あらすじ第57期A級リーグ戦・第7戦、将介は村森の死や幸田の豹変などから受けたショックを癒せないまま対局に臨む。対戦相手は、曲者・坂口吾平。本調子には程遠い将介を、坂口は容赦なく攻め立てる。そして、坂口の巧みな誘いに、ついに将介は坂口の王を捕らえることはできないのだった……。そして第8回戦を目前に、将介は姿を消してしまう。
能條純一作品はまるで邦画を見ているかのような気分になる。 しかも昭和の作品…松田優作の「蘇える金狼」のような空気感。 その雰囲気と空気感は凄まじい。 その一方、現在連載中でマンガ好き達にこぞって好評である「昭和天皇物語」ではスピード感を封印してゆっくり目に見えるオーラの漂う神秘的な人物像を描いている。 能條先生は凄いのだ。 私は本作で初めて能條純一作品を読んだ。当時スピリッツで連載されていた中でも異色を放っていて、ベタ部分から見える圧が下手なホラー漫画よりも恐ろしく見えた。 とかいうと言い過ぎかもしれないけど、それだけ「本気で集中している人間」というのを描くのが上手かった。 本作では将棋の天才、棋士 氷室将介が巻き起こす嵐の物語。 ただ、周りの登場人物たちも負けていない。 なにはともあれ、鈴本永吉戦が終わる3~4巻あたりまで読んでみてほしい。