あらすじ大原の策略で名人戦に立ち会うことになった将介。その存在が気になる滝川に、大原は勝利を確信する。ところが、残り一手で勝利できるという時に、大原の容態が悪化、その一手が指せないでいた。最後の力を振り絞って目指す場所に駒を置こうとする大原。そこへ、滝川の希望によって開けられた窓から吹いた突風で、盤上の駒は飛ばされてしまう。
能條純一作品はまるで邦画を見ているかのような気分になる。 しかも昭和の作品…松田優作の「蘇える金狼」のような空気感。 その雰囲気と空気感は凄まじい。 その一方、現在連載中でマンガ好き達にこぞって好評である「昭和天皇物語」ではスピード感を封印してゆっくり目に見えるオーラの漂う神秘的な人物像を描いている。 能條先生は凄いのだ。 私は本作で初めて能條純一作品を読んだ。当時スピリッツで連載されていた中でも異色を放っていて、ベタ部分から見える圧が下手なホラー漫画よりも恐ろしく見えた。 とかいうと言い過ぎかもしれないけど、それだけ「本気で集中している人間」というのを描くのが上手かった。 本作では将棋の天才、棋士 氷室将介が巻き起こす嵐の物語。 ただ、周りの登場人物たちも負けていない。 なにはともあれ、鈴本永吉戦が終わる3~4巻あたりまで読んでみてほしい。