名無し
初恋、青春、若者
夏の終点 西尾拓也
青春していても夏は暑い。
回顧と若さへの羨望から、夏を爽やかに印象づけようとしても、暑いものは暑い。
ままならない。
人間関係もままならない。
あの人はこの人をおもっているのに、この人はあの人でなく、その人をおもっていて、その人は…
叶わないかもしれない願いは心に秘めているからか、ストーリーは怨念渦巻くドロドロな…ということはない。
漫画の一コマ一コマ、描かれなかった空白によって、逆に気持ちが描かれているような気がしてきたり。
それぞれが美しいイラストレーションの一枚のようにもみえてきたり。
ままならないのだけど、すごく青春を感じる。
過ぎ去った青春を謳歌している様子は、眩しく見えるけど、彼らは日々をもがいている。
気持ちは止まらないし、心は傷つく。
美しく語っても、夏は暑い。