根っこから強い人間なんていない。
何事にも動じない人、飄々としてる人、人生達観してる奴、
どんな人間もみんな腹には何かを抱えている。

読んでると苦しくて、気持ち悪くて、
でも読まないといけない気がして本を閉じられない。
目を背けてはいけないと思う。
戦争のニュースを見ている感じ。

岡崎京子の好きなところは、全部を逃げずに描き切るところ。
人間の汚いとこ、綺麗なとこ、全部まとめてこねていじってそれでもやっぱりキレイでしょ、と彼女は言う。

そこでああこの人は強い人だと思ってしまうけど、
いや強いだけの人にはこんな漫画書けないよな、とも思う。

読み終えたあと、自分の体に釘が刺さって一生抜けないような、そんな漫画をこの人は描く。

弱い私たちに、ありったけ残酷を突きつけた上で、
それでも生きようぜと、
生きた方がハッピーじゃんと声を張って叫ぶ。

これは私に必要な漫画だ。
誰にとってもきっと意味ある漫画だ。

全ての若者に岡崎京子を。

読みたい
MOGUMOGU食べ歩きくま

ナガノはちいかわ作家じゃない

MOGUMOGU食べ歩きくま
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。

りばーず えっじ りばーす
リバーズ・エッジ
1巻を試し読み
本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
東京ガールズブラボー

東京ガールズブラボー

時は1980年代の初頭、「おしゃれ」を求めて北海道から東京にやってきた高校生・金田サカエが遭遇する「恋」と「友情」の物語。バブルと喧騒に明け暮れた80年代の虚飾をぶっ飛ばす、リアルな「サブカル」青春ストーリー。下巻の巻末には、浅田彰との対談も収録!

恋とはどういうものかしら?新装版

恋とはどういうものかしら?新装版

2015年に世田谷文学館で行われた個展は、来場者数2万3000人以上で同館の過去最高を記録した、漫画家・岡崎京子。彼女の真骨頂、恋に関する漫画を短、中編、4コマも含め31篇収録した愛蔵版。さらに、最愛のオザケンへの愛が溢れる短編漫画もついに単行本初収録!2003年に発行された同名タイトルに、単行本初収録作品6本を加えた、注目の作品。イタくて辛くて切なくて。甘くて狂おしくおかしくなりそうな。岡崎京子の真骨頂、恋についてのコミックがカラー32ページのカラー大作から、くすっと笑える4コマまでラインナップ。ファンも、初心者も、必読のコミック!

試し読み
日本短編漫画傑作集

日本短編漫画傑作集

珠玉の短編で綴る日本漫画の表現の歴史! 選者にいしかわじゅん、江口寿史、呉智英、中野晴行、村上知彦、山上たつひこ(五十音順)の6氏を迎え、日本の漫画を彩った幾多の短編の中より選び抜いたアンソロジーを編年体でお送りします。

試し読み
セカンドVirgin

セカンドVirgin

恋に揺れる母子家庭の母娘のほのぼのとした日常を描いたホームラブコメディ。活発な女子高生の長女・瀬利菜(せりな)、ちゃっかりしている小学生の次女・加利菜(かりな)、そんな二人を育てるうら若き母・樹美子(きみこ)。ある日、お見合い話に乗り気でない樹美子は、ひょんなことから娘達と喧嘩して家出をする。そこで、酔っぱらいにからまれた樹美子は、何者かが投げたツルハシに救われて……!?

カリブsong 狩撫麻礼作品集

カリブsong 狩撫麻礼作品集

越境する魂の探求者、漫画原作者・狩撫麻礼。青年誌界に熱烈な支持を持つ二人の女流、岡崎京子とやまだないと組んだ珠玉作を初単行本化!収録作:「ハイリスク」「レッスン」by岡崎。「夕陽の落ちるころ」「ラスト☆パス」byやまだ。常に時代の先端を疾走してきた才能たちとのライブ演奏を堪能せよ!

ヘルタースケルター

ヘルタースケルター

世紀を越えた傑作、初単行本化!!トップスターにのぼりつめたりりこ。しかし、彼女の美は全身整形でつくられたものだった―――いつも一人の女の子のことを書こうと思っている。いつも。たった一人の。一人ぼっちの。一人の女の子の落ちかたというものを。(岡崎京子)第8回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作品。

釘、楔、轍のようなにコメントする