【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】芽吹いたのは、初めての気持ち。美化委員の夏川さんは、気が付くといつも同級生の相原くんを目で追っている。同じ時間、同じ場所…彼がいると特別になる――。想いが紡ぐ、初恋の物語。
相原くんと、一緒に行きたかった“夏祭り” しかし、夏川さんは彼が転校することを知る。伝えたかった想いを抱えたまま彼のいない町で、時間だけが進んでいく――。巡る季節に想いを馳せる、初恋の物語。
この作品のストーリー展開は基本的に予想通り進んでいく 読んでいて思わず「ホントにこうなるのかよw」と ツッコんでしまったほどだ。 例を挙げると、 「休日にお出かけしてたら、気になる男の子の相原くんが 知らない綺麗な女の人と歩いてる!」 「ショック〜!でも、怖がらずに彼女のこと相原くんに聞いてみよう! もしかしたら私の勘違いかもしれないし!」 「相原くん、昨日一緒に歩いてた女の人って…」 「え??あ〜!なんだお姉ちゃんだったんだ〜!」 「な〜んだよかった!一安心!」 「ん?でもお姉ちゃんって言っても義理って言ってたような…」 「まさか!そんなわけないよね〜」チラッ 「いや、コイツッ!お姉ちゃんのことを話す時だけ 見たことないくらい優しい顔をしてやがるッ! 絶対異性として見てるじゃねぇか!」とこんな感じで かなりキツめの意訳をしてしまったが 概ねこんな半世紀近く擦り倒されてきた展開を この漫画は真正面から全力でやっている ただ、王道というのは長い年月を得ても変わらずに面白い普遍性が あるから王道と呼ばれるのであって、取り扱い方さえ工夫すれば 現代でも切実感のあるリアルな物語として描くことができる。 この作品はその「取り扱い」が非常に美味かった。 決して先に僕が書いたような80年代的なバグったテンションでは 描いておらず、むしろ正反対な柔らかく、澄んだ空気感で描かれている セリフを最小限に抑えつつ、 絵でキャラクターの感情のわずかな機微を描いていおり、 読んでいると本当に予想通りのことしか起きないにも関わらず、 どんどんキャラクターの内面に引き込まれていってしまうのだ。 この引き込み方が他の漫画と比べてちょっと度を越していて 本当にセリフが全くないまま感情や状況の変化が起こるので 読んでいると、紙面全体からキャラクターたちの声のない切実な訴えが 表情や演出から聞こえてくるのだ。 もちろん、そのために使われる演出は瞬時にわかるような平易なものが多いが 作者特有の絵柄やコマ割りも含めた作品全体の雰囲気づくりのお陰で チープなものという印象は受けず、むしろ逆にリッチなものにすら感じる このあまりにも尖った作劇法でも読者を置いてきぼりにしないために あえてストーリー展開は擦り倒されたものにしているのだろう。 ただ、このストーリー展開でここまで読者をのめり込ませるというのは 本当にすごいことだと思う。 磨き上げられた独自の画風と漫画的なセンスの賜物だ。 過去の読み切りを見ると叙述トリックを使ったどんでん返し(少女と毒蜘蛛)や 読者の解釈に委ねるようなラスト(さみしがりやな僕ら)なども書いていたので この作風のまま作者独自のストーリー展開を見せる漫画も見てみたい
青春していても夏は暑い。 回顧と若さへの羨望から、夏を爽やかに印象づけようとしても、暑いものは暑い。 ままならない。 人間関係もままならない。 あの人はこの人をおもっているのに、この人はあの人でなく、その人をおもっていて、その人は… 叶わないかもしれない願いは心に秘めているからか、ストーリーは怨念渦巻くドロドロな…ということはない。 漫画の一コマ一コマ、描かれなかった空白によって、逆に気持ちが描かれているような気がしてきたり。 それぞれが美しいイラストレーションの一枚のようにもみえてきたり。 ままならないのだけど、すごく青春を感じる。 過ぎ去った青春を謳歌している様子は、眩しく見えるけど、彼らは日々をもがいている。 気持ちは止まらないし、心は傷つく。 美しく語っても、夏は暑い。
