澱みですね。家も学校もどっちも澱んでる。そんな中で主人公のハルナちゃんが「ウゴウゴルーガが見たいから今日は早くうちに帰らなきゃ!」って言ってるのが違和感だった。見たくないものを見ないようにし続けてたから地獄の蓋が開いちゃったのかな。気持ちいいくらい救いようのない話なのが逆にすごい。ここまでやるかーみたいな。河原に放置された死体よりもセフレを殺しちゃったかもしれないと錯乱した彼氏にされるがままにさせたハルナちゃんの方が怖かった。その時の吉川こずえの「あの人は何でも関係ないだもん」の一言がまた怖かった。みんな他人に過剰な関心があるように見えるけど本当は無関心で自分のことすらよく分かんないからどうでもいいんだって見透かされたみたいだった。最後のシーンのハルナちゃんの涙は何なんだろう。山田君に存在を認められて嬉しい自分に気づけたから?でも山田君とセックスしたらもっと地獄の展開になってたかも。
傑作ぞろいと言われる岡崎京子作品のなかでも、誰もが「代表作」と言い切る作品。90年代はじめの「都会」に生きる高校生たちの姿を描く。