こんにちは。せとゲノムと申します。
皆さんは、『キン肉マン』という作品をご存知でしょうか。
『キン肉マン』とは
『キン肉マン』は、『週プレNEWS』で連載中のヒーローものバトルマンガです。
1987年に一度『週刊少年ジャンプ』で連載を終えた後、22年の時間を隔てて復活するという異色の経緯を持っています。
主人公のキン肉マンら超人と呼ばれる種族が、様々な敵とプロレスで熱い戦いを繰り広げていくというストーリーです。
ボス級の敵が急に味方に翻ったりと強引な展開がままあるものの、それを補って余りある魅力を放ち続けています。
また、キン肉マンの息子が活躍する『キン肉マンⅡ世』などのスピンオフも多数存在します。
同シリーズは、熱狂的なファンが多い作品として知られています。
ほとんどの話題は議論し尽くされていると言っていいでしょう。
しかしそんな中、まだ誰も気にしていない観点が残っていました。
『キン肉マン』の観客として何を投げ込めばいいのか
それは、「自分がキン肉マンの観客だったら、何を投げ込むのだろう」という点です。
キン肉マンシリーズでは、観客がブーイングの意味で物を投げ込むシーンが散見されます。
正義超人がふがいない戦いぶりを見せたり、悪魔超人が非道すぎる手段を取ったとき、観客は物を投げ込み、自分の意思を伝えます。
つまり物の投げ込みは、人間である私達が唯一キン肉マンの世界に働きかけることができる行動なのです。
私達は、とても超人同士のプロレスにはついていけないでしょう。
実際に黄金のマスク編で、当時人間だったジェロニモというキャラクターが参戦しているのですが、死闘の末に絶命しています。
絶命するのは嫌なので、遠巻きから眺めるという手段しか取れないのです。
投げるものは様々で、飲み物や食べ物などオーソドックスなものから意外なものまであります。
とはいえ、何でも投げていいというわけではないです。
いつ自分がキン肉マンの世界で試合を観ることになってもいいように、投げる作法を知っておかなくてはなりません。
では、作法はどうやって身につけるのか。
過去のデータに頼りましょう。
ちょうど私が集計しておきました。
データレギュレーション
・キン肉マンシリーズで投げ込まれた物を全て集計する
・『キン肉マン』(63巻まで※2018年6月時点最新巻)『キン肉マンⅡ世 second generations』『キン肉マンⅡ世 究極の超人タッグ編』を範囲とする
・個人に向けて投げ込まれた物(リングに投げ込まれた物以外)も集計する
・投げ込む構えのポーズをしているコマは、投げ込んだものとしてカウントする
・マグネットパワーによって巻き上げられたものは対象外とする
結果
以上を踏まえると、このような結果になりました。
全389個、全62種類でした。
中々多彩ですね。
おいおいおい。
こんなにいっぱいあったら、何を投げ込めばいいか選べないよ。
そう思われるかもしれませんが大丈夫です。
リストの中から、おすすめの投げ込み物に絞ってお伝えします。
初級編1:空き缶
まずは何と言っても空き缶です。
投げ込まれ回数50回、投げ込まれ個数108個で共にトップを走っています。
投げ込まれ回数がここまで多いのは、やはり安定した投げ込みに必要な要素が全て揃っているからでしょう。
・気軽に購入できる
・力の弱い人でも投げられる
・仮に当たっても致命傷にならない
・時代によって左右されない
この辺りの用件をクリアーしています。
キン肉マンⅡ世では、ケビンマスクとのタッグ結成を拒否した万太郎に対して、ヒロインの凛子が空き缶を投げるシーンがあります。
やはり人間が超人に不満を伝えるには、物を投げ込むしかないのでしょうか。
傷口に当たってしまっていますが、空き缶の軽さによってひどいことにならずに済んでいます。
初心者であれば、まず空き缶から投げ入れてみるのがいいと思います。
似たような理由で、石ころ(12回登場24個)、空きビン(24回登場23個)、本(14回登場15個)もいいでしょう。
