釘、楔、轍のような
根っこから強い人間なんていない。 何事にも動じない人、飄々としてる人、人生達観してる奴、 どんな人間もみんな腹には何かを抱えている。 読んでると苦しくて、気持ち悪くて、 でも読まないといけない気がして本を閉じられない。 目を背けてはいけないと思う。 戦争のニュースを見ている感じ。 岡崎京子の好きなところは、全部を逃げずに描き切るところ。 人間の汚いとこ、綺麗なとこ、全部まとめてこねていじってそれでもやっぱりキレイでしょ、と彼女は言う。 そこでああこの人は強い人だと思ってしまうけど、 いや強いだけの人にはこんな漫画書けないよな、とも思う。 読み終えたあと、自分の体に釘が刺さって一生抜けないような、そんな漫画をこの人は描く。 弱い私たちに、ありったけ残酷を突きつけた上で、 それでも生きようぜと、 生きた方がハッピーじゃんと声を張って叫ぶ。 これは私に必要な漫画だ。 誰にとってもきっと意味ある漫画だ。 全ての若者に岡崎京子を。