ものすごくわかりやすく性格が悪い。暗い。暗すぎる。
同級生にこんな漫画描いてる奴がいても絶対に友達はできない。

でも読みやすいのはなぜかというと、
ただ暗いだけじゃなく、あっけらかんとしてるからだと思う。

創作の根元がどんなに暗くても、そこに社会性やメッセージ性なんてものはない。社会に物申す気などない。なぜなら他人に興味がないから。
あくまでギャグであり、馬鹿やってるだけなのだ。
そこが蛭子漫画の魅力だと思う。

社会に絶望して孤独を悲しむのではなく、
社会に絶望したが故に全員馬鹿にしてやる、みたいな。

卑屈なのに上から目線。何重にもひねくれた人間。それが蛭子さん。
バス旅観てるじいちゃんばあちゃんは蛭子さんの胸の中の(しかも割と浅いところにある)ドロッドロの本性を知っているのだろうか。
バス旅で蛭子さんのファンを集めて漫画を読ませて何人残るかふるいにかける特番やってくれ。

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宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
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大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

MOGUMOGU食べ歩きくま

ナガノはちいかわ作家じゃない

MOGUMOGU食べ歩きくま
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

ナガノ氏のすごいところは、そのバランス感覚だと思う。 「ちいかわ」で言うなら、 万人受けするかわいいキャラクターと、 少し毒のある世界観の両立。 「自分ツッコミくま」LINEスタンプで言うなら、 気軽な使いやすさと、 我を出しすぎないちょうどいい面白さ。 需要と表現の間を完璧にとらえる客観性。 そのバランス感覚がこそが氏の突出した部分である。 そしてそんなバランス感覚は本書「MOGUMOGU食べ歩きくま」でも、 遺憾なく発揮されている。 本文で語られることはあくまで作者視点の体験である。 エッセイである以上、主人公は作者自身であり、 そこで描かれる思想はストーリー漫画よりも直接的に読者に伝わり、 大なり小なり読者の思想との相違がある。 それがエッセイ漫画のクセであり味であるはずなのだが、 本作ではそういった作者の「クセ」にさえ共感してしまう。 高級店で食事をした時に隣の人を見てマナーを真似したり、 コース料理をアトラクションの楽しさに例えたり。 誰もが感じたことがあっても言葉にはしていなかった 「ちょうどいいあるある」が作中の節々でビシビシと投げられる。 それらはあくまで淡々と、しかし感情豊かに。 この落ち着いたテンポの良さに、読んでいて安らぎを感じる。 違和感なく自然に読めるのに、 「気持ちのいい引っ掛かり」は「作品のクセ」と理解した上で、 小気味よく用意されている。 究極の自己プロデュース力を持った作家、それがナガノ。 我々は常に彼の手のひらで転がされているのである。

山田くんと佐藤さん

まじめなカスとかわいいガールズ

山田くんと佐藤さん
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

松苗あけみの良さってキャラの良さだと思う。 今作の話自体は学校のアイドル的なクールイケメン男子1人を女の子2人が取り合う、 少女漫画としてはよくありそうな展開である。 だけどそこに関わるキャラの性格。。。 これが他の作品にはなかなか無い絶妙なラインを攻めていて味を醸している。 本作のメインキャラであり、 ヒロイン2人の恋心を一身に受ける山田くん。 こいつがカスである。 プレゼントを焼却炉に投げ込み、他人に無関心、デートは途中で帰る。 興味がない女子にも思わせぶりな態度をとるが、 興味がないから冷たい態度をとって女子を泣かす。 深いこと考えてそうで浅い男。 それが山田。 でもそんな浮世離れした、 飄々とした雰囲気がなぜかたまらなく魅力的に見え、 乙女心に火をつけるのだ。 雨の中猫に餌をやる男子♡ みたいなギャップ萌えがテンプレ化していた時代、 こういう純粋なカスを主人公に据えたことは、 作者の当時の少女漫画界に対する反抗でもあったのではないだろうか。 メガネかけてるイケメンの元祖でもあるらしい。 あとヒロインも他の女の子もかわいいし普通に話が面白い。永久保存です。

わたしはばかになりたい
私はバカになりたい
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蛭子能収コレクション 番外編

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鬼才・蛭子能収のマンガが今、電子書籍として甦る――!※本書は二〇〇三年十二月、マガジン・ファイブから刊行された。収録作品の一部に現在では不適切とされる語を含むが、そのまま収録した。過去に刊行された作品の中からテーマに即したエピソードを集めてアンソロジーとして刊行した作品である。<収録エピソード>食生活と人間悲しみのラーメンうなぎの日秋とクリ情交まんじゅう「イカすバカウマ天国」田舎に向かって走れ忘れられた人々お尻とケーキ春のめざめ渚にて愛の三重唱なるほどザ・フライ知識人のレポート悲しき夫婦雪と女とラーメンと新所沢の光霧の黒たまご真夜中のパーティグルメを斬る!!

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蛭子能収だから許される!?“正直すぎる”蛭子能収が実際に見た芸能人&芸能界の裏側を大暴露!エッセイ漫画と全6章のインタビューで芸能界を語る、有名人&業界人、冷や汗もの(!?)な1冊。目次太川陽介との『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』『ネプリーグ』で大恥をかき、『うわっ! ダマされた大賞』でいじめられる真面目すぎるデヴィ夫人と大物・高橋英樹田中律子が帰ってやる気を無くす具志堅用高プライベートの競艇場で仕事中の坂上忍に会う『絶対に笑ってはいけない』でロケ15時間・出演1分津川雅彦監督の映画の本読みでひとり笑うキャラ変えを狙う有吉弘行滑舌が悪くて明石家さんまにあきれられる『スーパーJOCKEY』で松村邦洋とバウバウプロデューサーの誕生日会にしかたなく行く銀座のクラブの支払いが誰持ちなのか気になる競艇場でいきなり頭を叩かれる家の玄関にうんこを投げ入れられる勝俣州和と街を歩いて落ち込む蛭子と行く韓国競艇ツアーに来た客が7人芸能人特権をフル活用テレビ局の廊下や楽屋で感じる孤独車窓の景色を見ていたら再ブレークする有吉弘行の変身を目の前で見るビートたけしと具志堅用高 2人の超人について楽屋挨拶をしない理由と2月の年賀状芸能界でのお友達はいないかもしれない蛭子流 芸能界生き残り術……他

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僕には一つ大きな欠点があったそれは学歴を問われる時に血が逆流するほど恥ずかしくなることだ…僕は大学に行っていないのだ課長にバカにされた僕を上村さんが待ち構えていた上村さんは僕に処女をくれると言い出したのだが、行き遅れた中年処女と会社でバカにされた高卒社員のセックスなんてみじめだみじめ過ぎる…蛭子能収の醸し出す魅惑の世界!

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