能條純一作品はまるで邦画を見ているかのような気分になる。
しかも昭和の作品…松田優作の「蘇える金狼」のような空気感。
その雰囲気と空気感は凄まじい。
その一方、現在連載中でマンガ好き達にこぞって好評である「昭和天皇物語」ではスピード感を封印してゆっくり目に見えるオーラの漂う神秘的な人物像を描いている。
能條先生は凄いのだ。
私は本作で初めて能條純一作品を読んだ。当時スピリッツで連載されていた中でも異色を放っていて、ベタ部分から見える圧が下手なホラー漫画よりも恐ろしく見えた。
とかいうと言い過ぎかもしれないけど、それだけ「本気で集中している人間」というのを描くのが上手かった。
本作では将棋の天才、棋士 氷室将介が巻き起こす嵐の物語。
ただ、周りの登場人物たちも負けていない。
なにはともあれ、鈴本永吉戦が終わる3~4巻あたりまで読んでみてほしい。
第51期名人戦、名人・大原巌と挑戦者・滝川幸治が熱海で第7局を戦っている時、東京・将棋会館に氷室将介という青年が現れる。プロ棋士になりたいという将介が手にしていたのは、伝説の棋士・御神三吉の推薦状だった。その推薦状を見たプロ棋士・虎丸は二段の坂東と将介を戦わせる。
第51期名人戦、名人・大原巌と挑戦者・滝川幸治が熱海で第7局を戦っている時、東京・将棋会館に氷室将介という青年が現れる。プロ棋士になりたいという将介が手にしていたのは、伝説の棋士・御神三吉の推薦状だった。その推薦状を見たプロ棋士・虎丸は二段の坂東と将介を戦わせる。