あらすじ王竜戦・準決勝。待ち続ける刈田のもとにようやく将介が現われ、月明かりのもとふたりの戦いが始まった。刈田が将棋界のスターだった全盛期の頃の気迫で第7手を指したとたん、将棋会館全体が停電になる。しかし、月明かりがあるからと対局続行を決めたふたり。将棋会館の暗闇からは刈田の気迫が青白い閃光となって放たれていた。
能條純一作品はまるで邦画を見ているかのような気分になる。 しかも昭和の作品…松田優作の「蘇える金狼」のような空気感。 その雰囲気と空気感は凄まじい。 その一方、現在連載中でマンガ好き達にこぞって好評である「昭和天皇物語」ではスピード感を封印してゆっくり目に見えるオーラの漂う神秘的な人物像を描いている。 能條先生は凄いのだ。 私は本作で初めて能條純一作品を読んだ。当時スピリッツで連載されていた中でも異色を放っていて、ベタ部分から見える圧が下手なホラー漫画よりも恐ろしく見えた。 とかいうと言い過ぎかもしれないけど、それだけ「本気で集中している人間」というのを描くのが上手かった。 本作では将棋の天才、棋士 氷室将介が巻き起こす嵐の物語。 ただ、周りの登場人物たちも負けていない。 なにはともあれ、鈴本永吉戦が終わる3~4巻あたりまで読んでみてほしい。