青春していても夏は暑い。
回顧と若さへの羨望から、夏を爽やかに印象づけようとしても、暑いものは暑い。
ままならない。

人間関係もままならない。
あの人はこの人をおもっているのに、この人はあの人でなく、その人をおもっていて、その人は…

叶わないかもしれない願いは心に秘めているからか、ストーリーは怨念渦巻くドロドロな…ということはない。

漫画の一コマ一コマ、描かれなかった空白によって、逆に気持ちが描かれているような気がしてきたり。
それぞれが美しいイラストレーションの一枚のようにもみえてきたり。

ままならないのだけど、すごく青春を感じる。

過ぎ去った青春を謳歌している様子は、眩しく見えるけど、彼らは日々をもがいている。
気持ちは止まらないし、心は傷つく。
美しく語っても、夏は暑い。

読みたい
夏の終点

予想通りの展開と予想を上回る情緒

夏の終点 西尾拓也
TKD@マンガの虫
TKD@マンガの虫

この作品のストーリー展開は基本的に予想通り進んでいく 読んでいて思わず「ホントにこうなるのかよw」と ツッコんでしまったほどだ。 例を挙げると、 「休日にお出かけしてたら、気になる男の子の相原くんが 知らない綺麗な女の人と歩いてる!」 「ショック〜!でも、怖がらずに彼女のこと相原くんに聞いてみよう! もしかしたら私の勘違いかもしれないし!」 「相原くん、昨日一緒に歩いてた女の人って…」 「え??あ〜!なんだお姉ちゃんだったんだ〜!」 「な〜んだよかった!一安心!」 「ん?でもお姉ちゃんって言っても義理って言ってたような…」 「まさか!そんなわけないよね〜」チラッ 「いや、コイツッ!お姉ちゃんのことを話す時だけ 見たことないくらい優しい顔をしてやがるッ! 絶対異性として見てるじゃねぇか!」とこんな感じで かなりキツめの意訳をしてしまったが 概ねこんな半世紀近く擦り倒されてきた展開を この漫画は真正面から全力でやっている ただ、王道というのは長い年月を得ても変わらずに面白い普遍性が あるから王道と呼ばれるのであって、取り扱い方さえ工夫すれば 現代でも切実感のあるリアルな物語として描くことができる。 この作品はその「取り扱い」が非常に美味かった。 決して先に僕が書いたような80年代的なバグったテンションでは 描いておらず、むしろ正反対な柔らかく、澄んだ空気感で描かれている セリフを最小限に抑えつつ、 絵でキャラクターの感情のわずかな機微を描いていおり、 読んでいると本当に予想通りのことしか起きないにも関わらず、 どんどんキャラクターの内面に引き込まれていってしまうのだ。 この引き込み方が他の漫画と比べてちょっと度を越していて 本当にセリフが全くないまま感情や状況の変化が起こるので 読んでいると、紙面全体からキャラクターたちの声のない切実な訴えが 表情や演出から聞こえてくるのだ。 もちろん、そのために使われる演出は瞬時にわかるような平易なものが多いが 作者特有の絵柄やコマ割りも含めた作品全体の雰囲気づくりのお陰で チープなものという印象は受けず、むしろ逆にリッチなものにすら感じる このあまりにも尖った作劇法でも読者を置いてきぼりにしないために あえてストーリー展開は擦り倒されたものにしているのだろう。 ただ、このストーリー展開でここまで読者をのめり込ませるというのは 本当にすごいことだと思う。 磨き上げられた独自の画風と漫画的なセンスの賜物だ。 過去の読み切りを見ると叙述トリックを使ったどんでん返し(少女と毒蜘蛛)や 読者の解釈に委ねるようなラスト(さみしがりやな僕ら)なども書いていたので この作風のまま作者独自のストーリー展開を見せる漫画も見てみたい

