あらすじ

在ベトナムアメリカ大使・アンダーソンが探し求めていた味。それは、ハノイの監獄で食べた“ハンバーガー”の味だった――!!「人の心を掴む料理」を設宴で提供するため、公はアンダーソン大使の求めるハンバーガーの味を再現しようと試みる。アンダーソン大使から聞かされたベトナム戦争下のつらい記憶と、彼を救ったベトナム人女性と交わした約束……。生き抜くための勇気を与えたハンバーガーの味を、公は再現できるのだろうか――!?
大使閣下の料理人 1巻

日本大使公邸料理人は、料理人の日本代表なのです――。お客さんに「気持ち」が伝わる料理を作りたい!!そんな夢を叶えたいと、完全分業制で何百人分もの料理を次々と組み立てていく大手ホテルの料理人を辞め、ベトナム・ハノイの日本大使公邸の料理人になった大沢公(おおさわ・こう)。倉木(くらき)大使や大使館員の古田(ふるた)、公の料理補助をするホアらとともに、ベトナムの人々と心を通わせることのできる料理を志す!!

大使閣下の料理人 2巻

“日本嫌い”のベトナム大統領を、古田の通訳ミスで激怒させてしまった――!?高まる反日感情のなか、市場で食材を買うことができなくなった公は、ベトナムの人々の誤解を解くため、ある行動に出た!!日本のベトナム侵略という「過去のイメージ」を払拭するには、具体的な行動の積み重ねしか道はない。そして、偶然にも公にそのチャンスがめぐってくるのだったが……!?公が作った土の混ざった米を使った茶粥の味とは――!?

大使閣下の料理人 3巻

在ベトナムアメリカ大使・アンダーソンが探し求めていた味。それは、ハノイの監獄で食べた“ハンバーガー”の味だった――!!「人の心を掴む料理」を設宴で提供するため、公はアンダーソン大使の求めるハンバーガーの味を再現しようと試みる。アンダーソン大使から聞かされたベトナム戦争下のつらい記憶と、彼を救ったベトナム人女性と交わした約束……。生き抜くための勇気を与えたハンバーガーの味を、公は再現できるのだろうか――!?

大使閣下の料理人(4)

世界的指揮者であるマエストロ・緒方が、日本大使公邸を訪れた――。倉木大使の友人である彼は、ベトナムに対する非常に深い憎しみを抱き続けていた。終戦後もベトナムに残ることを決めた父親への激しい怒りが、緒方をベトナム嫌いにしたと知った公は、彼に父親を捜す旅をしないかと持ちかけるが……!?一枚の写真を手がかりに向かった先は、ベトナム最北端の省・ランソン。そこで出会った父親の懐かしい味とは――!?

大使閣下の料理人(5)

外務省の要請でベトナムの若手画家を発掘するためハノイを訪れた大島と、画廊回りをすることになった公とホア。なかなかピンとくる絵が見つからないなか、偶然見つけた一枚の絵に魅せられた大島。だが、その絵の作者こそ、ホアが別れた夫・イエンだった!!スランプに陥り描く意欲を失っていたイエン、そして料理人になる厳しさから逃げ出したホアの弟・ズンの壁を乗り越えるヒントになればと、公はある料理を作るのだったが――!?

大使閣下の料理人(6)

ハリウッドから凱旋帰国している女優・ラムに受け入れられなかった公のベトナム料理。「公邸料理人キラー」の異名を持つ矢崎(やざき)外務大臣からリベンジの場を与えられ、公はサイゴンにある日本総領事公邸でフランス料理のメインを作ることになった!!かつてベトナムが南と北に分かれていたことに気づいた公が作る「南の味」とは――!?そして、旧南ベトナムで24年前、ラムが口にした不思議な野菜に隠された純愛とは――!?

大使閣下の料理人(7)

倉木大使の娘・洋子(ようこ)が日本大使公邸に、ある目的のために現れた――!!途上国を旅してきた明るく利発な彼女だったが、外交官という仕事に激しい嫌悪感を抱いていて……!?洋子が大使夫人代理として企画した杉原(すぎはら)総理夫人の視察は、まったく前例のないものだった!!果たして、この視察に秘められた洋子の思惑とは――!?そして、洋子と総理夫人が共有する故・倉木大使夫人の思い出の味とは――!?

大使閣下の料理人(8)

公のかわいい助っ人、ストリートチルドレンのアインが全国歌謡コンテストの予選に出場することになった――!!テレビ中継された予選で、まだ見ぬ両親に訴えかけるアインだったが……!?一方で、その特別審査員で有名歌手、さらにはベトナムのビエン交通運輸大臣夫人のミー・チャンにも、人には打ち明けられない事情があるようで……。日本の会社との合併工場設立の夢を叶えたビエン大臣の傍らで、ミー・チャンはある決意をするのだったが――!?