初級編2:ウンコ
登場個数で次点につけたのは、ウンコです。
少年マンガでギャグをやる際に、頻出するアイテムです。
投げ込まれ回数6回、投げ込まれ個数49個でした。
無印のキン肉マンではウンコ表記、Ⅱ世ではウンチ表記ですが、今回は合算しています。
連載している雑誌の決まりに関係しているのでしょうか。
確かに排泄物を投げつければ、抗議している感じが出ます。
相手に屈辱感を与えられますからね。
ただ、トイレを模した超人であるベンキマン、ウォッシュ・アスに対しては歓迎の意味になるので、注意した方がいいです。
いくらウンコといえど、TPOに応じた振る舞いが必要というわけです。
いつ抗議したい場面が来るか分からないのに、そんな急に出せるかしら。
予め出しておくにしても、ウンコをずっと持っていたくない。
こういった意見を持たれるかもしれません。
でも、大丈夫です。
ウンコの形の陶器が売っているらしいので、予め購入しておきましょう。
中級編1:座布団
日本人に馴染みのある座布団を投げるという手もあります。
投げ込まれ回数12回、投げ込まれ枚数13枚が投げられました。
これは、相撲に影響を受けています。
座布団の舞といって、格下が格上を負かしたときなどに、興奮して客が座布団を投げ込むという文化です。
野次もしくは賞賛の意味合いで投げ込まれています。
関取をモチーフにした超人である、ウルフマンに投げると似合う気がします。
まあ彼は真面目なので、ふがいない試合は殆どしないんですが。
中級編2:コンクリートブロック
ごく初期には、コンクリートブロックを投げ込むシーンも見られました。
投げ込まれ回数7回、投げ込まれ個数9個です。
重たい上に入手が難しいので、中級者向けとしておきます。
コミックス4巻では、丁寧に「どうやって投げ込んでいるか」が描かれています。
ここを参考に両手で抱え込むように投げてみましょう。
腰の回転が使えれば尚良しです。
しかし、『キン肉マン』5巻10pを最後に一切出てこなくなったコンクリートブロック。
これがなんと『キン肉マンⅡ世 究極の超人タッグ編』17巻の94pで復活するんです。
前者が1980年初版で、後者が2009年初版ですので、ブランクは実に29年!
調査していて驚きました。
よく考えれば、究極の超人タッグ編は1983年にタイムスリップするという設定です。
80年代前半の荒々しさを表現するために、懐かしのコンクリートブロックをリバイバルさせたということでしょうか。
投げ込まれアイテムを追いかけていた読者にはたまらない演出です。
上級編1:時代を感じさせるもの
先ほど、空き缶のところで「時代によって左右されない」というメリットを書きました。
ただ、それはあくまで初心者向けの話です。
投げ込むのに慣れてきたら、敢えて時代を反映させたものを投げ込んで個性を出しましょう。
後から見返したときに、「ああ、この時代の人はこんなものを使っていたんだ」という資料にもなります。
私のおすすめは、通信機器を投げるという手法です。
コミックス4巻では黒電話が投げられています。
時代で言えば、1980年です。
画像から察するに、600-A形卓上電話機と呼ばれる機器のはずです。
1963年から日本電信電話公社によって提供されていた、アナログ回線の電話機です。
日本で携帯電話が普及するのは1990年代からなので、この時点ではいわゆる固定電話を使っていたことが分かります。
それどころか端末の自由化が未解禁のため、ほぼ全ての国民がこの型の電話機を使っていました。
キン肉マンの世界から34年後に当たるキン肉マンⅡ世の18巻では、折りたたみ式の携帯電話になっています。
設定上は2015年辺りということになり、かなり古い型番という印象を受けます。
ただ、初版で見れば2002年ですので、2000年代初頭のフォルムと考えれば妥当な感じがします。
折りたたみ式で色がブラックなこと、開いたときにアンテナが見えないという特徴がありますね。
