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日雇いバイトや短期派遣などで食いつなぎながら、売れない絵やマンガを描いて暮らしている佐々藤汰津気・31歳は、口座の残金も所持金も心もとなくなったある日、地元のショッピングモールで質屋なのに「手ぶらOK」という不思議な条件のチラシを見かける。怪しいとは思いつつもその質屋に向かうと、そこにはなぜか「民芸雑貨店タキミ」という看板が…。吸い寄せられるようにタキミの扉をくぐった佐々藤に提示された質草はなんと“頭”であった!何とも奇妙奇天烈な世界で繰り広げられる、行き先不明な摩訶不思議旅が始まる!海外のオルタナティブ・コミックに影響を受けた新人・佐藤達木が描くダーク・ファンタジー・コメディがついに単行本化!電子版限定特典として描き下ろしカラーイラスト2枚付き!!
レジェンド級のベテラン作家すらもデジタル作画に流れて行きつつあるこの時代に、フルアナログでこんなマンガが描かれようとは!
異質で異様で異彩を放って止まない独特の画面は、衝撃的です。古き良き技術を凝らして描かれた絵は、あまりにも現代の他作品とは違った空気を纏っています。狂気的な、執念のような点描による描き込みの凄まじさ。世界、宇宙、次元を横断してトぶ『ウルトラ・ヘヴン』を髣髴とさせるようなトリップ感を呼び起こされます。
そして、そのサイケデリックですらある画に呼応するかのような、夢想感たっぷりのストーリー。どこか破綻しているようで、筋や諸々の設定はしっかりとある夢を視ているときのような感覚に陥ります。
私は嬉しくて堪りませんでした。まだこんなマンガに出逢えるんだ、マンガの世界はやはり無限だなあ、と。
素晴らしいのは、筆者の佐藤達木さんが50歳の新人というところです。67歳の新人として話題になったハン角斉といい、マンガはいつからでも描けるし描いて良いのだと勇気を与えてくれます。
極限まで研ぎ澄まされた、この作品でしか味わうことのできない世界を垣間見てみてはいかがでしょう。