大使閣下の料理人(9)

フランス大使公邸料理人・ピエールと日本大使館付医務官・須藤(すどう)、接点のない二人を結ぶ意外な共通項とは――!?ピエールが昔つきあっていた日本人女性・ユーコが、食事をしていた公たちの目の前に現れた!!医療ボランティアでベトナムを訪れたユーコに、ピエールは猛アタックを開始する。しかし、ユーコの忘れられない人が須藤だと知ったピエールは、彼に近づいて……!?不思議な魅力のあるユーコの真意とは――!?

大使閣下の料理人(10)

公が思い出したくない因縁の相手、プロサッカー選手・安田(やすだ)がハノイへやって来た――!!型にはめられることを嫌い、スポーツ栄養学に基づいた食事を拒否する安田との再会が、思わぬ事態へと発展した!!ハノイFCと安田の所属するJ2チームの試合は、まさしくスポーツ食とワガママ食の戦いとなったのだが……!?安田のトレーナー・大須(おおす)をスポーツ食の師匠と仰ぐ公が考案した、スポーツ選手にピッタリのメニューとは――!?

大使閣下の料理人(11)

タイの実業家で、裏社会にも通じているというボリバンが仕掛けた罠(わな)――!!公邸料理人がいなくなったタイの日本大使公邸での設宴に、休暇を返上して駆り出された公。反日派のタイ労働社会福祉省局長を招いた設宴は成功を収めたが、次に公を待っていたのは裏の外交とも呼ぶべき危険な設宴だった!!日本大使に忍び寄る八百長試合での賭博行為をやめさせるため、公は料理で勝負に出た!!茨城に留学していたボリバンを唸(うな)らせた、未来への希望に満ちた味とは――!?

大使閣下の料理人(12)

「元祖タコライス」、この言葉を巡って母子(おやこ)が勝負をすることに――!!家族で沖縄を訪れていた公は、在ベトナムアメリカ大使・アンダーソンが沖縄基地時代に通っていた店を訪れた。店主であるメグは、沖縄のチェーンレストラン「ガチマヤー」のオーナー・宮平満子(みやひら・みつこ)と「元祖タコライス」の名乗りをかけ、勝負をすることになった!!戦死したアメリカ兵・ジミーとメグの間に生まれた満子。アメリカ人としての血を否定する満子が心動かれされた「ジミーの味」とは――!?

大使閣下の料理人(13)

お菓子とフルーツだけで構成されたフランス料理のフルコースに挑む――!!公の友人である日本大使館員の幸山(こうやま)とその妻・ティン、そして公のホテル時代の先輩である相田(あいだ)とその妻・マリーに同時にコウノトリがやって来た!!幸山の帰国とダブル妊娠を祝うため、パーティーの料理を任された公だったが……。つわりに苦しむ妊婦たちのために、公が考案した誰もがうっとりするメニューとは!?そして、デザートに使われた驚くべき食材とは――!?

大使閣下の料理人(14)

公がいよいよ弟子をとることになった――!?在ベトナム日本大使を退任し、日本で「国家情報担当大使」に就任した倉木大使について帰国した公。そんな公を待っていたのは、語学の才能に長け、世界中を旅して回っていたという青柳愛(あおやぎ・あい)だった!!公の弟子になりたいという彼女に、倉木大使からある課題が出された。それは、愛が一番おいしいと思う料理を倉木大使に提供すること!!愛が作った「ウガリ」とその料理に秘められたエピソードとは――!?

大使閣下の料理人(15)

フランス料理のシェフである公、ついにフランス料理の本場に足を踏み入れる――!!首相からフランス極右勢力とのパイプ役に任命された倉木大使に同行し、公は初めてのフランスを体験することになった!!市場の食材を肌で感じ、本場のビストロで土地の料理を堪能する公。そして、ホテル時代からの先輩である相田がマルセイユで開いた店を訪れたが、そこにはフランスの伝統に怯(ひる)む相田の姿があった。相田が苦悩した末に作り上げた「ブイヤーベース」の味とは――!?

大使閣下の料理人(16)

公にとっては初めての、外交を揺るがすような痛恨のミス――!!情報が少なすぎる国、N国。その外務次官を招いた設宴での失敗の責任を取るため、公は愛を伴ってN国へとやって来た!!「料理修業」のための日本人ツアーに参加した公たちを待っていたのは、N国の厳しい監視と管理だった。スパイと疑われ行動が制限されるなか、公が触れた本場の「冷麺」が持つ伝統の重みとは――!?そして、倉木大使が送り込んでいたスパイはいったい誰だったのか――!?