となると、2002年3月に松下通信工業株式会社から出た「cdmaOne C3003P」という機種が近いかなあと予想します。
GPSを使って電子コンパスの導入に成功した、初の携帯電話です。
「cdmaOne C3003P」に入っている登録済みの着信メロディは以下の8曲です。
1 LOVE PHANTOM
2 SHOUT TO THE TOP
3 地上の星
4 希望の轍
5 FINAL DISTANCE
6 ルパン三世のテーマ’78
7 四季〜冬〜
8 聖者の行進
は、半分も分からない。
今はもう忘れられた文化ですが、どんな着信メロディが入っているかを各社アピールしていたんですね。
メールに添付できるデータ量は最大100KBという時代です。
2018年現在ではスマートフォンを投げ込むと分かりやすいでしょう。
もう一つ言えば、ファーストフードっぽいものを投げ込むことで食の欧風化を表現するという技もあります。
例えば、キン肉マンⅡ世の2巻で初めて、ファーストフードっぽい容器が投げ込まれています。
これまでは缶やビン、紙コップしか投げられていなかった中に新しい風が吹いたわけです。
同じコマにポテトやホットドッグの姿もあります。
こんな食べ物が当たり前に描かれることで、時代の変遷を感じ取ることができます。
上級編2:キン肉マングッズ
最後は、ある意味最も過激な方法を紹介します。
大事にしているキン肉マンのグッズを投げるんです。
熱心なファンであるほど、効果が高いです。
こうすることで、「自分はキン肉マンを愛しているのに何でそんな試合をするんだよお!」と抗議に説得力が出てきます。
他の軽い気持ちの野次とは一線を画すわけです。
見て下さいよ!
究極の超人タッグ編でセイウチンの残虐ファイトに怒って、キン肉マンの貯金箱を投げようとしているお嬢さんを!
宝物じゃないんですかそれ。
よっぽど怒っているんでしょう。
これが投げ込まれたら主催者や競技者としては、効きますよお。
「貯金箱を買うほど好いてくれているファンを怒らせてしまった」と精神的にグラグラするはずです。
一番大事にしなきゃいけないコア層ですからね。
投げ込むグッズがマニアックであるほど、熱心なファンであることが伝わって心が痛みます。
上記のコマは、キン肉マンⅡ世のタッグ前夜祭で試合がぶち壊しになってしまった場面です。
これ!
もしかして、変身超人プヨプヨのフィギュアじゃないですか?
変身超人プヨプヨというのは、キン肉マンの初期に出てきた正義超人です。
アフリカ出身であること、変身能力を持つこと、無趣味であることが分かっています。
物語からはすぐにフェードアウトしていきました。
このキャラクターをチョイスする時点で、マニアックなファンと言わざるを得ません。
イベントにわざわざ足を運んでいる点と併せると、相当作品への思い入れは強いはずです。
こんなものが投げられた日には、重役が集まって興行方針から見直さないといけないでしょう。
変身超人プヨプヨのフィギュアを買ってくれた人を怒らせてはいけない。
まとめ
以上です。
これだけの知識を網羅しておけば、いつキン肉マンの観客になっても大丈夫です。
自然と投げ込む物を選べるでしょう。
そうだ。
超人に対して人間は物を投げ込むことしかできないと申し上げましたが、もちろん例外はあります。
超人に打撃でダメージを与えることができる人間も、ごく少数存在するのです。
一人は、先に挙げたジェロニモです。
他には、誰かいませんか?
よーく思い出してください。
ほら、いましたよね?
野球場に来てたおばちゃんです。
参考資料(URL最終確認は2018/6/14)
『キン肉マン』1巻〜63巻 1980〜2018年 ゆでたまご 集英社
『キン肉マンⅡ世 second generations』1巻〜29巻 1998年〜2005年 ゆでたまご 集英社
『キン肉マンⅡ世 究極の超人タッグ編』1巻〜28巻 2005〜2011年 ゆでたまご 集英社
『座布団の舞』
『黒電話』
『「C3003P」の主な特長』