ヤンキー君と白杖ガール

目からの情報過多な世の中

ヤンキー君と白杖ガール
ゆゆゆ
ゆゆゆ

登場するヤンキーは顔の傷がなくて、服の趣味が良ければ、ものすごく人が良くて純愛している好青年。 弱視の女の子に「ポエマー」と言われるほど、大好きなユキコさんの前では好青年。 一線を越えると黒豹に戻るようだけど、ユキコさん第一なので基本は好青年。 コミュニケーションお化けのようなユキコさんも、見えないからそう変わらざるを得なかったとあって、相当な苦労の上であの人となりができていて、結果が一話冒頭の白杖ケツアタックなんだなぁと思った。 コメディになる部分は、NHKの番組バリバラでみた、障害者コントを思い出させた。 障害は触れるのを避けるべきことでもなく、彼女たちには当たり前なことで、その中でのからかいや日常の楽しみ、苦労が興味深く描かれている。 もちろんコメディ要素だけでなく、しれっとヤングケアラーとなっているきょうだい児の話や、人は年を取ればいずれ見えなくなることが描かれていて、でも重たい話のはずがドロドロしておらず、あっという間に読み終えてしまった。 視力がオレサマはなるほどなと思ってしまった。 かき氷シロップはオレサマを感じさせてくれる食べ物。食品に絞ると、嗅覚が2番手のオレサマ。 ちなみに登場キャラクターのなかでは、高校生男子らしくムラムラ大好きな青野くんがとても好きだ。

ワタシってサバサバしてるから

広告で見たことがあるやつだ

ワタシってサバサバしてるから
ゆゆゆ
ゆゆゆ

主人公が「私ってサバサバしてるから〜」っていうタイプの人間でした。 「みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?」で知ったのですが、主人公を「うわー何こいつ」って言いたくなるキャラクター(悪役)にして、当人が落ちていくさまを眺めるジャンルっていうのがあるんですね。 身近にいたら、さりげなくフェードアウトしたくなるタイプの性格ですが、「女の敵は女」というあたりはリアルです。 そして、男の中で生きようとしているわけでなく、同性と仲良くするわけでなく、人がいっぱいいるところに飛び込んでいるのに、孤高です。 読んでいて、どうしてそういう考えに?と思ってしまい、主人公なのについていけません。 本編を悪役サイドで見ている気持ちです。 とはいえ、ライバル視されている本田さんが主人公だと、「私ってメンタル強めだから〜」と、メンタルの強さを過剰に見せつけてくるキャラクターに改変されてしまいそうで、そんな本田さんは見たくないなと思ってしまいます。 よくよく考えれば、周囲がこれほどひいた反応を取っていてもへこたれず、ゴーイングマイウェイでいられる主人公の網浜奈美は非常にメンタルが強いです。 ビジュアルが本田さんと主人公が入れ替わっていたら、どんな感想になっていたんでしょう。

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

殴るためのお肉

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
ゆゆゆ
ゆゆゆ

このタイトルで、この絵柄で、いわば北斗の拳。 いや、くにおくんかもしれません。 陰湿なイジメが繰り広げられる恋愛モノかと思えば、メリケンサックが出てくるタイプの恋愛モノでした。 メリケンサックと恋愛モノって、同時に存在しうるんですね。 「パワー・アントワネット」と違い、ムキムキでもなく、筋肉でもなく。 公爵令嬢として腐った世の中を正すため、いや殴りたいから主人公は暴力をふるいます。 ストッパーが無くなった彼女は強いです。 ターゲットの名前がいつの間にか「肉」呼ばわりになっていて、こうやって人でないから殴ってよしと正当化するのかなとチラと思えば、その肉がことごとく、言い訳できないレベルの悪役たちで、世直しのためには、殴っとこうかという気持ちを読者に湧き立てさせます。 そして、時の女神の力を借りて、倍速やらなんやらブーストさせて、「ボンボコボンボコ」殴って蹴って。 暴力シーン(連続)もこのきれいな絵柄のママ繰り広げられ、「創竜伝」の龍堂兄弟のようなめちゃくちゃな振る舞いも、このきれいな絵柄のママ繰り広げられます。 とりあえず公爵令嬢なので、一線は越えていないそうです。不殺です。 すべて峰打ちなので大丈夫らしいです。さすがです。 暴力で解決はよくないけれど、早いんだということはよくわかります。

なつのしゅうてん
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むー

むー

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初恋

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赤と白

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