阿呆な男女が千変万化する世界で、想い人を探す旅に出る……も、そこにいたのは!?
<ログライン> パラレルワールドを何度も行き来する男女の物語。 <ここがオススメ!> 様々なパラレルワールドが描かれており、妄想が捗る広がる。 「もしも、あの時あの選択をしていたら……」 きっと誰もが一度は考えたことがあるであろう、その思い。 ふとした瞬間に自分の過去も一緒に旅してしまうような。 でも、複雑な設定に対して適宜いい感じの説明を入れつつ、コメディ仕立てに仕上げているので、おかげで読みやすくて、わかりやすい。 漫画として、めちゃくちゃ上手い。 何よりも絵柄から物語からヒロイン(黒髪の方)から世界観全てが、超絶私好みでたまりません…… <この作品が好きなら……> ・夜は短し歩けよ乙女 https://manba.co.jp/boards/75236 ・山本和音作品集「夏を知らない子供たち」 https://manba.co.jp/boards/142268 ・ホテル・ローレルの渡り鳥たち https://manba.co.jp/boards/159466
もしも人生の「あの瞬間」に、別の選択肢を選んでいたらどうなっていただろうか……
そんな風に考えたことがある人は多いことでしょう。
新歓コンパで出逢った日から片想いをしていた春呼(はるこ)さんと絶妙に仲を深めながらも想いを告げる瞬間を逃し、最終的に他の男と結婚されて血の涙を流す男・夢路浪(ゆめじろう)。そんな彼が、別の世界線に飛んでかつての後悔を取り戻そうとする物語です。
タイムリープややり直し系の物語は昨今数多くありますが、多くの作品は過去に戻りまったく同じ状況に対して違う選択肢を取って未来を変えて行くものが多いです。
ただ、本作においてはあくまでパラレルワールド、並行して存在する世界なので、そのやり直したい瞬間に戻ったとしても、そこは数多の分岐を経て辿り着いた無数の世界線の内のひとつなので、自分の記憶通りではなく相手の性格や外見もランダムに変化しているというのがミソです。
テセウスの船のような問題ですが、一体何がどこまで残っていたらそれは自分の好きな相手だと言えるのか。SF的な、哲学的な問題もはらみながら純粋な想いが主人公を駆動させ続けていきます。果たして、サルがシェイクスピアの小説を書くような世界線ガチャの当たりを引けるのか。個人的に、アカシックレコードを可視化したようなシーンが好きです。
また、そんな夢路浪のことを昔からずっと気に掛け続けてくれた、幼馴染のサトイモこと里井桃がかわいいです。前作の『恋、ヒトゴトに及ぶ』でも見られたような、絶妙な片想いに心を擽られます。
恋愛ものが好きで、そこにSF的要素が加わったものは更に好きという方にお薦めしたいです。