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おもしろいから読んでみなよと言われたのが、2016年くらい。借りて読んだら、たしかにおもしろかった。設定に目新しさはないけれど。
そう、VRとかMRとか、身近にたくさん出始めた2016年頃だと、設定に目新しさはなかった。
しかし、他の方も書いているように、「ルサンチマン」は2004年にコミックス化した漫画。
2000年代半ばはまだ、VRゴーグルやヘッドギアなんて、普通に生活していたら出会わない。
発行年を知ったあと、「目新しさはない」だなんて大きな勘違いだったと知った。
それこそ映画「バーバレラ」をありきたりの設定詰め合わせのB級映画と思ってしまうくらい、わかっていなかった。
2004年当時に読んだ人たちは、もっと強い衝撃を受けたと思う。
いったいどうして、ヘッドギアをつけて部屋の中を動き回って遊べて、さらに専用グローブで仮想空間の女の子に触れるギャルゲーだなんて、あの頃描けたんだろう。
そして主人公は、団塊ジュニア世代の悲哀を感じるおじさん(でもまだ30歳になっていない)。
なんだか清潔感を感じない見た目。
人を馬鹿にしていても自分も同類。
生活が生活故に、漏れ出てしまう感情。
誰とでもないけど、既視感を覚えてしまうおじさん。
でも、このおじさん(今考えるとまだ若手)がかっこよく見えるときがあるのだから、花沢健吾先生の漫画は不思議だ。
「おもしろいよ」と勧めてもらったとおり、おもしろくて楽しめる漫画。
もし読まれる際は、これが2004年当時の漫画だと念頭に入れて読んでいただけたら、いろいろなシーンで、よりくすっとできると思う。