西尾拓也先生の連載が始まった!!これはうれしいですね。 控えめな女の子が同級生の男の子に淡い恋心を抱く、ただそれだけなのに甘酸っぱくて胸が苦しくてたまらなくなります。 まっすぐにぶつかるとか駆け引きとかそれよりもっと手前の、曖昧なのに切実でどんどん膨らんでいくあの感情が繊細に描かれています。 言葉は少なくて余白が多くて表情もぼんやり描かれているのに、心臓の音や赤く染まる頬や唇がはっきりと感じられます。画面の静けさにつられて、自分も息を詰めながら夢中になってしまいました。 恋が成就するとかドキドキハラハラする展開とか、そういうものは求めません。ただ、この静謐で甘酸っぱい時間が長く続いてほしいと願うばかりです。
この作品のストーリー展開は基本的に予想通り進んでいく 読んでいて思わず「ホントにこうなるのかよw」と ツッコんでしまったほどだ。 例を挙げると、 「休日にお出かけしてたら、気になる男の子の相原くんが 知らない綺麗な女の人と歩いてる!」 「ショック〜!でも、怖がらずに彼女のこと相原くんに聞いてみよう! もしかしたら私の勘違いかもしれないし!」 「相原くん、昨日一緒に歩いてた女の人って…」 「え??あ〜!なんだお姉ちゃんだったんだ〜!」 「な〜んだよかった!一安心!」 「ん?でもお姉ちゃんって言っても義理って言ってたような…」 「まさか!そんなわけないよね〜」チラッ 「いや、コイツッ!お姉ちゃんのことを話す時だけ 見たことないくらい優しい顔をしてやがるッ! 絶対異性として見てるじゃねぇか!」とこんな感じで かなりキツめの意訳をしてしまったが 概ねこんな半世紀近く擦り倒されてきた展開を この漫画は真正面から全力でやっている ただ、王道というのは長い年月を得ても変わらずに面白い普遍性が あるから王道と呼ばれるのであって、取り扱い方さえ工夫すれば 現代でも切実感のあるリアルな物語として描くことができる。 この作品はその「取り扱い」が非常に美味かった。 決して先に僕が書いたような80年代的なバグったテンションでは 描いておらず、むしろ正反対な柔らかく、澄んだ空気感で描かれている セリフを最小限に抑えつつ、 絵でキャラクターの感情のわずかな機微を描いていおり、 読んでいると本当に予想通りのことしか起きないにも関わらず、 どんどんキャラクターの内面に引き込まれていってしまうのだ。 この引き込み方が他の漫画と比べてちょっと度を越していて 本当にセリフが全くないまま感情や状況の変化が起こるので 読んでいると、紙面全体からキャラクターたちの声のない切実な訴えが 表情や演出から聞こえてくるのだ。 もちろん、そのために使われる演出は瞬時にわかるような平易なものが多いが 作者特有の絵柄やコマ割りも含めた作品全体の雰囲気づくりのお陰で チープなものという印象は受けず、むしろ逆にリッチなものにすら感じる このあまりにも尖った作劇法でも読者を置いてきぼりにしないために あえてストーリー展開は擦り倒されたものにしているのだろう。 ただ、このストーリー展開でここまで読者をのめり込ませるというのは 本当にすごいことだと思う。 磨き上げられた独自の画風と漫画的なセンスの賜物だ。 過去の読み切りを見ると叙述トリックを使ったどんでん返し(少女と毒蜘蛛)や 読者の解釈に委ねるようなラスト(さみしがりやな僕ら)なども書いていたので この作風のまま作者独自のストーリー展開を見せる漫画も見てみたい