大使閣下の料理人(17)

公がフランス料理のシェフとして、最大のスランプに陥った――!?熱烈な愛国主義者のフランスオペラ界の重鎮、マダム・ガルシアからニセモノ扱いを受けた公の料理。折しも、仏露関係を悪化させているロシアのストロガノフ局長が来日!!満身創痍(まんしんそうい)の公だったが、日本とロシアの友好強化のために参加した「ロシア料理講習会」でさらなるスランプに襲われることに!!リベンジを誓った公が、仏露の外交が絡む緊迫した設宴で出すホンモノのフランス料理とは――!?

大使閣下の料理人(18)

休暇でバリに滞在していた公に、愛から突然のSOSが――!?公の代理で公邸料理人として奮闘していた愛に、倉木大使から設宴の依頼が!!倉木大使の食事も完璧にはこなせない愛にとって、最大のピンチが訪れてしまった。バリからFAXと電話で指示を出し、この設宴を乗り切ろうとする公と愛だったが……。設宴の相手は、台湾から単身赴任している宋(そう)代表。倉木大使が愛の料理の腕前を知っているからこそ彼女に依頼した、その真意とは――!?

大使閣下の料理人(19)

外交官の江口に「閨閥(けいばつ)」がらみの結婚話が舞い込んだ――!?金田(かねだ)外務大臣の娘・すみれと、見合いをすることになった江口。婚姻による出世を否定する江口だったが、すみれは彼を父親の地盤を引き継ぐ「政治家」にすると宣言した!!それを知った公や愛は慌てるが、事態はどんどん悪化していき……。しかし、すみれの心を解く鍵が、あるショコラティエの作った「オペラ」であることに気づいた公は、早速行動にでるのだったが――!?

大使閣下の料理人(20)

各国の大使夫人を集めた日本料理の講習会。それも公の大切な仕事の一つ――!!講師に招かれた愛の友人・北島萌(きたじま・もえ)は、熱血系の日本料理人。日本料理を敬愛するあまり、萌は日本人でフランス料理人の公には突っかかってばかり。そんななか、講習会に参加したサハラ共和国大使夫人・ファティマの家に招かれた公達は、そこで北アフリカ料理の素晴らしさに出会うのだったが――!?

大使閣下の料理人(21)

厳密には存在しない「アメリカ料理」に挑戦する公が、料理に込めた「平和と寛容」の精神とは――!?アメリカ次期大統領候補のケーシー氏の設宴のため、公はニューヨークへ。ニューヨークの市場に溢れる、まさに多民族国家を象徴する食材の数々に感動した公は、「自由と平和」をテーマに設宴を乗り切ることになった!!そこには、かつてアメリカが戦争をした相手国の食材ばかりを使うことになったのだったが……!?

大使閣下の料理人(22)

日本料理への情熱を誰よりも持つ和食の鬼・北島萌(きたじま・もえ)がついに公邸料理人に――!!エリゼ宮のブーケ総料理長から、「シェフサミット」への参加のオファーが舞い込んできた!!萌との初仕事でもあるこのオファーを受けた公は、早速ポルトガルへ。日本料理人としてのプライドのせいで公を敵視していた萌だったが、ある事がきっかけでその態度が軟化する!!果たして「シェフサミット」を二人はどう乗り越えるのか――!?

大使閣下の料理人(23)

楊(ヤン)前国家主席に招かれた在香港日本総領事御一行を待っていた恐怖の満漢全席とは――!?公邸料理人として香港で腕を振るう愛が体験した満漢全席。しかし、それは対日強硬派の楊氏が仕掛けた恐ろしい策略だった!!日中関係の危機に瀕し、「答礼宴」という形で挽回を図ろうとした愛たちだったが……!?そして、小俣(おまた)在香港日本総領事が抱える、倉木大使との消せない「過去」とは――!?

大使閣下の料理人(24)

パンチの効いた最高の“チャンチャン焼き”に託されたメッセージとは――!?長谷川(はせがわ)ロシア新大使からの依頼で、根室に行くことになった公。北方領土問題でロシアと裏交渉していて処分され休職中の伊藤(いとう)をロシア外交に戻すために……。公たちがまず向かったのは、伊藤の幼なじみの店。そこで、かつて北方領土の返還を切に願う伊藤の亡き祖父が作った“チャンチャン焼き”の話を聞かされる。公はそれを再現しようと試みるが……!?

大使閣下の料理人(25)

倉木大使の食卓外交のため8年間尽力してきた公。最後の仕事は大使を招いての設宴だった――!!倉木大使が新たに中国大使に起用された!!その承認を得るため中国へ向かった大使に同行した公は、周恩来直伝の豆腐料理で無事に設宴を終える。そして、倉木大使の命令に背き、古巣のNKホテルで食卓外交に従事することになった公は、大使を説得するため最後の設宴に挑む!!――『大使閣下の料理人』いよいよ最終巻!!