまま運営されてたっぽいけど)移転となり、日本最大の刑務所として1935年に創設されたものだが、"刑務所に入って名を上げる"というお手本のようなヤクザストーリーは、この物語の頃の70年代後半には衰退しつつあるがまだまだ本当にあったようで「お務めご苦労さまでした」という風習は本物だったんだなぁと感心してしまったりする。 また、細かく背景を調べれば調べるだけ面白く感じられるのが実在する人物伝の良いところ。 チカーノKEIという唯一の「チカーノになった日本人」の獄中生活マンガでハマった口だけど、その13巻の巻末に載っていた広告でさっき初めて本作を知った。描いてる著者が違うとパッとつながってこないのはもどかしい。なんで今まで知れなかったんだ…(チカーノは別冊ヤングチャンピオンでバブルはヤングチャンピオンなのも要因か) もともと彼がどういう人物だったのかはもちろん凄く興味があったのでその自伝的なものが読めるのは非常に嬉しい。 あと、結構世論ではぐちゃぐちゃ言う人がいるっぽいのですが、個人的にはノンフィクションと思い込んで読んだほうが面白いので、これがどこまで本当かは気にしてないです。 また、少しでも彼自身を検索してしまうとHOMIE KEIの話でインタビューがバンバン出てきたりして、マンガを楽しみたいだけの気持ちと少しズレてしまうのでそれも見ないようにしつつ、KEIが主人公のこの2タイトルをマンガとして楽しむのをオススメしたい。
ドンケツなどを含め武闘派ヤクザマンガは大好物なんだけど、それらに全く引けも取らないこの話がノン...